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2026.08.18

日本一小さな村の挑戦。NFTが変える命名権

人口減少に伴う税収の減少や公共施設の老朽化が進む中、地方自治体はいかにして自主財源を確保し、地域インフラを維持していくか。この課題は今、日本全国で深刻さを増している。民間資金を呼び込んで施設の維持管理費を補う「ネーミングライツ(命名権)」はそうした課題への解決策の一つとして期待されてきたが、従来の仕組みは大都市圏の大型競技場や文化ホールなどが中心であり、小規模な自治体が企業からの支援を募るには手続きや運用の面で高い壁が存在していた。
こうした課題を抱える中、独自のWeb3技術を活用して新たな財源モデルに挑む自治体がある。2026年7月、株式会社あるやうむと富山県舟橋村は、村内の4つの公共施設を対象に、ネーミングライツをNFTとして販売・募集する取り組みを開始した。ブロックチェーン技術を用いたこの手法は、地方創生における資金調達のあり方を大きくアップデートする可能性を秘めている。(文=MetaStep編集部)

公共施設の命名権をデジタル化。TOKKENが提供する新たな選択肢


(引用元:PR TIMES

2026年7月7日、あるやうむは日本一面積が小さい自治体である富山県舟橋村と連携し、村内の公共施設を対象としたネーミングライツの募集を、デジタル権利の販売プラットフォーム「TOKKEN」上で開始した。対象となるのは、京坪川河川公園(既存愛称:オレンジパーク)、舟橋会館、舟橋村立図書館、舟橋駅南第1駐車場の4施設である。

今回の取り組みにおける最大の特長は、ネーミングライツの保有・利用履歴をデジタルデータ(NFT)としてブロックチェーン上で記録・管理する点にある。募集価格は4施設一括で、5年間の最低価格が600万円(税別)に設定されており、施設ごとの単体購入(100万円〜300万円)にも柔軟に対応している。また、公園においては子どもたちの投票で決まった既存愛称「オレンジパーク」を尊重・維持しながら表示するなど、地域住民の愛着や施設の品位に配慮した設計がなされている。

(引用元:PR TIMES

購入手続きは単なる先着順ではなく、舟橋村による審査や協議を経て、提案金額や施設との親和性、地域貢献性などを総合的に勘案して決定される仕組みだ。従来、紙の契約書や個別交渉に依存していた権利取引をWeb3技術でプラットフォーム化したことで、企業の参画手続きは大幅に簡略化された。これは自治体側にとっても、透明性の高いプロセスで新たな財源を獲得できる環境が整ったといえるだろう。

Web3が切り拓く地方創生。公共空間と企業を結ぶ新たな財源モデル

あるやうむと舟橋村が推進するこの取り組みが示唆するのは、Web3技術を活用することで、小規模自治体であっても全国の企業と直接繋がり、地域固有の公共価値を資金化できるという新しい地方創生の姿である。

これまで「TOKKEN」では、伝統芸能の体験権利や特産品の継続提供、車内メロディの放送権など、地域固有の価値をNFT化する取り組みが進められてきた。舟橋村のように小規模な自治体であっても、住民の暮らしに密着した公共施設は存在する。これらをデジタル権利として外部へ提供する手法は、地域の公共価値を可視化する新たなアプローチとして注目される。

こうしたデジタル権利を購入する企業側にとっては、単なる看板の掲出にとどまらず、子育てや学びを支えるインフラへの支援を通じたCSR(社会的責任)の推進や、地域貢献企業としての採用ブランディング効果が期待できる。また、ブロックチェーン上に取引履歴が明確に残ることで、単発のスポンサー関係を超えた持続的なパートナーシップを構築しやすくなる点も、Web3技術ならではの大きなメリットとなっている。

自治体における財源開拓の手法は、従来の地方交付税や補助金、ふるさと納税に加え、「地域資源のデジタル権利化」という新たな段階へ入った。地方の公共空間と全国の企業を直接結びつけるこのWeb3モデルは、全国の小規模自治体が持続可能なコミュニティを維持するための有効な選択肢となるはずだ。