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2026.03.03

AIが変える Web3の構図と可能性~見直されるクリプトの価値

Web3・メタバース・XRの社会実装とビジネス活用はいまどこまで進んでいるのか。当連載「未来を導く知の羅針盤」では、業界を牽引する経営者・専門家など、有識者16名の証言から、その現在地と未来の可能性を探る。

※本記事は『MetaStep Magazine』に掲載した記事を再掲載したものです。その他の記事は冊子でお読み頂けます。

ブロックチェーンエバンジェリスト
藤本 真衣さん

「ミス・ビットコイン」として知られる、国内外で活躍するブロックチェーン・暗号資産のエバンジェリスト。INTMAX共同創業者、GMO Web3取締役。初心者向けの解説から社会貢献プロジェクトまで幅広く展開し、NFT・Web3領域でも先駆的な役割を果たしている。

「Web3は過渡期を迎え、今パラダイムが変わろうとしています」。そう語るのは、国内外でブロックチェーンの普及に取り組んできた藤本真衣さん。業界ではミス・ビットコインとしても知られる藤本さんは今、AIとWeb3の融合に新たな可能性を感じている。 

「正直に言えば、ここ数年は期待外れなことも多かったのも事実です」。藤本さんは近年のWeb3の社会実装に率直な意見を述べる。DAOの運営難やメタバースの低調なローンチ例を挙げ、「理想に追いつけていない部分が多かった」と振り返る。

だが、風向きは確実に変わっている。象徴のひとつが、ステーブルコインをはじめとしたクリプト分野への再評価だ。「暗号資産市場の健全化とユーザー保護を目的とした規制強化の一環でAppleの決済規制が強化された事案のように、プラットフォームの独占が見直される流れは、Web3にとってはむしろチャンスです」。グローバル決済手段としてのステーブルコインの可能性に、藤本さんは改めて注目している。

「特に、サークル社のニューヨーク証券取引所(NYSE)への上場(IPO) はこの分野への期待を象徴する出来事です。世界共通のインターネットネイティブ通貨として、ステーブルコインがメタバースや越境ビジネスで標準通貨になる未来は十分に考えられます。既存の金融システムだけでなく、大手プラットフォームの独占にも風穴を開ける存在になるはずです」(藤本さん)。

大きな変化の源泉がAIだ。「メタバース、Web3、AIの垣根が急速に薄れてきています。経済の主役が人間からAIに移りつつあります」(藤本さん)。AI同士がやりとりする経済圏において、国境を持たず自律的に価値をやり取りできるクリプトの存在は、「もう不可欠なんです」と語気を強める。

その兆しとして、Play-to-Earnゲームの「Axie Infinity(アクシー・インフィニティ)」では、ゲームギルドの運営にAIエージェントが参加し、人間と共に報酬を分け合う構想が動き始めている。「こうした仕組みは息を吹き返しつつあるWeb3の活路になるでしょう。AIがプレイヤーの一員になることで、単なる仮想空間ではなく、経済圏全体が活性化します」(藤本さん)。

AI融合で拓くWeb3新章

この潮流を象徴するように、AI がWeb3メタバースの課題解決にも一役買い始めている。人格あるAIアバターがメタバースに常駐し、利用者との対話でコミュニケーションや熱量を生み、体験を豊かにする試みが進んでいる。「AIの進化により、誰もがInstagramやXのようにメタバースでコンテンツを自在に創作できる時代が目前に迫っています」(藤本さん)。さらに、A開発を支える新たな資金調達の手段として、Web3のトークン設計に可能性を見出す。技術はあるが資金がない若者たちが、AIエージェントトークンで資金を集められる。これは新しい希望になると思います」(藤本さん)。

「従来のVC投資やクラウドファンディングでは届かないニッチな技術領域にこそ、Web3の分散型ファイナンスが生きる。AIとWeb3が融合する未来は、新しいスタートアップやクリエイターが次々と生まれる土壌になるはずです」(藤本さん)。

とはいえ技術だけでは社会実装は進まない。「UXの視点は極めて重要です。『最先端だから使う』ではダメ。必要とされる自然な体験が求められる」。その象徴として挙げるのが、12個の復元フレーズをメモせず、メールアドレスと簡単なパスワード、指紋や顔認証で安全に管理できるウォレットだ。「プライバシーも守れて、誰にでも使える。こういう所に未来があります」(藤本さん)。

現在、藤本さんが注力する「INTMAX」プロジェクトは、その融合に立つ。AI 時代に最適化されたガス代固定型のブロックチェーンで、マイクロペイメントの実現を目指す。「Web3がAIと共に歩むなら、こうした設計が鍵になります」。テクノロジーとユーザー体験の接点の深化こそが、Web3の社会実装を導くと藤本さんは信じている。

ー 日本再興のヒント ー
国境を持たず、自律的に価値をやり取りできるクリプト分野の再評価は、Web3にとって追い風になる