チケットを買って観戦するだけの関係から、テクノロジーを通じてファンとチームが体験を共創する関係へ。スポーツ界におけるファンエンゲージメントの革新が進む中、Web3技術を活用した先進的な試みが各地で立ち上がっている。しかし、どれほど斬新なアイデアであっても、仕組みの権利化や安全な連携基盤が整っていなければ、模倣のリスクに晒され、一過性の取り組みで失速してしまう難しさがあった。
こうした先行者が直面する壁を乗り越え、他者と安全に手を組むための布石が打たれた。2026年7月、鎌倉インターナショナルFC(通称:鎌倉インテル)は「鎌倉スタジアムNFTプロジェクト」に関する特許を取得したことを発表した。現実の競技空間とブロックチェーン上の権利を結びつける技術の権利化は、地方クラブの挑戦を守る盾となるだけでなく、スポーツとデジタルの融合モデルを他産業へ広げるための強固な基盤になりつつある。(文=MetaStep編集部)
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(引用元:PR TIMES)
鎌倉インテルが取得した特許(特許第7891699号)は、空間における特定の場所と仮想的な権利をブロックチェーン技術で関連付ける仕組みを対象としたものだ。同クラブは2025年9月に出願を行い、審査を経て正式に権利化を果たした。
本技術の核は、現実空間の出来事をデジタル上の価値へと直結させるプロセスにある。スタジアムのグラウンド(102メートル×64メートル、計6,528平方メートル)を1平方メートル単位で6,528区画に分割してNFT化。その上で、AIやセンサー技術を用いて試合中のゴールなどのプレー発生位置を検出し、ブロックチェーン上の区画権利者データと即座に照合する。さらにスマートコントラクトを介し、該当するNFT所有者へ自動的に特典やリワードを付与する設計だ。
この仕組みにより、ファンは自分が権利を持つ区画で起きたドラマに直接連動したインセンティブを受け取ることができる。鎌倉インテルは今回の特許取得を機に、ゲーム要素の発展や他競技へ導入可能なパッケージ化に向け、協業パートナーの募集を開始した。守るべきコア技術を明確にしたことで、一クラブの枠を超え、外部企業とより深く手を組むための実践的な土台を整えた形だ。
鎌倉インテルによる今回の特許取得は、Web3を活用した事業開発において「知財による防衛」こそが健全なアライアンスを機能させる土台になることを示している。
一般的に、Web3の領域では分散性やオープンソースの思想が重んじられる傾向が強い。しかし現実には、先駆者のアイデアが資本力のある大手企業に容易に模倣され、発祥元の存在感が薄れてしまう懸念が常に存在する。鎌倉インターナショナルFC 代表 四方 健太郎 氏が述べる「他者を排除するためではなく、最初に挑戦した側が排除されずに共創を続けるため」という言葉の通り、今回の権利化は参入を阻む囲い込みではなく、先駆者が主導権を握ったまま対等な関係を結ぶための防衛策といえる。
また、確固たる知財基盤を持つことは、他競技や商業施設といった他産業への横展開を進める上でも大きな説得力を持つ。空間の区画化とデジタル権利の紐付けという汎用的な枠組みをライセンス可能なソリューションとして提示することで、導入側にとっても紛争リスクを恐れずに協業へ踏み切れる環境が整うからだ。
Web3の理念を社会実装へ昇華させるためには、既存の法制度や知財戦略を賢く組み合わせる視点が欠かせない。鎌倉インテルが示した「共創のための特許取得」というアプローチは、地方発の挑戦者が自らの独自価値を守りながら、業界標準の確立に向けて仲間を募るための現実的な一手となるだろう。
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