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2026.04.14

バーチャルと現実の相互利用 理経がXRの社会実装を見据える

Web3・メタバース・XRの社会実装とビジネス活用はいまどこまで進んでいるのか。当連載「未来を導く知の羅針盤」では、業界を牽引する経営者・専門家など、有識者16名の証言から、その現在地と未来の可能性を探る。
※本記事は『MetaStep Magazine』に掲載した記事を再掲載したものです。その他の記事は冊子でお読み頂けます。

株式会社理経 執行役員 次世代事業開発部長
石川 大樹さん

理経について
ITおよびエレクトロニクス分野の技術商社。XR領域では製造業向けのデジタルツインや研修・シミュレータ分野で実績を持ち、顧客の課題解決型ソリューション提供を強みとする。
技術革新を追求し、社会全体のITインフラ基盤の発展と社会課題解決に貢献する。

ここ数年、XRを産業分野で活用する動きは着実に広がりを見せている。とはいえ、スマートフォンのように革新的なコンテンツとして業界全体を揺るがすほどの波には、まだ至っていない。各業界ではXRをどう扱っていくべきか考え続ける必要がある。「視点を狭めず、バーチャル空間の活用方法を模索し続けることが重要です」。こう語るのは、IT分野の技術商社である理経 執行役員 次世代事業開発部長 石川 大樹さんだ。

理経は、1990年代からVRの元祖とされるアイバン・サザーランド博士の会社の代理店を務め、プロジェクションマッピングやCG関連の事業に携わってきた。2015年頃からはXRを各産業にどう活用できるか、自治体及び民間企業向けに研究や実証実験を進めている。

その中で石川さんは、XRの利用拡大に向けた一つのアプローチとして「ハードウェアインザループ(HIL)」を挙げる。「これは、バーチャル空間と実物ハードウェアのデータを連携させ、単独のバーチャル空間では実現しにくい価値を創出する取り組みです。今後のXR 活用はバーチャルと現実、両方の空間を相互活用していくことがポイントとなります」(石川さん)。

製造分野では近年、CADソフトウェア自体にVRビューアー機能が搭載されている。車両用モーターの動きといった部品の動作検証や、製造品にかかる光の反射、色味の確認など、実物に極めて近い状態でのシミュレーションが可能となっている。設計データを容易にVR空間で確認できる利便性は高く、実際に多くの人がゴーグルを装着し体感している現状は、XR社会実装の加速を示す兆しとなっている。

車両用モーターの挙動確認。3Dモデルで実際の動きを再現している

産業用ロボットへの実装も進む。工場内で多数の自律走行ロボットを動かす際、現実でロボットを稼働させ、地図作成や学習操作を行うと時間がかかる。そこで、ロボットの「脳」となるNVIDIAのJetsonデバイスと連携し、事前にバーチャル空間で動作を学習させ、その結果を実機に反映する形が目指されている。

XRの社会実装には依然として課題が残るものの、事例は着実に増加し、環境整備も進みつつある。「近年はOenUSDやOpenBIMのような、データを共通フォーマットにする取り組みも注目されています。XRデバイスのスペックも年々向上しており、ブレイクスルーはそう遠くないはずです」(石川さん)。

生産工場のレイアウトも直感的に手で行える

(素材提供:理経)

ー 日本再興のヒント ー
XRとHIL技術が融合し、日本のものづくりに新たな競争力をもたらす