これまで若者文化の発信地として時代を牽引し、多くのトレンドを生み出してきた渋谷の象徴が、次なる舞台としてメタバースを選んだ。デジタル上の自己表現が現実の熱量と交差する時、私たちが抱くファッションの概念はどのように変わるのか。仮想空間から始まる新たな消費と交流の体験が、日本のクリエイティブ産業をさらに高みへと引き上げていく。(文=MetaStep編集部)
2026年3月31日、株式会社SHIBUYA109エンタテイメントは、世界で毎日1億5,000万人がプレイするオンラインゲームプラットフォーム「Roblox」において、オリジナルゲーム「FASHION RUNWAY SHIBUYA109」をリリースした。
(引用元:PR TIMES)
企業や自治体向けにオリジナルゲーム開発などを手掛ける株式会社tenshabiが制作を担当した本作は、ファッション、ロールプレイ、ソーシャルという3つの要素を掛け合わせたコーディネート対戦型のオンラインゲームである。
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プレイヤーは、ファンシーでポップな世界観で再現された渋谷の街並みやSHIBUYA109渋谷店の館内を自由に探索できる。毎回変わるテーマに沿って、トップスやボトムス、ヘアアイテムなど約500点以上のアイテムから自由に試着し、自分だけのコーディネートを完成させる。
制限時間終了後にはSHIBUYA109の前にランウェイステージが出現し、リズムゲームをプレイしながらファッションを披露。他プレイヤーやAIからの評価で総合スコアが決まり、上位3位までのプレイヤーが表彰台を飾る仕組みだ。
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何度もランウェイを勝ち抜くことで「SHIBUYA109 Staff」や「Trend Setter」といった特別な称号を得られ、ロビーエリアとなる渋谷の街中広場で共有してプレイヤー同士の交流を楽しむことができる。また、一定のポイントを稼ぐことで使用できるVIPルームなど、継続して遊びたくなる仕掛けも豊富に用意されている。
企業理念に「Making You SHINE!-新しい世代の“今”を輝かせ、夢や願いを叶える-」を掲げる同社は、これまでも若者の夢や願いを叶える場所を提供してきた。今回の「Roblox」への参入は、物理的な制約を超えて、新しい世代の「今」を仮想空間でも輝かせるための本格的な一歩と言える。
現実世界において、新しいファッションに大胆に挑戦したり、多くの人の前でランウェイを歩いたりすることは、周囲の視線という心理的なハードルや経済的な制約が伴う。しかし、「Roblox」という仮想空間であれば、アバターを通じて「なりたい自分」を誰でも無料で自由に表現することができる。このデジタル上での試行錯誤と、他者からの肯定的な評価の蓄積は、現実世界における自己肯定感を育むための重要なクッションとなる可能性が高い。
さらに注目すべきは、企業とユーザーの「共創」による新しいマーケティングの形である。SHIBUYA109という強力なブランドが、一方的に商品を宣伝する広告媒体としてメタバースを利用するのではなく、ユーザー自身がゲームを楽しみ、主体的に参加できる遊び場を提供している。今後は特別な限定アイテムの販売や、アーティストとのコラボレーションイベントなども予定されており、仮想空間での熱狂が現実の店舗や消費活動へとシームレスに還元されていくエコシステムが構築されつつある。
渋谷という街において、長年培ってきた若者文化の熱量。デジタルの壁を越えて世界中の人々へと広がっていく。テクノロジーとエンターテインメントが有機的に結びつくこの挑戦は、次世代のクリエイターや企業にとって、新しい価値を生み出すための大きな刺激となるはずだ。デジタル空間で磨かれた感性が、やがて現実の街を彩り、日本全体のカルチャーをステップアップさせるための確かな原動力となっていくだろう。