デジタル上のアバターに振袖を着せ、愛好家たちと語り合う。そこから生まれる熱狂が、いま現実の売り上げを動かしている。かつて一部のファンの遊び場だったメタバースは、企業の新たな顧客接点として確かな経済圏を築きつつある。だが、いざ参入となれば「何から始めればいいか」と足踏みする担当者は多い。この未知の領域へ企業を導く実践的な展示会が東京ビッグサイトで開かれた。仮想空間にビジネスを実装するヒントを探る。(文=MetaStep編集部)
2026年6月、次世代ソーシャルワールド領域のインフラ企画などを手掛ける株式会社Vは、東京ビッグサイトで開催された「第6回 XR・メタバース総合展 夏」に出展した。メタバース領域の最新トレンドや、ソーシャルVRプラットフォーム「VRChat」を活用した企業活動の実例を徹底的に案内する展示だ。
(引用元:PR TIMES)
仮想空間への参入を目指す企業は増加しているが、担当者が社内稟議を通すための具体的な活用イメージを持ちにくいという課題があった。そこでブースでは、映像だけでは伝わらない没入感や体験価値を直接味わえる「VR体験エリア」を設置。メタバース上での顧客接点創出やコミュニティ形成の悩みにコンサルタントが答える「導入相談カウンター」も設けられた。
また、セミナーエリアでは多彩な業界のゲストが登壇し、具体的な成功事例が共有された。振袖などの和装業界による新規事業の立ち上げから、若者離れが懸念されるホビー業界の参入理由、そしてIP公式の3Dアイテム販売の事業性に至るまで、現実のビジネスが仮想空間とどう結びついているかが語られた。

(引用元:PR TIMES)
これらの展示は、メタバースが実験的な取り組みではなく、売り上げやファン獲得に直結する実用的なビジネスチャネルであることを証明している。参入に足踏みする企業に対し、同社は明確な成功のイメージと実践的なステップを提示し、現実の経済活動をデジタル空間へと力強く拡張する役割を果たした。
今回の展示会が浮き彫りにしたのは、仮想空間が単なる現実の代替手段ではなく、企業と顧客の間にこれまで存在しなかった「深い情緒的な絆」を紡ぎ出す新たな社会インフラになったという事実だ。
従来のデジタルマーケティングは、ウェブサイトやSNSを通じて情報を一方的に届けることが中心だった。しかし、メタバース空間では企業とユーザーがアバターを介して同じ空間を共有し、リアルタイムで対話できる。例えば、振袖の3Dモデルを試着して友人と写真を撮り合ったり、ホビー商品のデジタルツインを手に取って魅力を語り合ったりする体験は、平面的な画面越しでは得られない強烈な没入感を生み出す。
この「体験の共有」こそがメタバースの本質である。アバターを通じたコミュニケーションは、物理的な距離や現実の肩書きといった壁を無効化し、純粋な興味と熱量だけを結びつける。企業がコミュニティの文化を尊重しながら寄り添うことで、ユーザーは単なる消費者からブランドを共に育てる熱狂的なファンへと変化する。
そして、仮想空間での感動や愛着はデジタルの中で完結しない。「バーチャルで試着した着物を現実でも着たい」「3Dで触れた商品を手に入れたい」というように、仮想空間で高まった熱量は現実世界での行動変容や消費へと還流してくるのだ。
メタバースは、現実のビジネスが抱える閉塞感を打ち破り、人々の好奇心を解き放つ巨大な経済圏であると言える。多様な業界がこのフロンティアへ踏み出し、仮想と現実がシームレスに交差する新しい日常を構築していく。その挑戦の積み重ねが日本経済を活性化させ、私たちの社会をより豊かで希望に満ちた未来へと前進させていくだろう。