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2026.08.14

「こんな街にしたい!」中高生が地元を変える【連載】「教室を飛びこえて」第9回

教育現場でメタバースの活用が広がる中、その役割は「ICT教材」の枠を超え、生徒が社会課題や地域の未来を考える学びの場へと広がりつつあります。

メタバースプラットフォーム「cluster」を提供する、クラスター株式会社は中学生・高校生を対象とした初のメタバースコンテスト「cluster Innovation Cup for youth(パイロット版)」を開催しました。テーマは「地元をアップデートしよう ~私ならこういう街にしたい!~」。生徒たちはバーチャル空間を使って、自分たちが暮らす地域の魅力や課題、未来の姿を表現しました。

この取り組みは、メタバース制作そのものを競うコンテストではありません。地域を観察し、課題を見つけ、アイデアを形にして発信する――。探究学習や地域連携が重視される現在の学校教育において、新たな実践モデルとなることを目指しています。

本記事では、当イベント授賞式の様子とともに、生徒たちがメタバースを通じてどのような学びを得たのかをレポートします。(リード文・編集=MetaStep編集部、本文=クラスター 佐久間楓さん)

「地元をアップデート」がテーマ。地域を見つめ直す学び

2026年春クラスター株式会社は中学生・高校生限定のメタバースコンテスト「cluster Innovation Cup for youth」を開催し、7月3日に授賞式を行いました。

当イベントの参加校は2〜5人のチームを組み、「地元をアップデートしよう ~私ならこういう街にしたい!~」をテーマに、自らメタバース空間(ワールド)を企画・制作します。

制作には、clusterの「ワールドクラフト」機能やUnity、Cluster Creator Kit(CCK)などを活用し、地域の魅力や課題を表現したバーチャル空間を構築。完成したワールドに加え、コンセプトを伝える1分間のプレゼン動画も提出します。

審査では、デザインや技術力だけでなく、地域課題の調査・分析力、課題設定の妥当性、チームでの役割分担や計画遂行力、プレゼンテーション力までを総合的に評価。生徒が地域を観察し、課題を発見し、それをデジタル技術で形にして発信するという、探究学習とクリエイティブ制作を融合した実践型プログラムとして位置づけられています。

メタバースプラットフォームをより広く学校・教育機関に知ってもらい、生徒が地域課題を考えるツールとして活用してもらうことを目指して企画したものです。

【cluster Innovation Cup for youth(パイロット版)授賞式】 

主催:クラスター株式会社 
開催日時:2026年7月3日(金)16:00~17:00 
会場:cluster内バーチャル会場 
対象:clusterを導入済みの学校の生徒(2〜5名チーム制)
 テーマ:「地元をアップデートしよう ~私ならこういう街にしたい!~」 

応募期間:2026年4月20日(月)~6月19日(金) 
応募数:20件(4校・20チーム) 
ノミネート作品:8作品 
審査員:加藤直人(代表取締役CEO)、東峰裕之(執行役員 開発本部長)、Fukuda(Creators Guide編集長)、小海聡(CG制作グループ 第一CRセンター長)

当イベントで重視しているのは、生徒たちが自ら地域を見つめ直し、「もっとこうなったらいい」というアイデアをバーチャル空間で具体化すること。

探究学習では、課題発見や地域との接点づくりが重要視されています。一方で、アイデアを形にし、多くの人へ伝える機会を設けることは容易ではありません。メタバースは、現実では実現が難しい構想も自由に可視化できるため、生徒の発想力や表現力を引き出す新たな教育ツールとして期待されています。今回は、その可能性を検証するパイロット版として開催されました。

既にclusterを導入している学校を対象に、4月20日から6月19日まで応募を受け付けたところ、4校から20件の作品が集まりました。授賞式では、テレビ朝日公式VTuberの桜葉ハグさんと、クラスターのエンジニアであるはまぐりがMCを担当しました。

地域への思いをバーチャル空間で表現。8作品がノミネート

20の応募作品から選ばれたノミネート作品は8つ。授賞式では1作品ずつ紹介し、会場にいる生徒たちがステージに登壇して、チームや作品について一言ずつ紹介する場面も設けました。登壇や発声が難しい生徒には、事前に寄せられたコメントをMCが代読する形で進行しました。紹介されたノミネート作品は、以下の通りです。

No. 学校名 チーム名 ワールド名(クリックで飛べます)
1 日本航空高等学校 ベリル floating island(浮遊島)
2 日本航空高等学校 Obsidian ちょっと豊野アップデート
3 郡山女子大学附属高等学校 研究部 開成山公園
4 郡山女子大学附属高等学校 チーム3年生 3年生ワールド
5 日本航空高等学校 よしか 東京 未来
6 郡山女子大学附属高等学校 Ms.ジャージャー麺 あおぞら公園&そよ風カフェ
7 郡山女子大学附属高等学校 A₃ A₃
8 郡山女子大学附属高等学校 ゆあーず おはる's Grid World

各チームの意気込みコメントに共通していたのは、来場するユーザーの気持ちを考えながら、地元や地域の魅力を発信する空間を制作したいという思いでした。歴史や自然、未来の都市像など切り口はさまざまでしたが、「訪れた人にどう感じてもらいたいか」を起点に空間を設計している点が印象的でした。単なる3DCG制作ではなく、地域課題を自分ごととして捉え、アイデアを形にする探究活動として取り組まれていた点は、本コンテストならではの特徴といえるでしょう。

4つの賞、審査員が見た「本気」の形

ノミネート作品の紹介を終えると、いよいよ受賞作品の発表へ。審査員が、選んだ作品と理由を発表しました。

最初に発表されたのは、ベストフューチャークリエイター賞です。選ばれたのは「郡山女子大学附属高等学校チーム Ms.ジャージャー麺」(ワールド「あおぞら公園&そよ風カフェ」)でした。

「子供も大人も交流できる公園というコンセプトが魅力的でした。特に、保護者がカフェでお茶をしながら子供を見守れる設計など、利用者の気持ちに寄り添ったアイデアが光っていました」(クラスター社 東峰)

続くベストフロンティアスピリッツ賞に選ばれたのは同じく郡山女子大学附属高等学校の「チーム3年生」(ワールド「3年生ワールド」)でした。Creators Guide(clusterでの作り方を紹介するガイド)編集長のFukudaは選んだ理由をこのように語りました。

「建物の屋上にジェットコースターを敷いて通学に使うという遊び心あふれるアイデアが面白かったです。3D空間の立体的な特徴をしっかり活かした設計に、ワールドクラフト(clusterにおいてUnityなどの外部アプリケーションを使用することなく、自分だけのワールドを作成・アップロードができる機能)を使う意義を感じました」(Fukuda)

ベストビジュアルアーツ賞に選ばれたのは郡山女子大学附属高等学校「チーム ゆあーず」(ワールド「おはる's Grid World」)でした。クラスター社CGチーム代表の小海は選んだ理由をこのように語りました。

「これだけの規模感をこのクオリティで作り切ったのは本当に素晴らしかったです。作りたいものへの情熱とチームワークを最大限に評価しました」(小梅)

そしてグランプリに選ばれたのは、「日本航空高等学校チームベリル」(ワールド「floating island(浮遊島)」)です。加藤は選んだ理由をこのように語りました。

「『こういう世界があったらいい』という思いを真剣に形にしているのが伝わってきました。見た人に『どうすれば実現できるか』を考えさせる力があり、全作品の中で最もインスピレーションを受けたので、総合グランプリに選びました」

「世界は変えられる」。未来のクリエイターへ贈ったメッセージ

閉会にあたりクラスター代表取締役CEO 加藤 直人は参加した20チーム全員へ改めて感謝を伝えるとともに、今回のテーマを通じて伝えたかった思いを語りました。

「バーチャル空間を通じて、皆さんが住んでいる街は変えられるということを感じてもらえたら嬉しいです。普段触れているものは誰かが作ったもの。自分たちの想像力やクリエイティビティで、もしかしたら変えられるかもしれない。そのことをこのイノベーションカップで学んでもらえたらありがたいです。秋にも開催予定ですので、今回受賞した皆さんも、悔しい思いをした皆さんも、もう一度参加して、次はもっとクリエイティビティを爆発させてくれたら嬉しいです」(加藤)

編集後記

今回の授賞式を通じて印象に残ったのは、受賞した作品のいずれもが、単に技術を使いこなしただけでなく、「誰のために、何を実現したいか」という問いに向き合っていたことです。加藤が語った「普段触れているものは、誰かが作ったもの。それは変えられる」という言葉の通り、生徒たちがバーチャル空間を通じてその実感を得てくれたなら、私たちとしてもこれ以上嬉しいことはありません。秋に予定している全国規模の本大会も、より多くの生徒たちに参加していただけることを楽しみにしています。

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