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2026.07.22

Web3で株主優待が変わる。投資をもっと日常に

資産運用のデジタル化が進む中で、セキュリティ・トークン(ST)は次世代の投資手段として注目を集め、社会実装に向けた環境整備が進んでいる。しかし、法規制の厳格な枠内にあるSTは、その多くが管理された「閉じたネットワーク」の中で完結しており、投資家が手にする優待や特典を、Web3のエコシステムで自由に活用するまでには至っていなかった。
その中で2026年6月、株式会社HashPortと株式会社BOOSTRYが業務提携の検討を開始した。厳格な金融制度の枠組みとパブリックチェーンによるWeb3のエコシステムを接続する新たな試みだ。証券としての堅牢性を保ちつつ、そこから派生する優待価値をアンホステッドウォレットという個人の手に委ねる。この連携は、RWA(現実資産)のトークン化が単なるデジタル上の金融商品から、ユーザーが日常的に活用可能な実利へと進化する、重要な転換点となりうる。(文=MetaStep編集部)

発行体と投資家の双方に、新たなトークンの体験を


(引用元:
PR TIMES

2026年6月11日に検討を開始したと発表された、今回の業務提携。その軸は、ユーザーが自ら秘密鍵を管理する「アンホステッドウォレット」と、デジタル証券であるSTの連携強化、この2つが挙がる。具体的には、STの購入者に対して付与される「優待トークン(ユーティリティ・トークン)」の運用を、ST本体とは切り離してパブリックチェーン上で行い、ユーザーが自身のウォレットで直接管理・利用できる仕組みの構築を目指す。

HashPortは大阪・関西万博における「EXPO2025デジタルウォレット」の提供を通じて、チケットやロイヤリティといった非金融分野でのトークン発行・利用に関する高度な知見を蓄積してきた。一方でBOOSTRYは、国内のST市場を牽引する基盤を提供し、すでにカストディアルウォレット(※)を通じた優待付与の実績を有している。

(※)暗号資産交換業者などの第三者が利用者の秘密鍵を管理するウォレット。ホステッド・ウォレットとも呼ばれる

両社の知見を融合させることで、発行体にとっては優待運用のコスト低減が見込め、投資家に対しては新しいユーザー体験の提供を目指せる。中期的には、規制環境を注視しつつ、アンホステッドウォレットを活用したステーブルコインによる決済や配当、さらにはST残高や取引管理の実現に向けた協議も継続される。

金融資産がもっと身近に、投資がもっと簡単に

HashPortとBOOSTRYによる今回の連携が示すものは、ブロックチェーン上の資産が「投機的な対象」から、実社会のサービスと直結した「機能的な価値」へと昇華するプロセスである。

これまで、日本の個人投資家にとって株主優待は投資先を選ぶ重要な指標の一つであったが、ST領域においても同様のニーズは高まっている。今回の試みによって、投資した企業のホテル宿泊優待や施設利用権がパブリックチェーン上のトークンとして手元に届き、そのまま二次的なサービスやコミュニティで活用できるようになれば、投資家と発行体の関係性はより動的で密接なものに変化する。これは、金融資産が日常のライフスタイルの一部として溶け込むことを意味している。

また、ステーブルコインを除くRWA市場の時価総額が世界的に300億米ドル(約4兆8,000億円)規模に達する中で、日本のST市場が世界的なブロックチェーンエコシステムと接続される意義は大きい。証券という伝統的な価値を、Web3というオープンなインフラへと橋渡しすることで、市場に新たな流動性と利便性がもたらされるからだ。

2026年現在、ブロックチェーンの社会実装は「技術の誇示」から、既存の金融制度や商習慣との「高度な調和」へと焦点が移っている。HashPortとBOOSTRYが提示するモデルは、法的な信頼性と技術的な自由度を両立させ、誰もが投資の果実を生活の中で実感できる社会を構築するための有効な解決策となるだろう。