Googleの最新動画生成AIモデル「Veo」がついに発表され、大きな注目を集めています。2024年5月14日(現地時間)に開催されたGoogle I/Oでお披露目されたVeoは、その後Geminiアプリ(Android/iOS)でも利用可能になることが発表され、モバイルからでも手軽に高品質な動画を生成できる時代の到来を予感させています。
SNSではVeoの性能に対する期待の声が多く見られますが、実際のところ実力はどれほどのものなのでしょうか。本記事ではVeoの主な特徴や期待できる動画表現、競合となる動画生成AIとの比較、そして気になる料金プランについて詳しく解説。Veoがクリエイティブの現場にどのような変革をもたらすのかを検証します。
(引用元:Google Veo)
Veoには、クリエイターを惹きつける主に次の3つの魅力があります。
1.最大8秒の動画生成
1回のプロンプト(指示テキスト)で最大8秒間の動画を生成できます。複数のクリップをつなぎ合わせることで、より長尺の動画を作成することも可能です。
2.音声・BGMも同時に生成
動画の内容に合わせて、セリフ、環境音、BGMをAIが自動で生成し、映像と自然に合成します。特にリップシンク(口元の動きと音声の同期)の精度は、従来の動画生成AIと比較して大幅に向上しており、よりリアルな人物表現が可能です。
3.多様なプラットフォームでの利用
個人ユーザーはGeminiアプリやウェブ版のVideoFX(※一部クリエイター向けに提供開始)を通じてVeoを利用できます。法人ユーザーは、Google CloudのVertex AIプラットフォーム経由でのアクセスが可能です。
Veoの高い表現力を活かせば、以下のようなさまざまな用途で魅力的な動画を制作できるでしょう。
用途 | Veoで期待できる動画表現 |
---|---|
インタビュー動画 |
人物の自然な口の動き(リップシンク)や視線、背景に映り込む人々の動きまで再現。
SNS用のショート動画などにも活用できる。 |
ドラマ風の短いシーン |
プロンプト次第で、登場人物の感情表現(声のトーン、表情)まで豊かに再現。
視聴者を引き込む没入感のあるショートムービーを制作できる。 |
ゲーム実況風動画 |
プレイ画面の合成はもちろん、配信者の興奮した声やリアクション、 |
自然・風景(海中など) |
水の揺らぎや太陽光が水面で屈折してキラキラと光る様子といった |
3D風アニメーション | 3D映像だけでなく、シーンの雰囲気に合わせた音声やBGMも同時に生成。 オリジナルのミュージックビデオや製品・サービスのプロモーション映像の 制作にも適している。 |
Veoは動画生成AIの分野でどのような位置づけになるのでしょうか。主要な競合サービスと比較してみましょう。
Veo 3 | OpenAI Sora | Runway Gen-3 | Luma Dream Machine | |
---|---|---|---|---|
解像度 | 1080p(4K予定) | 1080p | 720p → 1080p 予定 | 1080p |
最大長 | 8秒(連結可) | 20秒 | 10秒 | 10秒 |
音声生成 | ◎同時生成 | × なし | △ 外部ツール連携 | × なし |
料金 |
Pro 19.99ドル |
ChatGPT Plus 20ドル | 従量課金 | 無料β |
特徴 | 物理演算・Lip-Sync | API 豊富 | カメラ制御緻密 | 運動表現に強い |
この比較からも分かる通り、Veoの大きな強みは、映像と同時に高品質な音声(セリフ、BGM、効果音)を生成できる点、そして人物の自然な動きや表情、背景との調和、映像全体の一貫性において、現行の他の動画生成AIをリードする可能性を秘めていると言えるでしょう。
Veoを利用するためには、Googleが提供する有料プランへの加入が必要です。現時点で用意されているプランは以下の通りです。
Google AI Pro:月額2,900円(約19.99ドル)
Veoの利用に回数制限があるものの、手軽に試せるエントリープランです。
Google AI Ultraプラン:月額36,400円(約249.99ドル)
Veoを無制限または豊富なクレジット数で利用できる、プロフェッショナル向けの最上位プランです。
Veo 3は現在、1本あたり平均2~5分で動画を描画できますが、アクセスが集中する時間帯には10分前後まで待ち時間が延びることもあり、制作スケジュールには多少の余裕を見ておくと安心です。またUltraプランの場合、1日に付与される5,000クレジットを使い切ると即日中の追加生成はできなくなるため、連続で大量に作る際はクレジット残量をこまめに確認する運用が欠かせません。こうした制約はあるものの、Googleは2025年後半に4K対応ベータ版を公開する方針を示しており、広告や映画トレーラーといった高画質領域での本格利用が一気に進む可能性があります。
一方で、ディープフェイクや著作権侵害への悪用リスクも指摘されており、Googleは不可視ウォーターマークの強化やポリシー改訂を進めています。クリエイターとしては、生成物のライセンス確認や公開範囲の設定に注意を払いながら、AIの利便性と社会的責任を両立させる姿勢が求められるでしょう。