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2026.03.09

ブラウザで完結。3Dデータ活用の新時代

DXの現場で頻繁に耳にする「データのサイロ化」。これは部署ごとに別々のシステムやExcelでデータを管理しており、相互に連携していない状態をいう。特に製造や建設現場の高精度な3Dデータは、その容量ゆえに高性能PCの中に閉じ込められ「見たい人が見られない」状況が続いてきた。この物理的な制約こそが、デジタルツインが「実証実験」の域を出ない最大の要因であり、現場のDXを阻む厚い壁となっていた。
しかし今、その壁がついに取り払われる。専用ソフトもハイスペックPCも不要。手元のタブレットやスマホから、Webブラウザひとつでフォトリアルな3D空間へダイブできる環境が産業界に提供されようとしている。データが「所有」から「共有」へと解き放たれたとき、組織の意思決定はどう変わるのか。3Dデータの民主化がもたらす衝撃とその全貌に迫る。(文=MetaStep編集部)

ブラウザから即座にアクセス可能な3Dデータ共有基盤

これまで、産業界における3Dデータの活用は「ハードウェアのスペック」という制約と戦ってきた。高精細な点群データの閲覧には高価なワークステーションが必要で、現場で取得したデータも事務所の専門家しか触れないのが実情だった。情報の鮮度と密度が損なわれ、全社的な活用には程遠い状態だったと言える。

そんな中で、2026年2月13日、空間知覚技術のリーディングカンパニーであるKudan株式会社は、フォトリアル3Dデジタルツイン基盤のクラウド版「Kudan PRISM Cloud」をグローバル市場向けにリリースした。「デバイス非依存」というアプローチで、上記の課題を解決する。 

(引用元:PR TIMES )

ユーザーは専用ソフトをインストールする必要がなく、普段使いのノートPCやタブレットからWebブラウザを開くだけでよい。独自の空間知覚技術と最新の3D表現技術を統合することで、ブラウザ上でもフォトリアルな3D空間が軽快に動作する。

これにより、現場作業員はタブレットで実物とデジタルツインを見比べながら点検を行い、出張中のマネージャーはスマホで進捗を確認するといった柔軟な働き方が可能になる。また、3D空間上にメモやドキュメントを直接紐付けられるため、離れた場所にいるメンバー同士でも、「あそこが危ない」「ここの配管を修正しよう」といった直感的な議論が成立する。

さらに、既存の設備管理システムやERP(統合基幹業務システム)とも、API(※)で連携できるため、現在の業務フローを根本から変える必要がない点も大きい。スケーラビリティも確保されており、小規模なPoCから全社展開まで、企業のDXフェーズに合わせて柔軟に運用を拡大できる。

(※)API:Application Programming Interfaceの略称で、異なるアプリケーションやソフトウェア同士をつなぐインタフェースのこと

現場と経営をつなぐ共通言語として、組織の意思決定を加速させる

「Kudan PRISM Cloud」の登場は、企業の意思決定プロセスそのものを変革するポテンシャルを秘めている。これまでの組織運営において、現場の状況を正確に把握するには、現地に赴くか膨大な報告書を読み解くしかなかったからだ。しかし、3Dデジタルツインがクラウドで共有されればこの断絶は解消される。3Dデータは、言葉や数値よりもはるかに情報量が多い「共通言語」だ。本社の経営層や海外拠点のエンジニアが、現場の空気感まで含めた状況をリアルタイムに把握できれば、トラブル対応や設備投資の判断スピードは劇的に向上するだろう。

また、Kudanが提供する現場完結型の「PRISM Edge」との組み合わせも重要だ。セキュリティや回線事情でクラウドに上げられないデータはローカルで高速処理し、必要なデータだけを全社共有するといったハイブリッド運用が可能になる。「現場の最適化」と「全社の全体最適化」を両立させるこの構造は、現場を知り尽くしたKudanならではの最適解と言える。

さらに未来を見据えれば、このプラットフォームはAIやロボットとの融合で進化を遂げるはずだ。自律走行ロボットが取得したデータをクラウドに上げ、AIが異常を検知し、それを人間が確認するといった運用も現実味を帯びてくるだろう。「3Dデータは重くて使いにくい」という常識を過去のものとし、デジタルツインを組織全員の武器に変える。その波に乗り、自社の資産として使いこなせるかどうかが、これからの産業界における競争力の分水嶺となるに違いない。