MetaStepの創刊より約1年。Web3やメタバースにとってどんな1年だったのでしょうか。2025年の新春企画として、業界で活躍する皆様にインタビューを敢行。第1回は日本NFTツーリズム協会で代表理事を務める岩下拓氏に、ツーリズム業界を取り巻くNFTの状況や今年の展望などについて伺いました。
一般社団法人日本NFTツーリズム協会 代表理事 岩下 拓
ツーリズム領域しか話せる知見がないのですが、これまでよりNFTがより技術インフラとして、目立たない形で、裏側で使われるそんなプロジェクトが今後増えていくと感じた年でした。
例えば、宿泊権と連動したNFT(RWA)などです。もともとツーリズム業界でのNFTの使われ方の特徴として、投機ではなく実用性=ユーティリティが本質にあると考えていましたが、想定していたように少しずつではありますが、実用的なツールとして、技術インフラとして広がってきている印象です。
また、NFTに関連する技術で、例えば、セキュリティトークンが宿泊施設に使われたり、SBTがマラソン大会(スポーツツーリズム)の記録証明として使われたり、トークンが航空会社のカーボンクレジットに使われたりというのも、同じようなWeb3技術のインフラ化としてみています。
世界初(※1)ツーリズム業界におけるNFTプロジェクトのアワードイベントを開いたことです。 (※1:2024年3月時点弊協会調べ)
私以外に20名の審査員に協力いただき、“分散型”の審査形式によるアワードは、ツーリズム業界における新たなイベントとして、注目を浴びていくと考えています。
ただ、アワードを開催し業界を俯瞰する事で見えてきた事は、まだNFTやWeb3プロジェクトによる国内ツーリズム産業への「経済的インパクトはつくれていない」と言う事でした。既存の業界課題の解決に繋がる用途はたくさんあるのですが、 インパクトをつくれないと普及が加速しないと思いますので、今我々に出来る事で知恵を絞っていきたいと思っています。
あるWeb3企業の代表が、「数年前に想定していたより社会への浸透速度が遅い。これは本当に想定外だった」と言われていたのですが、正にNFTはガートナー社のハイプサイクル通りの動きを辿っていると思っています。「過度な期待」期と「幻滅」期を経て、これから,少しずつ本格的な普及に入ろうとしていると思っています。
肌感覚としては、まだツーリズム業界における普及は時間がかかると思っています。なので、認知度が一気に向上した!倍々で参入者が増えた!という年にはならないと思います。ただ、やはり大阪・関西万博で、HashPort社 (子会社HashPalette社はAptosLabsにM&A)がウォレットやNFTの普及に向けた関わり方をされているのが大きいと思います。これによってBtoBの市場は、全国で広がっていくのではと思っています。
自社主催イベントとして、引き続き「Japan Tourism NFT Awasds」や「Tourism×NFTフォーラム」等様々なイベントで発信を行っていきます。また、チャレンジとして、8月の「WebX」のサイドイベントで国内外に「ツーリズム×NFT/Web3」を発信していきたいと思っています。
その他には、ツーリズム産業におけるホワイトペーパー「観光立国推進基本計画」にブロックチェーン、Web3、NFTの明文化をしてもらう取り組みも観光庁に対して引き続き行ってまいります。
弊協会の名称も、NFTからWeb3に発信領域を広げるために、「日本Web3ツーリズム協会」に改名したいと考えています。
今年も着実にツーリズム×NFT/Web3が国内ツーリズム産業に広がっていくよう邁進してまいります。
ツーリズム産業は、今後自動車産業を抜き、国内最大の外貨獲得産業になると言われています。また、ツーリズム産業を起点として、アニメやマンガ、ゲーム、食、伝統工芸、家電、化粧品、自動車等の日本産品の海外市場が更に拡大していく可能性も秘めています。それは外客との接点をもっているからであり、関係強化に繋がるアクションが可能なプラットフォームでもあるからです。NFTを絡める事で、関係の継続を図り、LTVを高める事が可能です。
協力者を増やしながら、ツーリズム×NFT/Web3領域の活性化、取り組みの最大化を目指していきたいと思います。