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2026.02.20

ピラミッド貸切から聖地の静寂まで。NFTが届ける、まだ見ぬ日本の価値と世界の秘境

世界中に埋もれている特別な場所や体験。映画でしか見られないような秘境や聖域は部外者には決して開かれることはない。当然、予約の窓口や決済方法は不透明。言語、伝統という難題もあり、簡単には踏み入れられない「秘密の扉」で守られている。しかし今、ブロックチェーンという透明な技術によってその扉が開かれようとしている。

株式会社LEAPSが日本最大手の旅行会社、株式会社JTBと連携して始動させた「anyBOUND(エニーバウンド)」は、世界中の希少な旅行体験の権利をNFTとして提供するプロジェクトだ。Web3技術が物理的な制約を溶かし、最高級の「体験」を世界標準の資産へと変貌させる試みが、いま本格的に動き出した。(文=MetaStep編集部)

JTBの信頼とWeb3の透明性が生んだ唯一無二の「権利」

2026年1月8日、LEAPSとJTBが連携したプロジェクト「anyBOUND」が正式にローンチされ、第一弾となる旅行体験商品の販売が開始された。
(引用元:PR TIMES

このプロジェクトの最大の目的は、世界中に埋もれている「特別な体験」や「現物資産」の価値を掘り起こし、NFT(非代替性トークン)という形で国内外のユーザーへ提供することにある。

第一弾として用意されたラインナップは、まさに「希少性」という言葉を体現したものだ。日本国内からは、富士山麓にある身延山久遠寺での伝統的な修行体験や、世界遺産・高野山金剛峯寺での壇上伽藍の特別拝観と宿坊滞在。海外からは、エジプト・ギザのピラミッドやスフィンクス、ツタンカーメンの黄金のマスクを独占できる貸切体験、さらにはタヒチのプライベートアイランド「ヌクテピピ島」を7日間貸し切るプランなど、通常の旅行予約サイトでは辿り着けない至高の時間が揃えられた。

これらの体験は、NFTであるEthereum(イーサリアム)のレイヤー2ネットワーク「Base」上でNFTとして発行される。特筆すべきは、ETHやUSDCといった暗号資産(仮想通貨)・ステーブルコインでの決済に完全対応している点だ。

JTBという日本観光界の重鎮がWeb3スタートアップと組み、最新のブロックチェーン基盤を採用したことは、伝統的な旅行業界におけるDXの決定的な一歩と言える。世界中のWeb3ネイティブ層が、自国の通貨や慣習に縛られず、スマートフォンのウォレットひとつで日本の深い精神文化や世界の秘境へとアクセスできる環境が整ったのである。

旅を「一生モノの権利」に。NFTが促す観光文化の永続化

「旅行の予約」をあえてNFT化するという選択には、観光産業の未来を書き換える大きな示唆が含まれている。

これまでの旅行予約は、あくまで「利用日を確定させ、対価を払う」という一過性の契約に過ぎなかった。しかし、これをNFT化し「現実資産(RWA:Real World Assets)」として定義し直すことで、体験する権利そのものをデジタル資産として保有することが可能になる。これは将来的に、希少な体験枠が二次流通市場で取引される可能性や、所有者だけがアクセスできる限定コミュニティの形成といった楽しみ方を生み出す。

また、この仕組みは伝統文化の継承や歴史的建造物の保全に対する、持続可能な資金調達のモデルにもなり得る。地方の寺院や伝統工芸、あるいは維持に多額のコストがかかる文化遺産が、anyBOUNDという窓口を通じて世界中のコレクターと直接繋がる。NFTの販売収益が地域経済や文化継承に還元される仕組みが定着すれば、これまで公的な補助金や限られた参拝料に頼ってきた文化保全のあり方は劇的に変わるはずだ。

信頼の象徴であるJTBが、情報の非対称性が高かった「ラグジュアリー体験」の領域にWeb3を持ち込んだことの意味は大きい。不透明だった「立ち入り禁止の向こう側」が、改ざん不可能なブロックチェーン上で、誰もが確認できる「価値」として標準化されたのだ。

Web3の真価は、インターネット上で「新しい価値」を定義し、循環させることにある。anyBOUNDが提示したのは、デジタルデータに無理やり価値を持たせるフェーズを終え、デジタルによって「現実世界の最高級の体験」の価値を最大化し、グローバルに届ける未来だ。今まさに日本の観光文化はWeb3という翼を得て、従来の枠組みを超えた新次元へと踏み出したのである。