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2026.02.16

ゴールが「実物のスパイク」に変わる!鎌倉スタジアムNFT×YASUDAが描くWeb3時代の新しい熱狂

スタジアムの芝生、わずか一平米。その特定の場所から放たれたシュートがネットを揺らした瞬間、手元のデジタル資産が、実物のサッカースパイクへと姿を変える。2026年1月、神奈川県鎌倉市を拠点とする鎌倉インターナショナルFC(以下、鎌倉インテル)と、日本初のサッカースパイクブランド「YASUDA」が、Web3技術を駆使した革新的な共同プロジェクトを始動させた。1932年創業の伝統ブランドと最先端のNFTがピッチ上で交差するこの試みは、単なる「応援」を試合のドラマとダイレクトに連動する「体験」へと昇華させる、スポーツビジネスの新しい形を提示している。(文=MetaStep編集部)

「一平米のオーナー」がピッチのドラマを共有する

今回発表されたプロジェクトの核となるのは、鎌倉インテルが株式会社GALLUSYSと共同で進めている「鎌倉スタジアムNFT」だ。これは、本拠地であるスタジアムのピッチ(6,528平米)を1平米ごとに分割し、その区画の「デジタル上のオーナー」になれるという極めてユニークな取り組みである。


(引用元:PR TIMES

ここに伝説的なスパイクブランドである株式会社YASUDAが合流したことで、NFTの価値は一段上のフェーズへと引き上げられた。限定5体で販売される「YASUDAコラボNFT」の所有者には、2026年シーズンの公式戦において、自分が所有する1平米の区画からゴールが生まれた際、YASUDA製のサッカースパイクが贈呈されるというリワードが設定されている。

技術面においても、Web3ネイティブな姿勢が鮮明だ。ブロックチェーン技術の中核をGALLUSYSがサポートしており、決済手段には日本初の日本円連動ステーブルコイン「JPYC」を導入。暗号資産特有の価格変動リスクを抑えつつ、ステーブルコイン決済限定の優待価格を設定することで、先端技術に親和性の高いファン層への訴求力を高めている。

本プロジェクトは、スポーツ庁が主催する令和7年度「スポーツオープンイノベーション推進事業(SOIP)」にも採択されており、国が主導するスポーツイノベーションの先進事例としても位置づけられている。2026年シーズンの開幕に向け、デジタル上の区画と実際のピッチの熱狂がどのように結びつくのか。その実装プロセスに大きな注目が集まっている。

「応援の証」から「体験の資産」へ。スポーツ×Web3が創る熱狂

鎌倉インテルとYASUDAが展開するこの試みは、スポーツ観戦におけるファン体験の在り方そのものを問い直すものだ。これまでのスポーツNFTは、デジタル上の「カード」や「動画」を所有するコレクション的な価値に重きが置かれてきた。一方で本施策が目指すのは、デジタル上の所有権を、ピッチで起こる「ライブイベント」と密接に結びつける、動的な体験の構築である。

オーナーとなったファンは試合中、常に「自分の場所」を意識することになる。「もし、あの区画からシュートが打たれたら」「自分の区画でドラマが生まれたら」。そうした期待感は、観客席から試合を眺めるだけの応援とは異なる、強い当事者意識──インタラクティブな観戦体験を生み出す。ここでNFTは、単なる応援の証ではない。試合の行方を自分事として捉えるための「体験の資産」として機能している。

一方、1932年創業の伝統ブランド「YASUDA」にとっても、本プロジェクトはブランドの再定義を意味する。かつて多くのプロ選手に支持された、日本規格ならではの品質という「遺産」。それをWeb3という最新の文脈に接続することで、新しい世代やテクノロジー層への認知拡大を図る戦略的な取り組みだ。伝統と新しい技術が「フットボール文化の未来」という一点で結びついた点に、この協業の本質がある。

さらに、特許出願中であるこの「一平米オーナー」という仕組みは、他競技や他地域のスタジアムへと展開できる拡張性を備えている。デジタル上の所有権が、地域のスタジアムという物理的な場所への愛着を育み、そこから新しい経済圏が生まれていく。この「場所を所有する」という感覚こそが、ファンとクラブ、そして地域企業を繋ぐ、次世代のコミュニティ形成の核となるだろう。

テクノロジーはファンとスタジアムの物理的な距離を埋めるだけでなく、心理的な距離も大きく縮めた。一平米のデジタル所有が、ピッチに流れる汗や、ゴールが決まった瞬間の歓喜を、より身近で、より「自分のもの」として感じさせる。スポーツ観戦は、単に「見る」ものから、自分の一部をフィールドに「配置する」体験へ──確かな一歩を踏み出している。