急増するインバウンドで、外国人旅行者が日本の店で買い物をする機会は増えている。一方で、国をまたぐ決済には、まだ多くの課題が残っている。両替の手数料やクレジットカードの為替手数料に加え、決済端末の操作に戸惑うことで、レジ前に時間がかかることもある。こうした負担は、旅行者だけでなく、対応する店舗側にも重くのしかかっている。ブロックチェーンやステーブルコインを使った新しい決済手段も登場しているが、日常の買い物で誰もが簡単に使える仕組みは、まだ十分に整っていない。
こうした決済の課題を解消し、日本とアジアのデジタル金融をつなぐ動きが始まっている。2026年9月11日、株式会社ネットスターズは潜在ユーザー2億5,000万人以上を抱えるパブリックブロックチェーン「Kaia(カイア)」と基本合意書(MOU)を締結したと発表した。今回の連携では、ネットスターズが持つ国内約70万拠点の決済網と、アジアで展開するWeb3基盤をつなぐ。外国人旅行者が日本の店舗でよりスムーズに決済できるなど、国境を越えた新しい購買体験の実現を目指す。(文=MetaStep編集部)
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(引用元:PR TIMES)
マルチキャッシュレス決済ソリューション「StarPay」を展開するネットスターズにとって、今回のMOU締結は、次世代決済構想「StarPay-X」を具体化する一歩となる。連携するKaiaは、LINEの「Finschia」とKakaoの「Klaytn」が統合して誕生した、EVMに対応するパブリックブロックチェーンだ。
今回目指すのは、アジア各国の通貨に連動したステーブルコインを、日本の店舗で使えるようにする仕組みだ。ネットスターズは、年間決済取扱高2兆円超、加盟店約70万拠点、導入企業15,000社以上の決済ネットワークを持つ。ここに、Kaiaがアジアで構築を進めるステーブルコインの基盤を組み合わせる。
利用イメージはシンプルだ。訪日客は、自国の通貨に連動したステーブルコインで支払う。一方、店舗側はステーブルコインを直接扱う必要はなく、売上は日本円で受け取る。つまり、旅行者は普段使っているデジタル通貨で支払い、店舗はこれまでと同じように日本円で売上を受け取れる仕組みを目指している。
まずは韓国ウォン、香港ドル、台湾ドル、東南アジアの主要国通貨などへの対応を視野に入れる。さらに、Kaiaのエコシステムで提供されるオンチェーン外国為替オーケストレーション・レイヤー「Ratio」を活用し、通貨交換に必要な流動性の確保や、決済後の資金を確定させる清算の仕組みについても検証を進める。
ネットスターズとKaiaによる今回の連携が示唆するのは、ステーブルコインの現場実装が「閉じられた金融取引」から「アジア規模の生活インフラ」へと本格的に移行し始めたという事実である。
メッセンジャーアプリを背景に持つKaiaのリーチ力は、既存のWeb3ユーザーにとどまらず、一般の旅行者が日常の延長でデジタル通貨を使いこなす土台を備えている。この広大なユーザー基盤が、日本の約70万拠点に及ぶPOSレジや決済端末と直結することの意義は大きい。従来の国際ブランドカードに依存した高コストな為替手数料や決済手数料を迂回し、より低廉で即時性の高い資金移動が店頭で実現するからだ。
また、店舗側にとっても、新たな端末を導入することなく既存の「StarPay」の仕組みを生かしてアジア全域の購買力を呼び込めるメリットがある。インバウンド需要の恩恵を地方や中小の小売店まで波及させる上でも、通貨の壁を取り払う決済ゲートウェイの存在は強力な後押しとなるはずだ。
Web3技術の真価は、技術そのものの新規性ではなく、既存の商習慣や生活導線にいかに自然に溶け込ませられるかによって問われる。ネットスターズとKaiaが提示した店頭決済モデルは、アジアの経済圏をシームレスにつなぎ、インバウンド消費を次の水準へ引き上げるための重要な布石となるだろう。
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