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2026.06.09

NFT会員証が繋ぐ地域と人。石岡市の挑戦

地方自治体が地域のファンを作るために発行する「会員証」。しかし、一度カードを渡してしまえば、その後どのように地域と関わっているのかを知る術は乏しかった。
この一方通行の繋がりを、最新のデジタル技術で持続可能なコミュニティへと生まれ変わらせる試みが始まっている。単なるカードの電子化にとどまらず、行動を可視化して地域経済に還元する新たな仕組みは、地方創生の形をどう変えていくのだろうか。(文=MetaStep編集部)

紙の会員証を刷新。石岡市のファンクラブNFT

2026年4月、日本最大級のNFTマーケットプレイス「HEXA」を運営するメディアエクイティ株式会社は、茨城県石岡市観光協会および東武トップツアーズ株式会社と連携し、「いしおかファンクラブ会員証」をNFT化したデジタル会員証の販売を開始した。

(引用元:PR TIMES

これまでの自治体ファンクラブでは主に紙のカードが発行されてきたが、印刷や発送にコストがかかるうえに、継続的な情報発信や交流の機会を作ることが難しいという課題があった。さらに、会員が実際にどの店舗を訪れ、どの特典を利用したのかという利用状況のデータを取得できず、施策の効果測定が不十分になりがちだった。

今回導入された「いしおかファンクラブNFT」は、こうしたアナログな課題を解決する。市外や県外に住む石岡市に関心を持つ人々を対象に、1,000円という手頃な価格で1,000個が先着販売された。購入者はスマートフォンなどでデジタル会員証を保有し、市内の約50の参画店舗で提示すればさまざまな特典を受けることができる。デジタルで管理されるため、特典内容の追加や変更も柔軟に応じられる。

今後は、NFT保有者限定での新商品の試食会やモニターツアー、地域イベントでの優待、さらには長期保有者を対象としたハイランクな会員証の提供など、より付加価値の高い施策も検討されている。

つながりを可視化する。デジタル関係人口の創出

地方創生において、その地域に愛着を持つ「関係人口」の創出は極めて重要なテーマである。しかし多くの自治体が直面しているのは、ファンとの接点を一度きりのイベントやふるさと納税で終わらせず、いかに長く深く維持していくかという問題だ。

会員証のNFT化は、この課題に対する極めて実践的な解答となる。最大の価値は、会員の行動が明確なデータとして可視化される点にある。どの特典が利用されたか、どの店舗に足を運んだかといったログを取得できるため、自治体は勘や経験に頼るのではなく、データに基づいた効果的な地域活性化施策を打つことが可能になる。データから導き出された人気の店舗やルートを分析し、次のツアー企画へと反映させることで、地域全体の収益力を段階的に高めていくことができる。

さらに、NFT特有の「二次流通」の仕組みも地域経済に新しい恩恵をもたらす。HEXA上で会員証が転売(譲渡)された場合、その販売額の10%が自治体などの発行者に還元される設計となっている。また、保有者限定のオンラインコミュニティを通じて会員同士の交流や自治体との双方向の対話が生まれれば、一方的な情報発信にとどまらない自律的なファンコミュニティが育っていく。

新しいテクノロジーを導入する際、利用者に難解なシステムを押し付けることは定着の妨げになる。しかしHEXAは日本円での決済に対応し、暗号資産を不要とするなど、一般のユーザーが手軽に参加できる環境を整えている。

紙のカードをデジタルに置き換えるだけではなく、ファンと地域の双方が継続的なメリットを享受できるエコシステムを築くことが肝要といえる。最新のWeb3技術を用いて地域のコミュニティを育て上げるこのアプローチは、人口減少に悩む全国の自治体にとって、地域の魅力を持続可能な資産へと変えるための確かな手がかりとなるはずだ。

※本記事のメインパネルはhttps://nft.hexanft.com/nftmaticmulti/863より引用しました