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2025.09.16

XR×AIでバスがエンタメ空間に!新感覚バスツアー「The XR RIDE」が大阪で始動

XR×AIを用いた新しいバスツアーが登場だ。実際の風景にAR映像が融合し、AIと人間が連携するガイドが付く「The XR RIDE」の第一弾としてインバウンド向けバスツアーショー「The Magic Words ‘OSAKA-BEN’ Bus Tour」が大阪で運行中。手掛けるのは、観光・地域創生にかかわるコンサルティング事業を手掛ける株式会社OUGIだ。


(引用元:PR TIMES

このツアーで使われるXRバスは、トヨタ自動車の車両提供、トヨタ紡織の車載システム提供によって実現した特別な車両だ。車内は、正面・天井のディスプレイと左右の窓となる透過ディスプレイで360°囲まれており、実際の風景にAR(拡張現実)映像が融合する、ダイナミックで臨場感あふれる視覚体験を提供する。最大乗客数を9名に限定することで、ゆったりとした空間でショーへの没入感を高める工夫がされている。

ガイドシステムもユニークだ。遠隔で操作されるAIキャラクターガイド「TEMPURA」と、実際にバスに同乗する人間ガイド「AMI」が連携し、乗客を巻き込みながらショーを進行。マニュアル通りの案内ではなく、その場限りの掛け合いを重視することで、二度とないライブ感あふれる体験を届ける。 


(引用元:PR TIMES体験イメージ

第一弾公演となる「The Magic Words ‘OSAKA-BEN’ Bus Tour」は、全編英語と中国語で構成され、大阪ならではの方言「大阪弁」がテーマだ。梅田周辺を出発し、中之島エリアや大阪城エリアを巡る約40分のコースを走行しながら、AIガイド「TEMPURA」と人間ガイド「AMI」と一緒に、5つの“魔法の言葉”の大阪弁を学ぶという、ユニークなエンターテインメントショーとなっている。このツアーは、7月より開催される「OSAKA Satellite EXPO 2025」内のコンテンツの一つとしても実施される。

このプロジェクトの背景には、訪日外国人観光客数が過去最高に達する一方で、多くの地方自治体で「観光コンテンツの開発」や、特に多言語対応可能な「ローカルガイドの人材不足」が深刻な課題となっている現状がある。「The XR RIDE」は、これらの課題に対する新しい解決策を提示する実証実験として、持続可能な観光業の発展に貢献することを目指している。

移動体験の再定義 〜 「The XR RIDE」が示す可能性

「The XR RIDE」が示すのは、XR技術による移動体験の再定義、すなわち「エンターテインメント」への昇華だ。

従来のバスツアーでは車窓から見える風景が主なコンテンツだったが、このXRバスは現実の風景そのものをスクリーンに変え、物語や情報をAR映像として重ね合わせることで、移動時間そのものを一つの完成されたコンテンツへと変革する。これは、単なる移動手段を乗客が能動的に楽しむ没入型エンターテインメント空間へと再定義する、革新的な試みと言える。


(引用元:PR TIMES

AIガイドと人間ガイドが連携するハイブリッドな案内システムも、新しい「おもてなし」の形を提示している。AIガイドは、多言語での正確な情報提供やデジタルならではの演出といった面で強みを発揮する。一方、人間ガイドは乗客一人ひとりの反応に応じたアドリブや、人間ならではの温かみのあるコミュニケーションを担う。この両者の融合は、テクノロジーの効率性と人間のホスピタリティを組み合わせることで、より高品質でパーソナルな体験を提供する未来のガイドシステムの理想的なモデルとなり得るだろう。

このソリューションは、日本の観光業界が抱える課題解決にも直結する。「The XR RIDE」のシステムは、バスとXRシステムさえあれば、地域固有の歴史や文化、伝承などをテーマにした多様な観光コンテンツを比較的容易に制作・展開できる。これは、多言語対応可能なガイド人材が不足している地方都市においても質の高いインバウンド向け観光体験を提供できる可能性を示唆しており、持続可能な観光開発への大きな一歩となる。

この大阪での実証実験を皮切りに、日本の各地域が持つ素晴らしい物語を、新しい形で世界に届ける取り組みが広がっていくことが期待される。「The XR RIDE」のような取り組みは、移動(モビリティ)と体験(エンターテインメント)、そして情報(XR)を高度に融合させ、都市や地域そのものを一つの巨大なアトラクションへと変えていくスマートツーリズムの未来を予感させる。