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2026.02.13

投機から「愛着」のツールへ。FREAK'S STOREがNFTで描く、2026年のデジタル・コレクタブル

かつて数億円で取引され、投機の象徴として世界を騒がせたNFT。あれから数年が経ち、熱狂が去った跡地に芽吹いたのは、人々の「好き」という純粋な感情に寄り添う新しい表現の形だ。2026年1月、セレクトショップ「FREAK'S STORE」を運営する株式会社デイトナ・インターナショナルが発表したプロジェクトは、もはや難解な暗号資産(仮想通貨)の知識を必要としない。お気に入りの服を選ぶように、人気キャラクター「mojojojo」のデジタルアートを手にする。それは、Web3が「特別な技術」であることをやめ、私たちのカルチャーやライフスタイルの一部へと溶け込んだ姿を象徴している。(文=MetaStep編集部)

自分だけの1体と出会う。ジェネラティブがもたらす個性の識別

2026年1月14日、デイトナ・インターナショナルが展開するNFTプロジェクト「NFT FREAK」の第3弾として、人気キャラクター「mojojojo」のジェネラティブNFTが発売された。今回の取り組みの核心は、Web3の技術的特性を「ひらかれたアート体験」として一般消費者へ提供した点にある。


(引用元:PR TIMES

ジェネラティブアートとは、アルゴリズムによって色や形、パーツの組み合わせがランダムに生成される手法を指す。今回のプロジェクトでも、すべての「mojojojo」が異なる表情や色彩を持って生まれてくるため、二つとして同じものは存在しない。購入者はNFTをミント(発行)する瞬間まで、どのような個性を持ったキャラクターに出会えるか分からない。この「偶然性」と「唯一無二の出会い」という体験は、大量生産・大量消費型のグッズ販売とは一線を画し、コレクター心理を刺激するものだ。

(引用元:PR TIMES )

特筆すべきは、購入プロセスの圧倒的な簡便化である。2021年頃のNFTブームにおいては、イーサリアムなどの暗号資産を用意し、複雑なウォレット操作を覚えることが参加の絶対条件だった。しかし、本プロジェクトではクレジットカードでの決済に完全対応しており、一般的なECサイトを利用する感覚でNFTを購入できる。ブロックチェーンにはPolygon(ポリゴン)を採用し、環境負荷を抑えつつ安価な手数料(ガス代)を実現。プラットフォーム側が技術的な障壁を「黒子」として処理することで、ユーザーは純粋にアートを楽しむことに集中できる環境が整えられた。

また、デジタル空間に閉じることなく、リアルな手触りを感じさせる工夫も施されている。購入者の中から抽選で、自分が手に入れた唯一無二のNFTアートをアクリルキーホルダーとしてプレゼントされる企画や、実店舗での限定ステッカー配布など、デジタルアセットが物理的なアイテムとしての価値に変換される導線が設計されている。オンラインでの所有権の証明が、オフラインでの愛着や体験へと直結する。このシームレスな融合こそが、現在のデジタル・コレクタブルの洗練された姿と言えるだろう。


(引用元:PR TIMES )

「所有」の定義が変わる。ブランド体験を拡張するWeb3戦略

今回の「mojojojo」とFREAK'S STOREのコラボレーションが示唆するのは、2026年現在におけるNFTの役割が「投資」から「マーチャンダイジング(商品化計画)」の進化系へと完全に移行したという事実だ。

かつてのNFTは、価格の乱高下を目的とした投機の対象であり、その価値は「いくらで売れるか」という外部的な要因に左右されがちだった。しかし、本プロジェクトが提示した1,800円(税抜)という価格設定は、それが投資商品ではなく、キャラクターグッズやファッションアイテムと同じレイヤーにあることを示している。人々がNFTを買う動機は「儲けるため」ではなく、「自分の好きなブランドやクリエイターを支援したい」「自分だけの特別なアイテムを持ちたい」という内発的な愛着へと変化したのだ。

この変化は、企業とファンの関係性をも再定義する。NFTは、単に絵を売るための道具ではない。それは「コミュニティへの参加証」であり、ブランドに対する「好き」という感情をブロックチェーン上に刻む行為だ。X(旧Twitter)のスペース(音声ライブ配信)でクリエイターとファンが交流し、Discord(コミュニティサイト)で期待感を共有するという動きも出てきている。さらにリアルの店舗でステッカーを受け取るという一連の体験 は、消費者を「単なる購入者」から、ブランドの世界観を共に育む「共創者」へと変貌させる力を持っている。

デジタルアセットに「唯一性」を与える技術は、ブランドにとって「ファン一人ひとりの個性を識別し、個別に報いること」を可能にした。将来的には、特定のNFTを保有しているユーザーだけが、新作の先行購入権を得たり、限定のリアルイベントに招待されたりといった、さらに高度なユーティリティへの発展も期待される。

Web3の真の普及とは、ユーザーが「ブロックチェーン」という言葉を意識しなくなったときに完成する。今回のFREAK'S STOREの取り組みは、高度な技術をあえて前面に出さず、徹底的にユーザーの利便性と情緒的な体験にフォーカスした。NFTは技術者の手からクリエイターとファンの手に渡り、新しい時代の「愛着のインフラ」として、その真価を発揮し始めている。