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2026.10.20

「子ども向けメタバース空間」で学ぶ防災

災害時に本当に頼りになるのは、暗記した知識ではなく、周囲と協力して行動できる力だ。しかし、従来の防災教育では、子どもたちに「避難所での不自由さ」や「助け合いの重要性」を自分ごととして実感させるのは困難だった。
この課題に対し、世界中の若年層が熱中するオンラインゲーム空間を、実践的な学びの場へと変換するプロジェクトが成果を上げている。デジタルとリアルを交差させる新しい教育の形は、子どもたちの意識をどのようにアップデートするのだろうか。(文=MetaStep編集部)

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ゲームの中で避難所を体験。名古屋市の実証

2026年8月20日、XRやAI技術を活用したシステム開発を行う株式会社ビーライズは、名古屋市が実施する先進技術の実証プロジェクトにおいて、子ども向け防災教育メタバースゲーム「シェルタークエスト」の開発と実証実験を完了したと発表した。


(引用元:PR TIMES)

大規模災害が懸念される中、市民の防災意識は自分や家族を守る「自助」に集中しがちであり、周囲と協力する「共助」への意識が低いという課題があった。特に災害経験のない子どもたちにとって、避難所での生活や配慮が必要な高齢者らの困りごとを想像することは容易ではない。

(引用元:PR TIMES)

そこで同社は、子どもたちに馴染みのあるゲームプラットフォーム「Roblox」上に仮想の避難所を構築した。小学生を対象とした体験会を実施した結果、9割以上の子どもたちが「ゲーム上で避難所の様子が分かった」「避難所ではみんなで助け合うことが大事と感じた」と回答した。「スマホの充電器が必要など、具体的な悩みが分かった」「一人ではできないことも、チームで協力すれば解決できる」といったリアルな声も寄せられている。


(引用元:PR TIMES)

保護者からも「周囲の人と相談、協力して仮体験できることは記憶に残ると思う」と高い評価を得ており、従来のプリントや座学では届きにくかった防災への意識が、ゲームという身近なインターフェースを通じて子どもたちの心にしっかりと根付いたことが確認された。

あえて不便さを残し、コミュニケーションを促す仕掛け

メタバースを用いた教育コンテンツの多くは、「現実の空間をリアルに再現し、情報を分かりやすく提示すること」を目的としがちだ。しかし、この実証実験では、子どもたちが能動的な話し合いを行えるような仕掛けがあった。ゲーム内に施された2つの秀逸な体験デザインを紹介しよう。


(引用元:PR TIMES)

1つは、自分が選んだキャラクター(子ども、大人、高齢者など)によって、避難住民から得られるヒントや持てるアイテムの制限が変わる仕組みだ。そしてもう1つは、次の目的地を示す親切なナビゲーションをあえて画面上に表示しないという非ガイド型の設計である。

これらの仕掛けにより、プレーヤーは自分一人の画面を見ているだけではゲームをクリアできない。同じエリアにいる仲間に対し、現実の場で「自分だけが見たヒント」を共有し、作戦を練らなければ進行できない構造になっているのだ。

(引用元:PR TIMES)

災害時に求められるのは、目の前の人間とコミュニケーションを取り、助け合う行動力だ。あえてデジタル空間に「一人では分からない」という不便さを組み込み、それを乗り越えるために現実のチームワークを要求するこのアプローチは、防災教育の枠を超えて、他者と協働する力を育むための実用的なモデルとなるだろう。

名古屋市防災危機管理局からも「繰り返し学べるコンテンツとして有用」と評価されており、同社は今後、学校の授業や地域のイベントなどで誰もが簡単に導入できる「防災教育パッケージ」としての展開を予定している。

最新技術を用いながらも、学びの着地点を人間同士のリアルな繋がりへと設定する、仮想空間を実践的な教育へ繋ぐこのアプローチは、次世代を支える子どもたちのたくましい感性を育てていくだろう。

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