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2026.04.24

日本発VRが世界で勝つ! Moguraが見据えるXR市場

Web3・メタバース・XRの社会実装とビジネス活用はいまどこまで進んでいるのか。当連載「未来を導く知の羅針盤」では、業界を牽引する経営者・専門家など、有識者16名の証言から、その現在地と未来の可能性を探る。

※本記事は『MetaStep Magazine』に掲載した記事を再掲載したものです。その他の記事は冊子でお読み頂けます。

株式会社Mogura 代表取締役
久保田 瞬さん

Moguraについて
XR(VR・AR・MR)やメタバース、V Tuber分野に特化した専門メディア「Mogura VR」などを運営。企業や行政機関向けにリサーチ・コンサルティング・開発サービスも展開している。国内最大級のXRカンファレンス「XR Kaigi」の主催など、XR発展に寄与する多角的な事業を展開している。

「新しい領域を切り開くコンテンツを掘り出したい」。Mogura 代表取締役 久保田瞬さんは日本のVRに期待を寄せる。久保田さんが編集長を務める国内最大級のVRメディア「MoguraVR」は2015年から国内外のVRニュースを発信し続けている。その中で、世界での取り組みとの差を、メディアの立場から肌で感じているという。「日本国内では、確固たるキラーコンテンツはまだ存在していません」(久保田さん)。

世界ではVRゲームの市場が確立されている。例に挙げたのは、海外の子どもを中心に大人気のVRゲームGorilla Tag™(以下、ゴリラタグ)だ。ゴリラタグは、他のプレイヤーが操作するゴリラと鬼ごっこを楽しむシンプルなゲームだ。アクティブユーザーは1日あたり100万人に達し、年間の収益は約160億円に上る(2024 年6月時点)。その背景には、ヘッドマウントディスプレイ(以下、HMD) の高い普及率がある。米国の投資銀行PiperSandlerによる2024年春の調査では、米国の10代のうち30%以上がHMDを所有しているという。

HMDが家庭用ゲーム機とほぼ同程度の価格帯である299ドルで購入できることも、子どもへのプレゼント需要を後押ししている。一方、日本ではHMDが輸入品であることによる高価格や、言語の壁が普及の障壁となっている。

北米で熱狂的な人気を誇るVRゲーム「ゴリラタグ」

日本では、HMDが輸入品であることから価格が若干割高だ。さらに、多くのゲームがボイスチャットを使った複数人プレイが主流となっている。そこでは海外ユーザーが多数を占めているため、英語が話せない日本人にとっては、言語の壁が大きな障害となっている。

ただし、国内のHMD普及率とは別に、日本発で世界に通用するコンテンツを生み出すことは十分に可能だ。「ゴリラタグのような海外発のゲームは、日本人と感性が違うから遊ばれているというわけではありません。任天堂が世界で成功しているように、普遍的な面白さを持つゲームは作れるはずです」(久保田さん)。特に、日本国内ではインディーゲームシーンが活況を呈している。海外でヒットしているコンテンツも多く、VR分野でも成功できるクリエイターは多いはずだ。まずはグローバル展開を優先し、認知度を高めた上で、日本語対応やアジアサーバーの設置など、日本市場を意識したコンテンツが増えれば、国内のVR 普及状況も変わる可能性がある。

さらに、今は制作を個人でできる時代だ。「ゴリラタグは元々1人のクリエイターが制作を始めたものですし、VRChatなどにおけるワールド制作も、今は個人で始めることが多いです。VCからの資金調達や大人数のチームが必要という従来のスタートアップの形ではなく、個人のアイデアで気軽に始められ、マネタイズまで到達できるという点でVRは非常に面白い市場です」(久保田さん)。生成AIによって個人の制作力も上がっている。昨今のARグラスの普及も追い風になり、VRゲームだけでなく日本のXR全体が盛り上がる。そして世界で輝くコンテンツ制作の土壌が培われていくはずだ。日本のクリエイターたちの力に、今後ますます期待がかかる。

(素材提供:Another Axiom)

ー 日本再興のヒント ー
個人でヒット作を生める時代。日本のクリエイターがVRの未来を切り拓く