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2026.10.19

「バックルームズ」の世界観を、現実に。

ポスターや予告編映像を中心としてきた従来の映画プロモーション。作品の認知を広げる上で不可欠な手法である一方、受動的な情報伝達に終始しやすく、SNS全盛の現代において観客を巻き込んだ熱量を生み出すには限界があった。また、これまでのAR施策も専用アプリのダウンロードという心理的ハードルが高く、幅広いユーザー層への拡散を妨げていた。
こうした従来の宣伝手法の限界を打破すべく、手軽にUGC(ユーザー生成コンテンツ)を誘発する新たなアプローチが動き出した。株式会社日本XRセンターは、2026年9月に公開された映画「バックルームズ」の世界観を現実世界へと拡張する「バックルームズの入口AR」を開発・提供した。日常風景を作品の舞台へと変える試みが、ファンと映画を結ぶ次世代のマーケティングモデルを切り拓こうとしている。(文=MetaStep編集部)

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ブラウザ起動で即座に出現。UGC創出を前提としたWebAR設計

日本XRセンターが株式会社ハピネット・メディアマーケティングと協業して提供した「バックルームズの入口AR」は、2026年9月4日に公開された映画「バックルームズ」のプロモーション施策として開発されたWebARコンテンツだ。

本コンテンツの特徴は、専用アプリのインストールを一切必要とせず、スマートフォンのウェブブラウザから即座に起動できる手軽さにある。ユーザーがカメラをかざすと、自宅の部屋や学校、オフィスといった見慣れた日常風景の中に、映画の象徴である“不気味な青いテープの扉”が出現する。


(引用元:PR TIMES)

出現する扉は、サイズや配置を自由に調整できる仕様となっている。これにより、ユーザーは単にARを眺めるだけでなく、「自分の部屋に異空間への入口が現れた」かのような不気味な写真や動画を自らの手で撮影できる。

本施策の大きな特徴は、「インターネット発の都市伝説」という作品背景の活用にある。ユーザー自身を「怪異の発見者」に仕立てて自発的なSNS投稿を誘発し、従来の展示型試作とは一線を画すUGC創出ツールとなっている。

“スクリーン完結”を脱す。日常を舞台に変える共創型マーケティング

日本XRセンターとハピネット・メディアマーケティングによる今回の取り組みが示唆するのは、エンターテインメント領域におけるXRの役割が、「一過性の話題づくり」から「ファンの自発的な発信を促す共創型マーケティング」へと進化し始めたという事実である。

従来の体験型施策において最大のボトルネックとなっていたのは、専用アプリをインストールさせるという導線の重さだった。短時間の体験のためにアプリをダウンロードさせる設計は、多くの潜在ユーザーが途中で離脱する要因となっていた。

この「離脱のハードル」に対し、ウェブブラウザ上で完結するWebARを採用した意義は大きい。URLへのアクセスだけで起動できる環境を整えたことで、SNSで話題を見かけたユーザーが、アプリインストールの手間や待ち時間を挟むことなく、その場ですぐに同じ体験へ参加できるようになったからだ。

さらに特筆すべきは、映画館のスクリーンの中で完結していた世界を、観客自身の日常空間へと拡張させた点だ。作品の世界観を一方的に提示するのではなく、ファンが自らの生活環境と組み合わせて独自のコンテンツを創作できる余白を残したアプローチは、SNS上での自発的なバイラルを力強く引き出すだろう。

XR技術の価値は、仮想世界に閉じこもるのではなく、現実の日常とIPの世界観を自然に結びつけることにある。日本XRセンターが提示したアプローチは、さまざまなIPビジネスにおけるプロモーションのあり方をアップデートする有力な足がかりとなるはずだ。

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