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2026.08.28

ガラスの反射も3D化。空間記録の最前線

カメラで風景を切り取るように、空間そのものを丸ごと保存したい。しかし、ガラスの反射や水面の揺らぎなど、現実の複雑な質感をデジタルに変換することは長らく困難だった。今、その常識が覆りつつある。最新の3Dスキャン技術は、驚くほど手軽にその場の臨場感を仮想空間へと転写する。体験セミナーから、現実をデータ化し社会へ実装していく新たなテクノロジーの可能性を探る。(文=MetaStep編集部)

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高精細な空間をハンディスキャナーで記録

2026年7月、ドローンや3Dスキャナーを活用したソリューションを提供する株式会社セキドは、福岡市にて最新の空間キャプチャ技術「3DGS(3D Gaussian Splatting)」のモデル作成を体験できる無料セミナーの開催を発表した。7月24日と8月20日に実施されたこのセミナーは、各回先着5名という少人数制で、実務への導入を検討する企業に向けて実践的なノウハウを提供する場として企画された。

(引用元:PR TIMES

セミナーの目玉となったのは、XGRIDS社のハンディスキャナー「PortalCam」を用いた実演だ。従来の3Dモデル生成手法では、ガラスの透過や水面の反射といった複雑な現象の表現は難しく、細部の輪郭もぼやけがちだった。しかし、最新技術である3DGSはこれらの課題を克服し、肉眼で見ているかのようなフォトリアルな空間データを生成する。

(引用元:PR TIMES

会場では、スキャナーを用いた空間キャプチャの基本から、専用のモデル作成ソフト「Lixel CyberColor」を使った一連の制作フローまでを解説。参加者は撮影からデータ変換、仮想空間への落とし込みまでのプロセスを間近で確認し、自社の業務にどう活用できるかを講師に直接相談する機会が設けられた。

この最新技術は、VRやゲームの制作といったエンターテインメント領域をはじめ、不動産プロモーションや文化財の保存など、現実空間の高精細な再現が求められるあらゆる分野での活用が期待されている。地方都市から最新の3D表現手法を発信する取り組みは、空間をデジタル化する技術の裾野を広げる役割を担っている。

空間の記憶を共有。仮想が広げるビジネス

新しいテクノロジーが普及するためには、優れたハードウエアだけでなく、それを現場で使いこなすための「実践的な知見」が不可欠である。高精細な3Dスキャン技術は、かつては潤沢な予算を持つ一部の研究機関や大企業の専売特許であった。しかし、軽量なハンディスキャナーと高効率なソフトウエアの登場により、その敷居は劇的に下がっている。今回のように少人数制で手厚いサポートを受けられる体験の場が提供される意義は大きい。

現実の空間をそのままデジタルツインとして仮想世界へ持ち込むことは、ビジネスのあり方を根底から変革するポテンシャルを秘めている。例えば、老朽化が進む歴史的建造物や観光資源を、ガラスの反射や木々の質感に至るまで完璧にアーカイブし、世界中に向けて発信する。あるいは、不動産の内覧を仮想空間で行い、現地に足を運ばずともその場の空気感を感じ取ってもらう。こうした体験は、単なる情報の伝達ではなく、人々の感情を動かし、現実世界での行動を力強く促す起爆剤となる。

さらに、空間を3Dで記録する作業自体が、特別なスキルを必要としない日常的な行為へと近づいている。写真で空間を2次元に記録したように、これからは空間を3次元で記録する時代だ。現実を仮想空間へ移し替えることで、誰もがクリエイターとなり、現実の物理的な制約から解放された新しいコミュニティや経済圏が生まれていく。

地方から発信される最先端の体験は、地域に眠る価値を再発見し、世界と結びつける強固なインフラとなる。人間の身体感覚を拡張する技術が、現実の課題を解決し、より豊かな社会を築き上げていくはずだ。

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