1. MetaStep TOP
  2. ビジネス活用を学ぶ
  3. ジンバブエの若き才能、NFTで日本デビューへ

2026.02.23

ジンバブエの若き才能、NFTで日本デビューへ

日本の「MANGA」は、いまや世界共通の言語となった。しかし、特に海外ではその扉を叩き、デビューまで辿り着ける者は、未だごく一部に限られている。障壁となっているのは物理的な距離、言語の壁、そして複雑な出版業界の商習慣だ。
これらの厚い壁を、Web3という新たな鍵が解き放とうとしている。2026年1月28日に始動した「NFT漫画プロジェクト in アフリカ/ジンバブエ」は、そんな時代の転換点を象徴する試みだ。アフリカ・ジンバブエの若き才能が、日本の読者からの直接的な支援を得て、夢の舞台へ挑む。そこには、テクノロジーがもたらす「表現と流通の民主化」の未来が映し出されている。(文=MetaStep編集部)

アフリカの神話が日本の「MANGA」になる。NFTによる新しい共創


(引用元:PR TIMES

今回のプロジェクトを推進するのは、審査制NFT販売所「Zaif INO」を運営する株式会社カイカフィナンシャルホールディングスと、100年以上の歴史を持つ老舗出版社、株式会社実業之日本社だ。両者が手を組み、ジンバブエの若き漫画家3名の日本での出版を目指して、NFTを活用したクラウドファンディング型の資金調達を行っている。

2026年1月28日から4月27日までの間、クラウドファンディングの形態を採った応援のためのNFT販売が行われる。その第1弾としてスポットライトを浴びているのが、Bill Masuku氏だ。同氏は、Forbes Africa「30 Under 30」への選出経験を持ち、ディズニーのアニメシリーズ『Iwájú』にもストーリーボードアーティストとして携わるなど、すでに世界水準の実績を持つクリエイターである。

 
(引用元:PR TIMES )

彼が本プロジェクトで日本デビューを目指す作品『Beanstalkking!! - Faith is a weapon!-(豆の木の王様!!-信念
こそが武器だ!-)』は、ジンバブエの神話に登場する魚蛇神「ニャミニャミ」やアフリカ各地の神話をモチーフにした、壮大なSFロボットアクションだ。特設サイトではすでに作品の試し読みや作家インタビューが公開されており、アフリカ独自の文化背景と、日本のアニメ・漫画文化への深い敬愛が融合した独特の世界観に触れることができる。

 
(引用元:PR TIMES )

このプロジェクトの画期的な点は、Web3の技術的なハードルを極限まで下げていることだ。購入は一般的なクレジットカード決済に対応しており、暗号資産や複雑なウォレットの知識がない一般の漫画ファンでも、数千円からの「応援」として参加できる。NFTを購入したファンは、単なるデジタルデータの所有者ではなく、一人の才能を日本へ、そして世界へと押し上げる「共創パートナー」としての役割を担うことになる。

国境と商習慣をWeb3で乗り越える。世界に広がる「才能の越境」

この試みが示唆するのは、エンターテインメント業界における「発掘と流通」のパラダイムシフトだ。

海外の無名作家が日本でデビューするためには、出版ビジネスにおけるいくつもの壁があった。現地の代理店を介し、日本の編集者の目に留まり、多額の翻訳・出版コストを会社が肩代わりするという、極めて狭き門である。しかし、ブロックチェーン技術を用いた資金調達とコミュニティ形成は、この構造をボトムアップ型へと塗り替える。

まず、NFTを活用することで、国境を越えた直接的な資金還流が可能になる。中央集権的なプラットフォームや複雑な送金経路を介さず、ファンの熱量が直接クリエイターの活動資金へと繋がる。これは、既存の資本力に頼らずとも、世界中の「面白い」という評価さえあれば、どこに住んでいようと商業出版のステージに立てることを意味している。

また、NFTの所有がもたらす「当事者意識」の醸成も見逃せない。NFTを購入したファンは、「自分がこの作家を日本へ呼んだ」という強い愛着と誇りを持つようになる。この熱心なファンベースは、作品公開後の強力なインフルエンサーとなり、マーケティングコストを抑えつつ作品を広めていく原動力となるだろう。

Web3の真価は、インターネットから物理的な「境界」をなくすことにある。ジンバブエから日本へ、そして日本から再び世界へと物語が広がっていく。この小さなプロジェクトから始まる「才能の越境」は、特定の地域や資本に縛られていたクリエイティビティを解き放ち、かつてないほど豊かで多様な物語が溢れる時代の号砲となるだろう。

2026年、遠くアフリカの地で描かれた「豆の木の王様」に新たな息吹を吹き込むのは、日本の読者。テクノロジーが繋ぐ、人と物語の新しい関係。その先には、世界中のすべての才能が等しく夢に手を伸ばせる、真にフラットなクリエイター経済圏が広がっている。