8/28(水)、ザ・プリンス パークタワー東京で開催されたCoinPostが企画運営する、アジア最大規模のグローバルカンファレンス「WebX 2024」の講演に登壇したのは、MetaStep(メタステップ)読者の皆様にも馴染みのある、CALIVERSE(カリバース)だ。
講演ではCALIVERSEの概略やアップデート情報などが語られたが、その中で、待ち望まれていたパブリックサービス公開ついて言及された。本記事では講演で語られた内容を速報する。MetaStep編集部は昨年からCALIVERSEに注目し、取材を続けてきたが、読者の皆様の中にもこの日を待ちわびていた方も多いだろう。どのような内容が語られたのか、お楽しみいただきたい。(文=MetaStep編集部)
講演は、TRONステージという大きな会場で行われ、熱気に包まれていた。登壇したのはCALIVERSEのCEO Kim Dong Kyu氏だ。改めてだが、CALIVERSEは韓国ロッテグループの企業で、社名と同じ『CALIVERSE』という次世代型のメタバースプラットフォームを開発している。特徴は「ハイパーリアル」と称する本物と見間違うくらいの圧倒的にリアルなクオリティだ。ビル、店舗といった街並みはもちろん、アバターが身に着けるアイテム、ビルや人の影まで、現実世界が目の前に存在するような精緻なクオリティで表現される。「ハイパーリアル」は、文章で説明するよりもデモ映像をご覧頂くとすぐに理解できるはずだ、WebX 2024で投影された最新の映像をご覧頂きたい。
CALIVERSEの日本での大規模な公演は、2024年3月に行われた事業改革発表会以来、約半年ぶりとなる。この数ヶ月の間にも、我々の想像をはるかに超える大きなアップデートが行われていたのだ。特に観客の関心を高めたキーワードは「AI」と「UGC・UGQ」だろう。まずはAIについて触れていく。
非常に精緻な建物が並ぶ街並みだが、これが宣材写真ではなく、プレイ中のスクリーンショットだというから驚きだ
CALIVERSEの特徴である、ハイパーリアルな表現にもAIは大きな力を発揮している。CALIVERSEの空間はかなりの広さがあるが、その広い空間の中すべてに、緻密にデザインされた建物が存在している。それだけでなく、当然建物内部の空間や部屋、家具やインテリアなどもすべてハイパーリアルに表現されている。これらの制作にもAIが活用されているという。
「CALIVERSEのオブジェクトは非常に高精度に作られています、これらを人間が手作業で一つ一つ作ると、莫大な工数がかかりますが、AIはCALIVERSEのトーン&マナーを理解してくれていて、建物や家具など世界観に合ったデザインをしてくれます。また、我々が普段暮らすリアルな街に近づけるためには、ポスターやデジタルサイネージ、看板など、さまざまなオブジェクトを設置する必要があります。本来なら、それらすべて人間がデザインをし、モデリングして、動きをつける、など多くの工程を経て制作しますが、それらすべてをAIが生成してくれ、我々の負担を大幅に軽減してくれました。」(Kim氏)
現実世界同様、CALIVERSEの世界には車が走っている。この車を走らせる仕組みもAIシステムが大いに役立っているという。赤信号になれば止まり、急に人が飛び出してきても、自動的に止まるようにプログラムされており、こうした挙動一つ一つもハイパーリアルだ。
「CALIVERSE内では音楽ライブも楽しむことができます。アーティストの実写映像をメタバース空間でリアルタイムに映し出す独自の技術を持っていますが、ユーザーが見る角度によってライティングを変化させることもAIが行ってくれました。従来は、さまざまな計算を行い、調整に非常に時間がかかるのですが、実際のライブと比べ、価値を落とさないためにも非常にこだわった部分です」(Kim氏)
AI活用に続いて説明されたのは「UGC・UGQ」ついてだ。UGC(User Generated Contents)については、ご存知の方も多いかと思うが、ユーザーによって制作・生成されたコンテンツのことを指す。
UGCで有名なプラットフォームといえばYouTubeやTikTok、Instagramなどが挙げられるが、こうしたプラットフォームでは、ユーザーは難しい技術や知識を持ち合わせずとも発想さえあれば誰でもコンテンツを公開し、多くの方に見てもらうことができる。こうした環境があるからこそ、一般ユーザーから多くのコンテンツが集まり、さらにプラットフォームは進化していく。
「3Dのコンテンツを作るには、知識や技術が必要です。それでは、UGCは広がっていかないので、誰でも簡単に生成でき、楽しんでもらう仕組みを沢山用意しています」と語るKim氏。実際CALIVERSE内にはさまざまなUGCを公開できる仕組みが設けられている。参加しやすい一例として、カラオケやDJing(ディスクジョッキーを楽しむこと)などでユーザーが生成した楽曲を公開できる仕組みが紹介された。
アバターを思いのまま生成できる機能はこれまで発表されていたが、今回の講演で新たに『セルフィー』機能が発表された。ハイパーリアルな衣装を着た、超精密なアバターを、これまた、ハイパーリアルな風景を背景に写真を撮影することができる。カメラの角度や、アバターのポーズ、エフェクトなども自由に選ぶことができ、ユーザーが楽しめる仕掛けになりそうだ。
セルフィーで撮影した画像はSNSなどにも投稿可能だ
アバターに加え、CALIVERSEの世界にある建物もユーザーが作成することができる。しかも、ドラッグアンドドロップなど簡単な作業だけで、直感的に作成することができるのだ。
マウス操作だけで簡単にハイパーリアルな建物を制作できる
簡単な操作で作ったとは思えない驚くほど、精緻な仕上がりだ
「出展する企業は、ブランド価値を毀損しないよう、商品のデザインや風合いなどをそのまま伝えたいでしょう。そのためにこうした機能も用意しています」と紹介されたのは、オブジェクトを超高精度にスキャンニングできるアプリだ。
一般的なスマートフォンを使いスキャンすれば、非常に精緻な3Dデータがわずか数分でモデリングされるという
Kim氏がもっとも熱を込めて語っていたのは、UGQ(User Generated Quest)だ。UGQとは、CALIVERSEが生み出した独自の概念だが、ユーザーが難しい知識を持たず「Quest(クエスト)」を生成することができるUGCに近い考え方だ。「クエスト」とはゲームにおけるクリアすべき課題のことで、今回の講演ではクエストを生成する映像が初めて紹介された。フォーマットも多数用意されていて、難しい知識は必要なく、誰でもゲームのようなQuestを生成できると感じた。難しい知識を必要とせず、誰でもコンテンツやクエストを簡単に生成することができるUGC、UGQの仕組みにも、AIがフル活用されているという。
クエスト生成中のデモ画面
「ハイパーリアルというだけでは、ユーザーが熱狂するメタバースにはなりません。作る側も、参加する側もユーザーが楽しめる、さまざまなコンテンツやクエストが必要だと考えています。CALIVERSEが作るコンテンツやクエストはもちろん、世界中のユーザーにもコンテンツ制作に参加してもらい、一緒にCALIVERSEという世界を作り上げていくことを目指しています。また、Web3技術を活用し、コンテンツ生成したクリエイターにはリワードが提供される仕組みにしています」(Kim氏)
クエストの生成も誰でも簡単にできるよう、多数のフォーマットが用意されている
「映画のレディ・プレイヤー1のような世界はもうすぐそこまで来ています。しかし、我々が目指す世界は、CALIVERSEの力だけでは絶対にできないと考えています。ユーザー、企業など、様ざまなパートナーと作り上げていきたい。実際にパートナーとしてさまざまな企業が参加しています。ぜひ、一緒に新しい世界を作っていきましょう」とKim氏は熱く語り、講演を締めくくった。
パブリックサービスのローンチ開始後にも、さらなる機能強化やアップデートがされていく予定だという。今後もMetaStepでは、最新情報をお届けする予定だ。
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