1. MetaStep TOP
  2. ビジネス活用を学ぶ
  3. 【連載】知恵で勝つ!売上アップの処方箋(第3回)~ターゲットの絞り込みでチャンスを掴む(有限会社豊岡クラフト)

2025.04.02

【連載】知恵で勝つ!売上アップの処方箋(第3回)~ターゲットの絞り込みでチャンスを掴む(有限会社豊岡クラフト)

中小企業の資源を活かし、知恵で売上アップを実現した事例を紹介する本連載。JapanStepの「後援」に参画する釧路市ビジネスサポートセンター(k-Biz)が所属する全国Bizネットワークが手掛けた「中小企業の強みを生かしたオープンイノベーション」の好事例を紹介する。今回ご紹介するのは、木製机上製品や小型家具の企画製造を手掛ける有限会社豊岡クラフトだ。売上が減少傾向にあるなか、チャンスを掴む一手となったのは「ターゲットの絞り込み」だった。(文=JapanStep編集部、協力=釧路市ビジネスサポートセンター(k-Biz))

受注依存から脱却し、自社ブランドを築くまで

木のぬくもりを感じさせる書見台や万年筆入れ。静岡県に本社を構える有限会社豊岡クラフトは、50年以上にわたり木製製品の企画・製造を行ってきた老舗企業だ。その技術力は、大手書店のOEM製品を長年にわたって担ってきた実績が物語っている。

(引用:澄川氏作成『ビズモデルから生まれる中小企業の強みを生かしたオープンイノベーション』)

だが、安定を支えてきた大手書店の業績が陰りを見せ始めると、同社の売上も連動して下降線をたどるようになった。もう一つの販路である通販カタログも、マス向け商品を中心としたため、品質にこだわる同社の製品とはアンマッチ。受注依存から脱却し、自社ブランドとしての価値を築く必要があった。

この転機に寄り添ったのが、全国の中小企業を支援する全国Bizネットワーク。支援のなかで着目したのは、豊岡クラフトが長年培ってきた「超一流文具をつくる職人品質」だった。そして、ターゲットとする顧客層の再定義に取り組む。

 

(引用:澄川氏作成『ビズモデルから生まれる中小企業の強みを生かしたオープンイノベーション』)

実際に提案されたのは、「大衆向け通販」ではなく、「高級志向の旅客層」をターゲットにした戦略だった。海外ブランドや一流商品が並ぶ、ANAやJALの機内誌に販路を求めたのだ。商品ラインとして提案したのは、同社の新作「ウォッチスタンド」。結果、機内誌への掲載が即実現し、“超一流品”としての認知を一気に獲得。ネットからの注文も急増し、商品そのものが語る品質が、静かに顧客を惹きつけていった。

あえて「狭く深く」にシフトし、大型受注を獲得

さらなる進化を遂げたのが、「鞄スタンド」の事例だ。高級鞄の風合いを損なわず、どんな形状のバッグも美しく保持できる――そんな新商品の販路を「幅広く」ではなく、あえて「狭く深く」にシフトさせた。具体的には、高級ホテルやレストランなど、空間演出にこだわる業務用市場にBtoBで展開。製品の高級感にマッチしたブランディングと営業戦略が奏功し、リリースからわずか2ヶ月で外資系高級ホテルから40個の大型受注を獲得した。

その後も受注は増え続け、3年間で累計1,500個を販売。「Wood-PRO」というBtoBブランドも確立され、豊岡クラフトは名実ともに“ギフト価値のある木製プロダクト”を提供する企業へと変貌を遂げた。

(引用:澄川氏作成『ビズモデルから生まれる中小企業の強みを生かしたオープンイノベーション』)

この成功のカギを握っていたのは、「強みの見える化」と「ターゲットの絞り込み」にある。木工という伝統技術をただ守るのではなく、それを誰にどう届けるかを再設計したことで、顧客との新たな接点が生まれた。そして、顧客側もそれに応じるように、豊岡クラフトの製品に“使う価値”と“贈る価値”を見出したのだ。

中小製造業が直面する「価格競争」や「販路の固定化」という課題に対して、豊岡クラフトは「品質」と「物語性」で突破口を切り開いた。その過程で全国Bizネットワークによる個別最適なアドバイスと、地道な実行が組み合わさったことは見逃せない。

安さやスピードだけではない、日本のものづくりの本質――そこに価値を見出す顧客がいる限り、豊岡クラフトの挑戦は続くだろう。そしてそれは、全国各地で眠る中小企業の“こだわり”や“技術”が、まだまだ大きな可能性を秘めていることをも意味している。(第4回に続く)

関連リンク