2024年12月11日、Googleが新しいAIリサーチツール「Gemini Deep Research」をリリースしました。ユーザーの質問に基づいて自律的に情報収集を行い、リサーチにかかる時間と労力を大幅に削減できます
ビジネスや学術分野での活用が期待されるGemini Deep Researchの特徴と使い方を徹底解説します。
実際に利用して、Web検索が可能なChatGPT Searchや、リサーチに強いと言われるAIチャットボットGensparkと生成結果を比較しているので、ぜひ参考にしてください。
Gemini Deep Researchは、Googleの最先端AIモデル「Gemini 1.5 Pro」を活用した新しいリサーチツールです。
ユーザーの質問をもとに、優秀な研究アシスタントのように自律的にリサーチ計画を立て、Web上の膨大な情報源から必要なデータを収集・分析します。
その結果を分かりやすいレポート形式で提供することで、リサーチ業務を大幅に効率化可能です。日本語にも対応しており、国内でのビジネスや学術研究にも大きな影響を与えるでしょう。
Gemini Deep Researchを利用するにはまずGemini公式サイトにアクセスして、アカウント登録をする必要があります。「ログイン」をクリックして、Googleアカウントで簡単に作成できます。
Google DeepMindが提供するGeminiのモデルを実験的に利用できるGoogle AI Studioでは使えないので注意しましょう。
また、2025年1月時点ではDeep Researchは無料ユーザーには公開されておらず、月額2,900円のGoogle One AIプレミアムプランへの登録が必要です。登録が完了したら、Geminiの左上のモデル選択で「1.5 Pro with Deep Research」を選びましょう。
次に、リサーチしたい内容を入力します。今回は「Gemini Deep Researchについて詳しく調べたいです。」と入力してみました。すると、Geminiが自動でリサーチ計画を提案してくれます。
「計画を編集」を選択すると、リサーチ内容を編集できます。必要に応じて計画を編集した後、リサーチを開始します。
数分後、75件ものウェブサイトの検索結果をまとめた8000文字程度の詳細レポートが完成。参照元のリンクも表示され、透明性の高いアウトプットを得られます。
実際に生成された結果はこちらです。
Gemini Deep Research Investigation(外部サイトにリンクします)
また、生成結果右上にある「Googleドキュメントで開く」をクリックすれば、新しいGoogleドキュメントファイルにレポートをエクスポートできます。見出しやリスト、表などがきれいに反映されるため、コピペの手間が省けます。
さらに、レポート内の表を利用したい場合、「Googleスプレッドシートにエクスポート」をクリックすれば、新しいスプレッドシートが作成され、表のデータだけを取得することも可能です。
生成されたレポートに対してフィードバックを送ることで、出力内容のブラッシュアップも可能です。
このように、Gemini Deep Researchを使えば手動なら数時間以上かかるリサーチが数分で完了し、読みやすいレポートを作成できるのです。
Googleドキュメントやスプレッドシートなど、Googleが提供するツールとシームレスに連携できる点もメリットだと言えるでしょう。
ここからは、Gemini Deep Researchの生成結果と、Web検索が可能なChatGPT Searchと、リサーチやファクトチェックに強いと言われているAIチャットボットGensparkの生成結果を比較してみましょう。
(過去に掲載した記事「ChatGPTが新機能「ChatGPT search」をリリース!複数のWebサイトから最新の回答を生成」もぜひ併せてお読みください。)
質問内容は使い方の項目で使用した「Gemini Deep Researchについて詳しく調べたいです。」と入力します。
ChatGPT Searchの生成結果は以下の通り。文字数は約1,100文字。参考記事数は14サイトという結果でした。
Gemini Deep Researchは、Googleが提供するAIリサーチツールで、ユーザーの質問に対して詳細な調査を行い、包括的なレポートを自動生成します。このツールは、ウェブ上の多様な情報源からデータを収集し、分析結果を整理された形式で提供することで、リサーチ業務の効率化と質の向上を実現します。
主な特徴:
・調査計画の自動立案:ユーザーの質問を受けて、AIが複数段階のリサーチプランを自動的に作成します。ユーザーはこの計画を編集・承認することが可能です。 citeturn0search2
・多様な情報源へのアクセス:ウェブサイト、学術論文、書籍、統計データなど、信頼性の高い情報源を網羅的に調査します。 citeturn0search2
・レポートの自動生成:収集したデータを分析し、読みやすいレポート形式で提供します。レポートにはオリジナルソースへのリンクが含まれ、Googleドキュメントへのエクスポートも可能です。 citeturn0search0
利用方法:
1.Gemini Advancedへの加入:Gemini Deep Researchは、Google One AI プレミアムプラン(月額2,900円)の加入者が利用可能です。このプランには、Gemini Advancedの利用と2TBのGoogleドライブストレージが含まれます。 citeturn0search0
2.モデルの選択:ウェブ版のGeminiにアクセスし、モデル選択メニューから「1.5 Pro with Deep Research」を選択します。 citeturn0search0
3.質問の入力と調査開始:リサーチしたい内容を入力すると、AIが調査計画を提案します。計画を確認・編集し、承認するとリサーチが開始され、完了後にレポートが生成されます。 citeturn0search0
活用事例:
・学習計画の作成:プログラミング初心者がPythonで機械学習を学ぶためのオンラインコースや書籍をリサーチし、学習ステップを提案します。 citeturn0search0
・市場調査と投資アイデアの探索:特定の業界や技術分野に関する市場動向を分析し、投資先の候補となる企業をリストアップします。 citeturn0search0
・専門分野の調査:特定の専門分野に関する最新情報や研究成果をまとめ、レポート形式で提供します。 citeturn0search2
Gemini Deep Researchは、複雑なリサーチ業務を効率的に行うための強力なツールとして、多様な分野での活用が期待されています。
navlistGoogle、AIリサーチツール「Gemini Deep Research」を発表turn0news16,turn0news17
少し気になる点として、Gemini Deep ResearchではGoogle公式サイトを参照していたのに対し、ブログなどを情報源として利用していることが挙げられます。
対策としては、調べたい内容を入力した後に「できるだけ公式サイトの情報を参考にしてください。」と入力する必要があります。
すると、以下のようにGoogleの公式ページや、信頼できるニュースサイトのみを情報源としてレポートが作成されます。
ChatGPT Searchは調べたい内容を簡潔にまとめてくれる点は良いですが、公式の情報源を取得する際は少し工夫が必要です。
次に、Gensparkの生成結果をしてみましょう。文字数は約1,450文字、参考記事数は27件という結果となりました。
Gemini Deep Researchの機能
Gemini Deep Researchは、Googleが開発した次世代型のリサーチツールで、最新のAIモデル「Gemini 1.5 Pro」を搭載しています。このツールは、ユーザーの質問に対して、70以上のウェブサイトを自動的に分析し、関連情報をまとめてレポート化する機能を持っています。これにより、従来の検索エンジンでは得られない深い洞察を提供します12。
使い方
Gemini Deep Researchを利用するには、まずGemini Advancedに登録する必要があります。登録後、ユーザーはGeminiのインターフェースを通じて質問を入力し、AIが自動的に情報を収集・分析します。具体的には、特定のトピックに関する情報を集め、要約や表形式での提示が可能です。これにより、リサーチ業務の効率化が図れます23。
料金
Gemini Deep Researchの利用には、月額約2,900円(約20ドル)のサブスクリプション料金が必要です。初めて課金するユーザーには1か月間の無料トライアルが提供され、過去に課金したことがあるユーザーには特典が用意されています2021。
活用事例
このツールは、ビジネスから学術研究まで幅広い分野で活用されています。例えば、特定の業界のトレンド分析や競合調査、学術論文の文献レビューなどに利用されており、ユーザーは短時間で大量の情報を処理し、質の高いリサーチを行うことができます。また、Deep Researchは、複雑な調査タスクをAIが自動的に実行するため、時間の節約にも寄与します456。
Gemini Deep Researchの強み
Gemini Deep Researchは、情報収集の効率化だけでなく、質の向上も実現します。具体的には、以下のような強みがあります。
自律的な調査計画の立案: ユーザーが入力した質問に基づいて、AIが自動的に調査計画を提案し、関連するテーマや論点を洗い出します。これにより、ユーザーは複雑なプロンプトを考える必要がなく、シンプルな質問を入力するだけで質の高いリサーチ結果を得ることができます。
多様な情報源へのアクセス:Gemini Deep Researchは、ニュースサイト、学術論文、書籍、統計データ、ソーシャルメディアなど、さまざまな信頼性の高い情報源からデータを収集します。これにより、情報の網羅性が高まり、より正確な分析が可能になります。
Googleドキュメントとのシームレスな連携: 生成されたレポートは、Googleドキュメント形式でエクスポートでき、見出しの階層構造や引用元の脚注も自動で設定されます。これにより、レポートの編集や共有が容易になります。
具体的な活用事例
Gemini Deep Researchは、以下のような具体的な活用事例があります。
最新情報のレポート作成: 特定のトピックに関する最新ニュースやトレンドを調査し、要約レポートを作成することができます。
プレゼンテーション資料の作成:収集した情報を基に、プレゼンテーション資料を迅速に作成することが可能です。特に、データや統計情報を視覚的に整理するのに役立ちます。
専門分野の調査:法律や医学、科学などの専門的な分野においても、最新の研究や判例を調査し、質の高い情報を提供します。
マーケティング調査:市場規模や競合分析、顧客分析など、マーケティング活動においても活用され、データに基づいた意思決定をサポートします。
ChatGPT Searchよりも参考記事数と文字数が多く、幅広い範囲について詳しく書かれていることがわかります。また、マインドマップも同時に生成されるため、視覚的に分かりやすい点も特徴的です。
しかし、GensparkもChatGPT Searchと同様、公式サイト以外の情報を主な参考記事としてしまっています。
また、Gensparkは「できるだけ公式サイトの情報を参考にしてください。」と加えてみても、結果が変わることはありませんでした。正確な情報を取得したい場合は、参照元の記事が信頼できるものかを確認する必要があるでしょう。
対して、Gemini Deep Researchは特に公式サイトの情報を取得するよう指示しなくても、Googleの公式サイトの情報を元にレポートを作成しています。
比較したところ、情報の正確性とレポートの分量についてはGemini Deep Researchに軍配が上がる結果となりました。
Gemini Deep Researchを利用すれば、優れた情報収集力と自律的なレポート作成機能により、ユーザーは質の高いリサーチ結果を短時間で得られます。
ただし、まだリリースされたばかりのため、ファイルのアップロードには対応しておらず、発展途上だとも言えるでしょう。
将来的に機能がより充実すれば、論文作成やビジネスリサーチの常識を大きく変える可能性を秘めています。今後のGeminiのアップデートに目が離せませんね。