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2025.01.16

【新春インタビュー】デイジープレイス~NFTやメタバースの本質的な価値を伝える

MetaStepのパートナー企業の皆様へインタビューを通じ、近況や2025年に描く戦略・展開などを是非MetaStep読者にお届けする『MetaStep(メタステップ)』1周年企画。第2回目は、パートナー企業「デイジープレイス」さん(以下敬称略)。

デイジープレイスは、「メタバースの世界をもっと身近に」をコンセプトに主に九州エリアの企業さんにメタバースのビジネス活用を支援。COOの吉野渉さんには、日本初のNFTマーケットプレイス「HEXA(ヘキサ)」についての解説を交えた連載「HEXA(ヘキサ)の教科書」をご執筆頂いています。

吉野さんは、日本で唯一、HEXA公認アンバサダー(個人)、HEXA公認メタバース建築家(個人)HEXA公認エージェント(法人)の3つの顔で、企業や行政のNFTプロジェクトを支援されています。NFT、メタバース双方の面から今年の業界展望を語って頂きます。それではよろしくお願いいたします!

株式会社デイジープレイス 代表取締役COO吉野 渉

デイジープレイスでは企画作成、メタバース、NFT、AR等を担当。RobiZy(ロボットビジネス支援機構)主催NFTコンペ「アイデア部門」GPや販促コンペ「協賛企業賞」、徳島DXフォーラム「ソフトバンク賞」など多くの受賞歴あり。HEXA(ヘキサ)との関わりでは、個人でHEXA公認アンバサダー、HEXA公認メタバース建築家を務める。デイジープレイスは法人としてHEXA公認エージェントに参画。

2024年Web3・メタバース業界を振り返るとどんな年でしたか?

HEXAサービスの機能充実化で展開されるNFTの新しい可能性を見いだせた年とも言えます。HEXAはこれまで、NFTの発行と購入をメインとしたサービスとして触れられてきましたが、2024年に入り、新たに「エアドロップ」「会員権」「チケット」の3種のNFT発行機能が実装されたことにより、ユーザーの要望に属した多様な利用シーンが触れるようになりました。これは、日本内でも観測されるNFTの利用パターンの拡張を濃く表しています。

エアドロップNFT:プロモーションやキャンペーンの一環として利用されるシーンが展開されており、認知の獲得とコミュニティ誘導の新しい形態を創出しています。

会員権NFT:NFTを保有し続けることにより、ブロックチェーンリードを得られるという新しい手法が可能になりました。

チケットNFT:事前決済が可能なため、決済が難しい場面でも安心して利用できるサービスです。さらに、記念に残したいイベントでは、そのチケットがNFTとしてデジタル形式で手元に残ります。

NFTは2024年において注目を集め、多くのユーザーが触れる機会を得たものの、まだ日常生活に深く浸透しているとは言えません。これを実現するには、NFTそのものが社会のインフラとして成熟する必要があります。その点でHEXAの取り組みが重要な起点となったのではないでしょうか。2年前と比較するとNFTの存在は確実に身近なものとなっています。現在、日本国内では主に「アートを受け取るための手段」として認識されていますが、今後は「身近な店舗でのサービス提供」という形での進化していく可能性を秘めています。そうした背景から、HEXAが提供する新しいサービスは、NFTのさらなる普及と多様な活用に向けた期待を高めるものでしょう。

エアドロップ機能について

会員権・チケットNFTについて

2024年の貴社の代表的な取り組みを教えてください。

今年は「NFTについて教えてほしい」という相談が多く寄せられる年でした。おそらく、Metastep様の記事の影響もあり、NFTをビジネスで活用する方法に関する関心が高まったことが一因でしょう。HEXAの教科書第4回と第6回で取り上げたように、SURFCITY様でのNFT活用事例は「身近な店舗でのサービス提供」の可能性を示唆する非常に興味深い体験となりました。

また、メタバースに関する相談も増えています。特に地方では人口減少に伴い、まちづくり単位の予算が減少しており、それにより諦めざるを得ない事業や地域をPRする手段の喪失が課題となっています。こうした状況の中で、田野町まちづくり協議会様からのご相談を受け、地域の観光名物「大根やぐら」を題材とした「大根やぐらメタバース」を制作しました。この取り組みは、地域PRの新しい手段として期待を集めています。

田野町大根やぐらメタバース

Web3・メタバースのビジネス活用の現在地をどのように感じていますか。

NFTは昨年冬から今年にかけての「幻滅期」を乗り越え、徐々に回復の兆しを見せています。小規模なNFT展示会が増加していることからも、アートの手段という従来の枠を超えた新たな展開への期待が高まっています。

一方、メタバースに関しては、その捉え方に差があるように感じます。一つは、ClusterやVketのようにコミュニティ手段として機能するメタバースです。これらのプラットフォームでは、人々の交流が活発で、日常生活の一部として馴染んでおり、MMORPGのようなゲーム感覚に近いものがあります。もう一方は、企業が提供するメタバースで、主に展示会やオープンキャンパスの場として利用されています。しかし、こちらには集客面での課題が存在します。プラットフォームごとに操作方法が異なり、自分のアバターを使い慣れない操作でイベントを巡ることは、ユーザーにとって依然として高いハードルとなっています。さらに、現実とバーチャルが融合した「デジタルツイン」のような空間も誕生しつつありますが、現時点ではエンターテインメントというより、芸術作品としての側面が強い印象です。このようなバーチャル領域での経済圏の確立については、まだしばらく時間がかかるのではないかと感じています。

そういった現在地の中で、2025年はどういった年になると予測されていますか?

2025年は、NFTやメタバースにおいて「掛け算の年」になると予測しています。地域×NFT、観光地×メタバースといった形で、もともと強いIPを補完し、その価値を拡大する手法として活用される年になるでしょう。これらのサービスが単独で成立するには、市場規模としてまだ十分ではない部分があります。そのため核となる事業が存在し、その補完手段として選択しやすいサービスを構築することが最も重要であり急務であると考えています。私自身もこれらのサービスをより身近に感じてもらえるよう視覚的なアプローチを取り入れた取り組みに注力していきたいと考えています。

2025年に計画している取り組みなどあれば教えてください。

まだ協議段階であり計画として正式に決定しているわけではありませんが、「地域×NFT」の取り組みを進めたいと考えています。この取り組みでは、NFTを手段として活用し、新たな顧客層を開拓するとともに、コミュニティへ誘導する仕組みを確立することを目指しています。また、サービスを提供する立場の方々がこの取り組みを通じてデジタルに対する苦手意識を克服し、NFTを自分たちの「味方」として理解していただけるような機会を創出したいと考えています。そうして最終的に笑顔があふれる地域にしていきたいです。

SURFCITY宮崎にてNFT展示 クラブマネージャー渡邊様と

最後に今年の意気込みをお願いします。

2024年は、NFTやメタバースの新しい可能性を感じることができた年でしたが、まだその普及の道のりは続いています。私たちは、NFTやメタバースが単なる流行ではなく地域や業界にとって不可欠な要素となることを信じています。そのために今年は「地域×NFT」や「観光地×メタバース」といった新しい取り組みを進め、強いIPを活かしたサービスの拡大に注力していきます。

これからもデジタルに対する苦手意識を持つ方々にこそ、NFTやメタバースの本質的な価値を伝えていきたいと考えています。特にサービスを提供する側がこれらを手段として理解し、身近に感じてもらえるよう視覚的にサポートしていきます。2025年に向けては、これらの技術が地域づくりや観光振興の新しい手段となり、さらに多くの方々に活用されることを目指しています。今年はその基盤を固め、確実に一歩前進できるよう取り組みを進めていきます。

引き続き、皆様とともに新しい価値を創造し、より良い社会を築くために邁進していく所存です。