35歳にして突如クリエイターになることを誓い、行動に移し、夢をかなえたという異色の経歴を持つTAKUROMANさん。クリエイターを目指す波乱万丈な日々の中で学んだ、クリエイターとして生きていくために必要なノウハウをお届けするのが、当コラム「35歳からクリエイターの夢を実現!TAKUROMANから学ぶセルフマーケティング術」です。
9回目となる今回。ニューヨークのNFTイベントを控えるなか、深夜に病院運ばれたTAKUROMANさん⁉ 苦しみの中で感じた、アーティストとしての考え方。そして生まれた作品とは――。(リード文=MetaStep編集部、本文=TAKUROMANさん)
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前回は、クリエイターにとって欠かせない「知ってもらうための活動」についてお伝えしました。今回はクリエイターとして活動する中で、僕の人生の転機になった出来事についてお伝えしたいと思います。
2023年4月、ニューヨークで開催されたNFTイベント「NFTNYC 2023」で、私の作品展示とスピーチをする予定がありました。NFTNYCは世界中のクリエイターやコレクターが集まる大きなイベントで、僕にとって海外で自分の作品や活動について話す初めての機会でした。
ところが、その1ヶ月前のことでした。
突然、腰から足にかけて激しい痛みに襲われ、夜12時ごろ救急車で病院へ運ばれました。
診察を受けましたが、体のどこが痛いのかもよくわからず、医師にうまく説明できませんでした。
診断結果は腰椎ヘルニアでした。
そのとき僕は、自分の体のことさえ、実はよく理解できていないものなのだと気づきました。
病院では、ソファに横にならないと耐えられないほどでした。薬を受け取るとき、薬局の窓口の人が「苦しいですね、お大事に」と声をかけてくれました。
帰りのタクシーでは、運転手が「自分も怪我で苦しんだことがある。痛みは結局、自分だけのものだから、人にはわかってもらえないよね」と話してくれました。
そのとき、自分自身がとても癒されたように感じ、あることに気づいたのです。
それまで僕は、名が売れること、アーティストとしての地位を確立すること。それこそが価値あることだと思っていました。
しかし、本当に大事なのは、人が苦しいときに気持ちを慮ることなのではないか。
世間でいわれる成功者となり、地位やお金を得たとしても、それが本当に幸せなことなのだろうか。そんなことを考えるようになりました。
人の気持ちになって考えることが大事だとよく言われます。
しかし、自分の痛みさえよくわからないのに、他人の痛みを本当に理解できるのでしょうか。
以前の僕は、人の痛みも理解できるのではないかと思っていた気がします。
しかし今回の経験を通して、誰も自分の痛みを完全にはわからないのだと知りました。
そしてその逆もまた然りで、人の痛みや気持ちを完全に理解することもできないのだと感じたのです。
ではどうすればよいのでしょうか。
想像力を働かせて、人の心に寄り添うこと。
それしかできないのではないか。そう思ったのです。

リハビリに励んだ病院
その後、リハビリをしながら少しずつ体調は回復していきました。再び絵を描き始めることができたとき、それだけでどれほど幸せなことなのだろうと思いました。
あたりまえのこととは、あたりまえでなくなったときに、初めてその価値に気づくものなのですね。
この経験から生まれたのが、「Hernia & Peace(ヘルニア&ピース)」というNFTコレクションでした。NFTとともに、フィジカルのステッカーも制作しました。
時々、車に貼られているのを見かける「赤ちゃんが乗ってます」のステッカーのように、ヘルニアであることをユーモラスに示しながら、世界に少し優しさを広げられたらと思ったのです。
Hernia & Peace(ヘルニア&ピース)のステッカー
ニューヨークで偶然乗ったタクシーの運転手が過去にヘルニアで悩んでいたと聞き、ステッカーを渡したところ、面白がって受け取ってくれました。

あらためて感じたのは、人との接し方やつながりの大切さでした。
僕は、まだまだうまくやれているとはとても言い難いのですが、その大事さについては痛感し、今でもどうにかちゃんとできるように試行錯誤しているのです。
この連載はクリエイターとしてのマーケティングやセルフブランディングをテーマにしていますが、それらの活動も、結局は人との関係性の上に成り立っています。
そしてもう一つ、今回あらためて感じたのは健康の大切さでした。
クリエイターにとって、体は何よりの資本です。
普段は作品づくりに夢中になると、つい無理をしてしまいがちですが、体に無理がくるとやはり思うように動けなくなります。
本当にあたりまえのことなのですが、こういう経験をして初めて気づくものなのかもしれません。
ヘルニアは治るまでしばらく時間がかかりましたが、予定通りニューヨークへ行くことはできました。

飛行機の中では長時間同じ姿勢でいると痛みが強くなるため、2〜3時間おきに通路でストレッチをしながら、なんとか体をだましだまし過ごしました。
ニューヨークに着いてからもまだ痛みはあり、足を引きずるようにして街を歩いていました。
それでも、世界中から集まったクリエイターやコレクターの熱気の中に身を置きながら、どうにかイベントに参加することができました。
そこでどんなことが起き、どんなことを感じたのか。
それについては、次回、NFTNYCで実際に体験した出来事についてお伝えしたいと思います。
(第10回へつづく)