ECの普及や消費スタイルの変化に伴い、店舗に足を運ぶ理由そのものの再定義を迫られる百貨店。従来の物販や物産展催事だけでは若年層やファミリー層を惹きつけることが難しく、リアルな空間資産をいかに高付加価値な体験へと転換できるかが、切実な課題となっている。
こうした空間価値の再構築と新たな収益機会の創出を目指し、百貨店自らがコンテンツを生み出す新たなアプローチが動き出した。株式会社大丸松坂屋百貨店は、株式会社闇および株式会社日本XRセンターと共創したオリジナルXRホラーアトラクション「迷界デパート~終わらない記憶が彷徨う、無限の百貨店迷宮~」の展開を拡大している。先行開催の成功を受け、自社店舗にとどまらず外部施設へコンテンツを展開する試みが、商業施設の新たなビジネスモデルを切り拓こうとしている。(文=MetaStep編集部)
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(引用元:PR TIMES)
大丸松坂屋百貨店が闇、日本XRセンターと共創した「迷界デパート~終わらない記憶が彷徨う、無限の百貨店迷宮~」は、百貨店を舞台にしたフリーローミング型XRホラーアトラクションだ。
本企画は、2026年7月16日から8月11日まで大丸東京店11階催事場にて開催され、会期中に約6,000名の来場客が体験した。参加者は新人夜間警備員となり、ヘッドマウントディスプレイを装着して手元のライトを頼りに深夜の迷宮を探索。現実の空間を歩きながら物語の中に入り込む没入感や、恐怖を共有できる体験性が話題を呼び、好評のうちに幕を閉じた。
(引用元:PR TIMES)
この東京での実績を受け、同社は展開を急速に広げている。2026年9月5日からは、日本XRセンターが運営する「XRセンターゲームスペース」の中野ブロードウェイ店および福岡店にて提供が開始された。
さらに2026年10月3日から11月30日までは、松坂屋静岡店にて期間限定XRゾーン「XR GATE at 松坂屋静岡店」が開催されている。同会場では「迷界デパート」に加え、株式会社STYLYが制作を手掛ける深海や宇宙をテーマとしたXRアトラクションも同時に展開される。多彩なコンテンツを揃えることで、子ども連れの家族から若年層まで、幅広い客層へ向けた体験空間を創出する狙いだ。
大丸松坂屋百貨店による今回の多拠点展開が示唆するのは、商業施設におけるXR活用が「単発の集客イベント」を脱し、自社開発のIPを外部へ供給する「新たな事業モデル」へと進化し始めたという事実だ。
従来の体験型イベントでは、大掛かりな舞台装置や造作が必要とされ、多額の設営・撤去コストが常態化していた。そのため、地方店舗への横展開や期間限定の催事は、採算面から困難とされてきたのが実情だ。
そうした構造的な制約に対し、現実空間にデジタル映像を重ね合わせるXR技術を採用した意義は大きい。物理的な造作を最小限に抑え、機器と空きスペースだけで体験を成立させたことで、施設規模や会期に合わせた柔軟な展開が可能となったからだ。この「空間を縛らない高い可変性」こそが、大丸東京店での成功実績を中野や福岡、静岡へと迅速に移植できた要因といえるだろう。
さらに、百貨店が単なる「場所を貸す側」にとどまらず、自ら生み出した体験IPをグループ内外へ供給する「コンテンツの提供側」へと進化した点も大きな意義を持つ。店舗運営の知見とXRの機動力を融合させたこのアプローチは、商業施設が新たな収益基盤を築くための有力な足がかりとなるはずだ。
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