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2026.09.04

実家をVRで丸ごと保存。家族を繋ぐ新事業

誰も住まなくなった実家をどうするか。空き家問題が深刻化する中、取り壊さざるを得ない現実に直面し、心の拠り所を失う喪失感に苦しむ人は多い。物理的な建物が消えても、家族の思い出や息遣いをそのままの姿で未来へ残すことはできないだろうか。この切実な願いに応え、思い出の家をデジタル空間へ保存するサービスが始まった。仮想空間が家族の絆を紡ぎ直し、社会的な孤立を防ぐ新たなソリューションとは。(文=MetaStep編集部)

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360度VRで空間を再現。思い出をデジタル資産へ

2026年8月、VRコンテンツの企画開発などを手掛ける株式会社Leolineは、家族が暮らした家を360度VRとして記録する新サービス「ハウストーリー(HOWSTORY)」の提供を開始した。

(引用元:PR TIMES

現在、日本国内では高齢化や人口の都市集中により、誰も住まなくなった実家を整理・処分する「実家じまい」が増加している。総務省の調査でも空き家数は過去最多を更新し続けており、不動産の解体や売却は避けられない社会課題となっている。しかし、家族にとって実家は単なる建物ではなく、思い出が詰まった精神的な拠り所であるため、手放すことへの心理的な抵抗感は大きい。


(引用元:PR TIMES

この問題に対し、同サービスは物理的な建物を「デジタル資産」として未来へ残す選択肢を提示する。独自の撮影方法とVR技術を用いて、柱の刻み傷から窓の外の景色、日々の息遣いに至るまでをミリ単位で仮想空間に再現する。さらに、家に残されていた古い写真や動画、過去帳、家系図などの情報もVR内に紐付けることが可能だ。

(引用元:PR TIMES

完成した空間は、名刺サイズのQRカードとして納品される。家族や親族はスマートフォンのブラウザからアクセスでき、いつでも当時の思い出を主観的に追体験できる。物理的な土地は更地にして手放す一方で、家族の源流とも言えるルーツはデジタル空間に保存されるのだ。核家族化が進む現代において、離れて暮らす家族を一つにつなぎ直す画期的な事業が立ち上がった。

記憶の共有が孤立を防ぐ。仮想空間の役割

建物をデジタル化して保存する技術自体は、不動産の分野ですでに広く活用されている。しかし、このサービスが全く新しい価値を放っているのは、テクノロジーの目的を「建物の記録」から「家族の絆の再生」へとシフトさせた点にある。

(引用元:PR TIMES

開発の原点には、代表自身が祖母の家を更地にし、父親が「帰る場所がなくなった」とこぼしたという切実な体験がある。物理的な家が消滅することは、単に資産を失うことではなく、親族が集まり昔を語り合う「共通の居場所」を失うことを意味する。単身世帯が急増し社会的な孤立が深刻な問題となっている今、家族の帰属意識を保つための場はこれまで以上に重要性を増している。

仮想空間に再現された「実家」は、この失われた居場所を補完する強力なインフラとなる。お盆や正月に遠く離れて暮らす親族がスマートフォンから同じVR空間にアクセスし、「この柱の傷はあの時についたものだ」と語り合う。デジタル技術が、希薄になりがちな人間関係を再び結びつけるための実用的なコミュニケーションツールとして機能するのだ。

(引用元:PR TIMES

さらに、過去の記録を整理し、先祖代々の歴史を一つの物語として編み直す過程そのものが、家を手放す喪失感を癒やし、前を向くための心のケアとなる。家族の生きた証を次の世代へと確実に手渡していく作業は、テクノロジーが人間の精神的な豊かさを守る意義深い取り組みである。

思い出の家を解体することは、もはや悲しい別れではない。現実の制約から解放され、いつまでも色褪せない家族の歴史として仮想空間に生まれ変わる。デジタルに刻まれた記憶が、人々の心を孤独から救い出し、これからの時代を生きるための心の拠り所となっていくはずだ。

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