デジタルツインやメタバースの構築では、「現実をいかに再現するか」という工程が、大きな課題の一つとなってきた。従来のフォトグラメトリやポリゴンベースのモデリングは、膨大な撮影枚数と緻密な修正作業、そして大容量データの管理も必要となる。実写に近い質感を求めれば求めるほど、制作コストと描画負荷は跳ね上がる。この構造的な制約が、3Dデータの産業活用を一部の領域へ足止めさせてきた事実は否めないだろう。
2026年6月、株式会社アスクが提供を開始した「ASK 3DGS」は、こうした課題を次世代技術「3Dガウシアンスプラッティング(3DGS)」によって突破する試みだ。従来のようにモデリングによって一から形を作るのではなく、スキャンしたデータの色や透明度、奥行きをダイレクトに可視化する。このアプローチの転換は、現実空間をデジタル化する作法に、新たな選択肢をもたらす技術として注目されている。(文=MetaStep編集部)

(引用元:PR TIMES)
2026年6月24日に発表された「ASK 3DGS」は、実写空間を写実的かつ高速に3Dデジタル化する「3DGS」と、NVIDIA アクセラレーテッド コンピューティングを組み合わせたワンストップソリューションである。撮影計画の策定から、GPUによる高速生成、さらには仮想空間上での可視化・リアルタイム再現までを一気通貫で支援する。
3DGSは、無数のガウシアンスプラットと呼ばれる要素に色や透明度、奥行きなどの情報を持たせることで、現実空間を忠実に再現する技術だ。従来のポリゴンメッシュへの変換を必要としないため、データの軽量化と高品質な描画を同時に実現できる点が特徴だ。また、高性能GPUを活用した最適化処理により、従来のフォトグラメトリなどの3D生成手法と比較して、3D生成にかかる時間やワークフローを大幅に短縮することが可能になった。
さらに「ASK 3DGS」は、UnityやUnreal Engine、NVIDIA Omniverseを活用した3Dアプリケーションなどとの連携を標準で備えている。これにより、作成した高精細な3Dデータを各種3Dアプリケーション上で可視化・検証できる環境を提供する。単なるデータの納品にとどまらず、内製化を見据えた教育やトレーニングも提供しており、導入から運用までを見据えた支援体制を整えている。
アスクによる今回のサービス展開は、産業界における3Dデータ活用が「模型を作る」段階から「空間をそのまま写し取る」段階へ移行したことを示している。
これまでの3D化は、現実に似せたモデルをデジタル上に再構築する、いわばクリエイティブな「作業」としての側面が強かった。しかし、スキャンしたデータをそのまま可視化する3DGSの普及は、3D化を「空間の撮影」に近い体験へと変貌させる。この工数の削減は、工場設備や建設現場のデジタルツイン化を、より幅広い用途で活用しやすくなる可能性があるだろう。
また、総合商社であるアスクが、インフラ設計から実装までをパッケージ化して提供することは、日本企業が技術の進化に適応し、社会実装を加速させるための有力な材料にもなる。
3D技術の焦点は、形状の正確さだけでなく、質感や空気感をいかに低負荷で共有できるかというフェーズへ移っている。アスクが提示したソリューションは、物理世界とデジタル空間の境界を透明にし、空間コンピューティングを当たり前のインフラとして定着させるための一歩となるだろう。