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2026.09.15

目印は宙に浮く目玉。ARが導く都市の回遊

広大で複雑な都市の複合施設を歩くとき、平面の地図だけでは自分がどこにいるのか迷ってしまうことは多い。この移動のストレスを、拡張現実(AR)によるナビゲーションが遊び心たっぷりに解消する。スマートフォンの画面越しに、現実の風景に浮かび上がる不思議な目玉。東京の虎ノ門ヒルズで開催された夏イベントに導入された案内システムを切り口に、仮想と現実が交差する新たな空間体験の可能性を展望する。(文=MetaStep編集部)

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屋内から屋外へ。ビルを跨ぐARナビゲーション

2026年8月、XR技術を活用した総合プロデュース事業を展開する株式会社360Channelは、森ビル株式会社が運営する虎ノ門ヒルズの夏イベント「Summer Mystery Night -虎ノ門ヒルズの“不可思議”な夜-」において、空間体験プロダクト「360maps」が来場者向けの案内システムとして採用されたことを発表した。

(引用元:PR TIMES

このイベントは、現代アーティストであるトニー・アウスラー氏の大規模個展「トニー・アウスラー:技術と霊知のはざま~魔術、メディア、アート~」の開催に合わせ、摩訶不思議な世界観を街全体で体験できる連動企画として8月7日から16日まで実施された。

今回導入された360mapsは、高精度な位置推定技術を活用し、2DマップとAR技術を組み合わせてスマートフォンのウェブブラウザ経由で直感的なナビゲーションを提供するシステムである。専用のアプリをインストールする手間がなく、手軽に利用できるのが特徴だ。

(引用元:PR TIMES

最大の注目点は、対応エリアがステーションタワーという屋内から、「Tデッキ」やプロジェクションマッピングの会場となる「オーバル広場」といった屋外空間にまで拡張されたことである。ビルを跨いだ複数の会場間をシームレスにつなぎ、複雑な都市空間でのスムーズな移動を支援した。

(引用元:PR TIMES

さらに、ただ目的地を示すだけでなく、画面上の現実空間にイベントのキービジュアルである「目玉」の3Dオブジェクトが出現する。迷わず移動できる実用性にエンターテインメントの要素を加え、街を歩くこと自体を楽しませる工夫が凝らされている。

移動をアトラクションに。空間データが創る都市

巨大なオフィスビルや商業施設が立ち並ぶ現代の都市空間は、初めて訪れる人にとって迷路のような複雑さを持っている。平面の地図アプリでは、自分が建物の何階にいるのか、どの連絡通路を渡れば隣のビルに行けるのかを正確に把握することは難しい。目的地にたどり着くまでの「迷い」は、来場者の疲労を招き、施設全体の回遊性を低下させてしまう要因となる。

(引用元:PR TIMES

この物理的な迷路を解きほぐすのが、現実の風景にデジタルな道標を重ね合わせるARナビゲーションの力だ。スマートフォンのカメラが捉えた映像と空間データを照合し、目の前の景色に直接矢印やキャラクターを表示することで、利用者は直感的に進むべき方向を理解できる。屋内と屋外の境界線をなくし、連続したひとつの空間として認識させるアプローチは、都市の複雑さを利用者にとって分かりやすいものへと変えていく。

そして今回の取り組みが素晴らしいのは、移動という退屈になりがちな時間を「ワクワクする体験」へと昇華させている点にある。宙に浮かぶ目玉を追いかけて歩くうちに、参加者は自然とイベントの世界観に没入していく。単なる道案内がアトラクションの一部として機能し、来場者の足取りを軽くする。

仮想のオブジェクトが現実の風景を彩り、人々の好奇心を刺激する。デジタル技術が都市の空間に付加価値を与え、見慣れた街角に新たな発見と賑わいをもたらす。私たちの歩く道筋にエンターテインメントが寄り添うことで、これからの街歩きはより豊かで胸躍る体験へと進化していくはずだ。

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