マインクラフト、Fortnite、Robloxなどの巨大プラットフォームを活用し、法人・個人向けにゲーム・メタバースプロダクトを提供するゲーム会社 株式会社モンドリアンが、防災士監修による防災訓練ゲーム「5-Minute Escape」をRoblox上で公開した。大規模地震を想定した本格的な避難行動をゲームを通じて自然に学べるように設計されており、「遊びながら学ぶ」ことで子どもから大人まで幅広い世代の防災意識向上を目指す。(文=MetaStep編集部)
モンドリアンは、防災士・寺尾 裕一 氏の監修のもと、世界的な人気を誇るプラットフォームRoblox上で体験できる防災訓練ゲーム「5-Minute Escape」を公開した。このゲームは、近い将来の発生が懸念される南海トラフ地震などの大規模災害に備え、特に子どもたちが正しい避難行動をゲームを通して自然に学べるようにすることを目的としている。
(引用元:PR TIMES)
このプロジェクトの背景には、日本では自然災害への備えの重要性が繰り返し叫ばれている一方で、家庭での防災訓練への参加率や備蓄率が依然として低いという課題がある。また、子どもたちにとって親しみのあるゲームというプラットフォームを通じて、防災訓練を「自分ごと」として体験できる機会が求められていた。「子どもたちの命を守るきっかけとなるゲームこそ、本当に価値あるゲームではないか」という、ゲームを愛する開発チームの強い想いから、このプロジェクトはスタートした。
「5-Minute Escape」は、地震発生を想定した室内からの脱出と、屋外の避難所への移動という2段階で構成される。プレイヤーはまず、制限時間5分以内に安全な方法で屋外に脱出し、その後さらに5分以内に正しいルートで指定された避難所へと向かう。1人から最大9人まで同時にプレイ可能だ。
(引用元:PR TIMES)
ゲーム中には、避難に役立つさまざまな防災グッズが配置されており、これらを集めることでポイントを獲得できる。ゲーム終了後には「防災図鑑」機能で、集めたグッズの用途や必要性を確認することができ、遊びながら非常持ち出し品の重要性や正しい使い方を自然に理解できる構成となっている。
(引用元:PR TIMES)
監修には、阪神淡路大震災での被災経験を持つ兵庫県防災士会の寺尾 裕一 氏を迎え、リアリティと教育的価値を高めている。モンドリアンは今後、このゲームをメタバース空間内だけで完結させるのではなく、実際の地域イベントや学校での防災教育と連携させ、オフラインでの体験機会の提供も目指していくという。
監修者である防災士の寺尾氏は、「『知っている』だけの防災知識では命を守れない。『体で覚える』ことが何よりも大切」と語る。この言葉は、従来の知識偏重型の防災教育が抱えていた限界を示唆している。「5-Minute Escape」のような防災ゲームは、この課題に対する強力なソリューションとなる。制限時間やポイント獲得といったゲーム要素は、ユーザーに能動的な判断と行動を促す。楽しみながら繰り返し訓練することで、災害時における適切な行動を、頭で考えるだけでなく無意識レベルで身体に記憶させることが可能になるのだ。
このゲームの舞台としてRobloxというプラットフォームが選ばれた点も、戦略的に重要だ。全世界で数億人、特に若年層に絶大な人気を誇るRoblox上で展開することで、学校や家庭での一斉訓練ではリーチしにくい層にも、自然な形で防災教育を届けることができる。また、ユーザー自身がこのゲームを元に新たな遊び方や学び方を発見し、コミュニティ内で広めていくといった自発的な学習サイクルの創出も期待できるだろう。
モンドリアンは、ゲームやメタバースを「創る・使う・続ける・繋げる」ことを軸に、教育や地方創生、マーケティングなど幅広い分野でのソリューションを展開している。「5-Minute Escape」に見られる、ゲームを地域イベントや学校教育と連携させようというビジョンは、バーチャルでの「学び」とリアルでの「実践・備え」を結びつけ、より実効性の高い防災・減災活動へと繋げるエコシステムを目指すものだ。このアプローチは防災だけでなく、医療・福祉・環境問題など、さまざまな社会課題解決にゲーミフィケーションを応用していく上での強力な基盤となるだろう。「5-Minute Escape」は、ゲームテクノロジーが単なるエンターテインメントの枠を超え、人々の「命を守る力」を育むための強力な教育ツールとなり得ることを示す先進的な事例だ。