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2026.09.28

旅の記憶をNFTに。JR九州の地域共創

見知らぬ土地を訪れ、美しい景色や美味しい食事に出会う。旅の感動は写真や記憶に残るが、その「足跡」そのものを証明し、次の旅へとつなぐ手段は乏しかった。思い出をかけがえのないデジタル資産に変え、地域との絆を深めていくまったく新しいプロジェクトが九州で始動した。最新のWeb3技術が鉄道の旅と交差するとき、観光や地域活性化のあり方はどう進化していくのだろうか。(文=MetaStep編集部)

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デジタルで体験を集める新プロジェクト

2026年7月、法人向けにWeb3ソリューションを展開する株式会社アツラエは、九州旅客鉄道株式会社(JR九州)が手掛けるNFTプロジェクト「Next Favorite Things」に対し、自社のプラットフォーム「MintMonster」を提供したと発表した。本プロジェクトは同年8月5日より本格始動している。

(引用元:PR TIMES)

「モノだけでなく、体験と瞬間を集める」というメッセージを掲げるこの新たなプロジェクトは、鉄道や観光、商業、宿泊、イベント、さらにはIP連携など、非常に幅広い領域でNFTを活用。これまで行われてきた販売や配布の取り組みにとどまらず、スタンプラリーの基盤としての利用や他社とのコラボレーション企画など、よりユーザーが楽しめる形へと体験の質を高める。実施エリアは九州内のみならず、より広範な展開も計画されているという。

(引用元:PR TIMES)

アツラエが提供する「MintMonster」は、企業がNFTを簡単かつ迅速にビジネス活用できる基盤である。ユーザーは仮想通貨の専門知識や複雑な手続きなしにNFTを受け取ることができる。これにより、オンラインの購買からオフラインの観光地訪問まで、あらゆる顧客接点が1つのIDにシームレスに統合される。

観光地を巡った行動やイベント参加の思い出がNFTとして蓄積されると、その記録に応じて限定情報やクーポンなどの特典が付与される。この仕組みが、ユーザーに「次もまた参加したい」と思わせる新たな来訪のきっかけを生み出し、地域とユーザーをつなぐ持続可能なモデルを構築していく。

投機から「絆の証明」へ。Web3が支える地方創生

ブロックチェーン技術から生まれたNFTは、かつては投機的なデジタルアートや資産運用といった文脈で語られることが多かった。しかし、ここへきてその使われ方は明確に実用的な方向へとシフトしている。JR九州の取り組みは、NFTが持つ「改ざんできない唯一性」という特性を、個人の「体験や思い出の証明」として見事に転用した好例と言える。

旅先で特定の列車に乗り、現地のイベントに参加し、その地域ならではの食事を楽しんだという履歴が、自分だけの消えないデジタル証明書としてスマートフォンに刻まれていく。これは単なるポイントカードのデジタル化とは一線を画す体験だ。スタンプラリーのように楽しみながらコレクションを増やす過程で、参加者は無意識のうちにその地域や鉄道会社に対する深い愛着と帰属意識を育んでいく。

さらに、インフラを担う企業や地域社会にとってのメリットも計り知れない。これまで、駅の改札を出た後の観光客がどこを訪れ、何を体験して帰っていったのかを連続して正確に追跡することは困難だった。しかし、各スポットでのNFT配布を通じて顧客の具体的な行動履歴が可視化されれば、一人ひとりの興味や嗜好に合わせた精緻なアプローチが可能となる。「前回この温泉を訪れた方へ、今回はこちらの絶景スポットの特別クーポンを贈ります」といったように、デジタル上に蓄積されたデータが、次なる現実の移動と地域での消費を力強く誘発するのだ。

地域の魅力と最新のテクノロジーを掛け合わせることで、一過性の観光は「継続的な関係」へとアップデートされる。インフラ企業とWeb3技術の融合から生まれたこの持続可能なビジネスモデルは、人口減少に悩む全国の地方都市を活気づけ、新しい経済圏を生み出す起爆剤となるはずだ。

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