遊園地やテーマパークの目玉となる巨大アトラクション。多額の資金と長い建設期間を投じるビジネスモデルは、長らく施設の運営を縛る大きなリスクとなってきた。
この状況を、最新のデジタル技術と新しい契約形態が打破しようとしている。初期費用を一切かけずに、誰もが熱狂する没入空間をゼロから創り上げる。技術と場所を持つ者が利益を分かち合う「共創」の仕組みは、エンターテインメント産業のあり方をどう変えるのだろうか。(文=MetaStep編集部)
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2026年8月18日、VR/XRアトラクション開発及び店舗運営を手掛ける株式会社日本XRセンターは、大規模遊園地・テーマパークの運営事業者を対象とした新たなスキームの開始を発表した。制作費1億円クラスのオリジナルVR/XRアトラクションを「初期費用0円」で共同開発し、運営するレベニューシェア型の仕組みだ。
従来、大型アトラクションの新設には多額の初期投資と長い建設期間が必要だ。同社はこの投資リスクを排除し、施設が持つ世界観やキャラクター、立地、さらには遊休スペースなどに合わせて、企画・空間設計から3DCG制作、システム開発、導入、運営までを一気通貫でプロデュースする。
(引用元:PR TIMES)
アトラクションの機能も本格的だ。最大100人が同時にプレイできる大規模なものまで施設のキャパシティに応じて柔軟に設計でき、天候や季節の影響を受けにくい全天候型の屋内コンテンツとして提供される。広大な空間を自らの足で歩き回るフリーローミング型を軸に、衝撃や地響きを身体に伝える振動、風景に合わせた香り、ライド型デバイスとの連動など、デジタルとフィジカルを組み合わせた演出にも対応する。
同社はコンテンツ開発だけでなく、東京や福岡、熊本で自社直営の施設を運営している。「現場でオペレーションがスムーズに回るか」「安全かつ効率的にお客様を案内できるか」といった、実際の施設運営を見据えた視点からアトラクションを設計できる点が、アドバンテージとなっている。
テーマパークなどの集客ビジネスが直面する構造的な悩みを、XR技術と収益分配の掛け合わせによって解決するこのアプローチは、理にかなっている。
これまでのエンターテインメント産業では、物理的な設備への投資が集客の生命線となっていた。巨大なコースターや豪華なセットを建設するには莫大な予算が必要であり、一度作ってしまえば簡単にアップデートすることはできない。流行が過ぎ去れば、遊休化した設備だけが残されてしまうケースも多い。
しかし、仮想空間を主戦場とするXRアトラクションであれば、巨大建造物は必要ない。空いているスペースにセンサーや振動装置などの汎用的な機材を配置するだけで、そこは宇宙空間にも深い海の底にも変化する。顧客の反応を見ながらソフトウエアのアップデートで難易度を調整したり、季節限定の特別な演出を追加したりすることも容易だ。空間の制約を取り払い、常に新鮮な驚きを提供し続けられるのはデジタルの最大の強みである。
さらに重要なのは、施設運営者と開発企業が「買い手と売り手」ではなく、共に利益を追求するパートナーとして結びついている点だ。開発企業が初期費用を負担して質の高いコンテンツを提供し、施設側が集客と場所の提供に集中する。生み出された収益を分け合うこのモデルは、両者が「どうすればもっと来場者に喜ばれるか」を同じ目線で考え続ける強固なエコシステムを生み出す。
多額の投資の壁に阻まれ、新しいアトラクションの導入をためらっていた地方の遊園地や商業施設にとって、デジタル技術とリスクを分け合うこの新しいスキームは大きな希望となるだろう。
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