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2025.04.16

【連載】NFT活用で注目! HEXA(ヘキサ)の教科書(第9回)青島まちづくりデジタル住民権NFTが誕生するまで

日本円だけでNFTの発行や売買ができる、日本初のNFTマーケットプレイス「HEXA(ヘキサ)」について学ぶ連載も早くも第9回目を迎えました。今回のテーマは吉野さんも深く関わったという「青島まちづくりデジタル住民権NFT」について。では吉野さん、よろしくお願いします!

株式会社デイジープレイス 代表取締役COO吉野 渉

デイジープレイスでは企画作成、メタバース、NFT、AR等を担当。RobiZy(ロボットビジネス支援機構)主催NFTコンペ「アイデア部門」GPや販促コンペ「協賛企業賞」、徳島DXフォーラム「ソフトバンク賞」など多くの受賞歴あり。HEXA(ヘキサ)との関わりでは、個人でHEXA公認アンバサダー、HEXA公認メタバース建築家を務める。デイジープレイスは法人としてHEXA公認エージェントに参画。

こんにちは、デイジープレイスの吉野です。人口減少と予算縮小という地方の普遍的課題に対し、Web3技術を活用した革新的な解決策が宮崎市青島から生まれました。従来の「予算減少=事業縮小」という発想を超え、「関係人口の創出」と「自主財源の確保」を同時に実現する「青島まちづくりデジタル住民権NFT」。今回は、私が発案し携わった「青島まちづくりデジタル住民権」の誕生までの道のりと、地域活性化への挑戦をご紹介します。

地域協議会の終了と組織再編

宮崎市では2025年3月末をもって地域協議会が終了しました。今までは地域協議会の下部組織の任意団体「まちづくり推進委員会」や「まちづくり協議会」が、宮崎市傘下の組織となり地域コミュニティも一本化されることが決まりました。私達は組織再編を考えなければなりませんでした。組織再編については「デジタル住民権」とは別の流れになりますので、ここでは省略しますが、最終的に「青島まちづくり推進委員会」は「青島まちづくり協議会」の名称を変更し、新しい組織に変わっていきます。

新しい体制の予算(市からの交付金)は、住民数に応じて分配される形となりました。これにより、予算が減ることが確実となり、さらに人口減少率も高い地域なので将来の予算減も確実でした。

 宮崎市「宮崎市市政情報(新たな地域まちづくり制度への移行について(令和7年4月から)」より引用

予算減少=事業縮小という課題

予算減少に対する解決としてまず上がったのが、事業仕分けによる事業の縮小化です。予算が減るから事業を減らそうという考えでした。

宮崎市の試算では、現在の青島地域の住民は3200人。2040年には2700人。これでは予算縮小は確実で毎年事業を縮小していく地域組織となっていきます。これではダメだということで、私達は自主財源の確保という課題に取り組むことにしました。

この人口減少による地域予算の減少は青島だけでなく、多くの地方自治体が直面している普遍的な課題です。 

青島まちづくり推進委員会「稼ぐまちづくり協議会を創出するパッケージ」より引用

自主財源の獲得に関する協議

私達は、まず最初の課題「自主財源の獲得」について可能かどうかを市に判断して頂く必要がありました。今までは任意団体として存在していた「青島まちづくり推進委員会」は市の傘下の組織になることで、自主財源を確保して良いのかどうかが判断し兼ねました。市への相談を重ね、最終的には「まちづくり」の趣旨に沿っていれば問題ないという回答を得て、事業縮小という方向性から自主財源確保という道のりを模索はじめました。

自主財源の確保に関する手法について

「まちづくり」の趣旨に沿って自主財源を確保するとなると、地域課題の解決による手法の収益しか見込めません。イベント協賛などを行えば、イベントにしか、その費用を使うことが難しいです。

そこで私達は「デジタル住民票を発行することにより、地域課題の解決という目的で自主財源を確保できないか」という仮説を立てました。しかし、デジタル住民票をただ単に発行するだけでは、ただの販売になり、商業的意味合いが強くなります。これでは、まちづくりの趣旨とはズレてしまいます。

そこで考え付いたのが、「青島まちづくりアンバサダー制度による関係人口の創出」という組立です。 

総務省「関係人口ポータルサイト」より引用

青島まちづくりアンバサダー制度

青島まちづくりアンバサダー制度では、デジタル住民票を保有している人は「青島まちづくりアンバサダー」を名乗れる権利を持ちます。通常は交流人口からしか関係人口は生まれませんが、アンバサダー制度を設けることで関係人口からスタートすることが可能になります。

この建付けで、私達は宮崎市の担当課に説明会を行い、条件付きで認可を得ました。条件は、「デジタル住民票」では認識の齟齬がある可能性があるので可能であれば変えて欲しいというものでした。これにより「デジタル住民権構想」が誕生しました。

 青島まちづくり地域DAO

デジタル住民権構想

青島まちづくり推進委員会内の事務局との協議を経て、私達は正式にこの構想を進めることを決定しました。日本最大級のNFTマーケットHEXA様との事前打ち合わせでは、大枠の認識を擦り合わせ、発行の障害がないことも確認できました。

青島神社の長友宮司にご協力頂き、青島神社の日向神話館の半額の特典(同行者含む)、バーチャル青島の制作と制作に必要な測量等の許可を得ることができました。これにより、「アンバサダー制度」「特典」「バーチャル青島」とデジタル住民権構想のサービスの柱が整いました。

私達はDX推進部会内でロードマップを作成し、このデジタル住民権構想を5年かけたプロジェクトとして位置づけ、1万人のアンバサダーの獲得を目標としました。これは日本のデジタル住民票NFTサービスでは、どの自治体も成し遂げたことがない挑戦です。

青島まちづくりデジタル住民権ロードマップ

デジタル住民権のリリースについて

青島まちづくりデジタル住民権は2025年4月16日より予約販売を開始します。NFTは、1個1,000円、1,000個限定の抽選販売となり、クレジットカードで購入可能です。クレジットカードとパソコンまたはスマホがあればだれでも簡単に安全に購入できます。デジタル住民権NFTを保有することで、青島まちづくり協議会より特典が提供されます。こうして、小さな地域の挑戦はスタートしたばかりです。このデジタル住民権による挑戦を本企画でも追っていきたいと思います。

青島まちづくりデジタル住民権申込ページ