Web3・メタバース・XRの社会実装とビジネス活用はいまどこまで進んでいるのか。当連載「未来を導く知の羅針盤」では、業界を牽引する経営者・専門家など、有識者16名の証言から、その現在地と未来の可能性を探る。
※本記事は『MetaStep Magazine』に掲載した記事を再掲載したものです。その他の記事は冊子でお読み頂けます。
掲載されている情報は2025年8月時点のものです。

日本暗号資産等取引業協会(JVCEA)代表理事
SBIホールディングス 常務執行役員
小田 玄紀さん
日本暗号資産等取引業協会(JVCEA)について
暗号資産交換業・関連デリバティブ取引業および電子決済等手段の自主規制団体。2018年に設立され、資金決済法に基づく認定資金決済事業者協会として、業界の健全な発展と利用者保護を目的に活動している。主な業務は、自主規制規則の制定、会員への監督・指導、情報提供、統計調査など。金融庁から認定を受け、業界の信頼性向上に寄与している。
「Web3に本気で取り組まないと、世界に後れを取る」そう警鐘を鳴らすのは、日本の暗号資産交換業者の認定自主規制団体「日本暗号資産等取引業協会(JVCEA)」代表理事 小田玄紀さんだ。小田さんが率いるJVCEAは、業界のルール整備やガバナンスの強化を通じて、利用者・投資家保護と業界の健全な発展を目指している。日本は2017年に暗号資産に関する法律が施行された。日本国内の暗号資産口座数は2025年1月末には1,200万口座を超えるに至ったが、欧米を含めた主要各国では既に暗号資産ETFを承認したり、米国トランプ大統領はアメリカをビットコイン大国にすることを宣誓し、国を挙げて暗号資産及びその基盤技術であるブロックチェーン技術を推奨するに至っている。特に直近では「プロジェクト・クリプト」を発表し、従来の金融取引をオンチェーン化していくことで24時間365日取引ができるようにしていくことも発表している。このような変化に適切に対応をしていかないと資金や優秀な企業が海外へと流出してしまうことに小田さんは危機感を示す。

もはや国内の暗号資産取引はマイナーではない
もっとも、日本のWeb3市場は今、大きな転機を迎えている。国内ではすでに1,200万人超が暗号資産口座を保有しており、普及の基盤は着実に整いつつある。特に注目すべきは、個人の暗号資産取引の利益に対し課税が現行の最大55%から20%へと引き下げられる可能性も出てきている(2025年6月時点)。これは他の金融商品と同水準であり、市場活性化への追い風となる可能性が高い。また、法規制も資金決済法から金融商品取引法へと移行する議論もされており、国がWeb3 推進に注力する姿勢を示している。
2017年には世界のビットコイン取引の50%を日本が担っていたものの、取引所のハッキング事件を受けた規制強化を境にシェアは急減。現在、日本は世界市場のわずか1%(約5兆円)を占めるにとどまっている。「適切に変化への対応をすることで日本のシェアを15~20%まで回復させることもできると考えている。この場合、今の市場規模でも約70兆円の資産を日本に回帰させることに繋がる。日本はセキュリティ対策やマネーローンダリング対策にどこよりも力を入れてきた。安心して利用できる市場環境を整え、再び日本が世界の暗号資産市場の一角を担う準備を進めています」(小田さん)。日本が世界で勝つための追い風が、いま吹きはじめている。

ー 日本再興のヒント ー
暗号資産の税制改善で国内のWeb3業界が活性化。世界市場で勝つチャンスが到来する