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2025.07.22

XR(クロスリアリティ)を改めて学ぶ―VR・AR・MRを包括する概念

近年、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)などのデジタル技術が急速に普及していますが、これらを総称する「XR(クロスリアリティ)」という言葉をご存知でしょうか?現実とデジタルを融合させるさまざまな技術を包括する上位概念として、ビジネスや技術開発の現場でも広く使われるようになっています。

本記事では、XRの基本概念から具体的な活用例まで、初心者にも分かりやすく解説します。

XRとは?

XR(エクステンデッド・リアリティまたはクロス・リアリティ)は、VR(仮想現実)、AR(拡張現実)、MR(複合現実)など、現実世界とデジタル世界を組み合わせるすべての技術を包括する総称です。「X」は「extended(拡張された)」や「cross(交差する)」を意味し、現実世界からバーチャル世界までの連続的な範囲をカバーする概念として使われています。

XRの位置づけ

XRという用語が生まれた背景には、VR・AR・MRといった技術の境界が曖昧になり、それぞれの特性を組み合わせたハイブリッドな体験が増えてきたことがあります。

「完全な現実」から「完全な仮想世界」までの間には、さまざまな段階が存在します。XRはこの連続した段階を一つの概念としてまとめたものです。つまり、特定の技術やデバイスを指すのではなく、現実とデジタルを融合させるアプローチ全体を指しています。

XRを構成する技術

XRに含まれる主要な技術について、それぞれの特徴と違いを見ていきましょう。

VR(仮想現実)

(引用元:インターネット・アカデミー

VRは現実世界を完全に遮断し、コンピュータが生成した仮想空間に没入する技術です。専用のヘッドセットを装着することで、360度にわたって広がる仮想環境に身を置き、全く別の世界を体験できます。

VRの特徴は「没入感」にあります。ユーザーの視覚・聴覚などの感覚を仮想世界の情報で満たすことで、その場にいるような感覚を生み出します。ゲームやエンターテインメントでの活用が進む一方、教育・訓練やリモート会議などビジネス用途でも注目されています。

AR(拡張現実)

(引用元:Splunk

ARは、現実世界にデジタル情報を重ね合わせる技術です。スマートフォンやARグラスを通して見ると、現実の風景の上にテキスト、画像、3Dモデルなどが表示されます。VRとは異なり、現実世界の視覚情報を残したまま、それを補完・拡張する形で情報を提供します。

例えば、スマートフォンのカメラを通して街を見ると、道案内の矢印や店舗情報が表示されるようなアプリケーションがARの例です。小売・マーケティングや製造・保守、教育・観光など、さまざまな分野での活用が広がっています。

MR(複合現実)

(引用元:ビジネス+IT

MRはARの進化形とも言える技術で、現実世界とデジタルコンテンツがより高度に相互作用します。単に現実の映像にデジタル情報を重ねるだけでなく、デジタルオブジェクトが現実の環境を認識し、物理法則に従って自然に振る舞います。

例えば、MRでは仮想のキャラクターが実際のテーブルの上を歩き、テーブルの端で止まったり、椅子の後ろに隠れたりするような自然な相互作用が可能です。産業・製造分野や医療・ヘルスケア、建築・不動産などでの専門的な活用が進んでいます。

XR導入のポイントと課題

ビジネスにXR技術を導入する際には、いくつかの重要なポイントと課題を考慮する必要があります。

目的の明確化

XR技術を導入する際には、明確な目的を設定することが重要です。単に最新技術を使うことを目的とするのではなく、どのような課題を解決し、どのような価値を生み出すのかを明確にする必要があります。

例えば、「作業効率の向上」「顧客体験の改善」「新しいビジネスモデルの創出」など、具体的な目標を設定し、その達成のためにどのXR技術が最適かを検討しましょう。

ユーザー体験の設計

XRは従来のデバイスとは異なるインターフェースを持つため、ユーザー体験(UX)の設計が重要です。直感的な操作感、長時間使用の快適性、情報の提示方法など、ユーザーの視点に立った設計が求められます。

特に初心者ユーザーにとって負担にならないよう、操作方法の学習コストを最小限に抑えたインターフェースを心がけましょう。

技術的・費用的な課題

XR技術の導入には、いくつかの技術的・費用的な課題があります。デバイスの価格、バッテリー寿命、処理能力、視野角などの制約がある中で、どのように効果的なソリューションを構築するかが重要です。

段階的な導入や、クラウドXRサービスの活用などによって、初期投資を抑えながら効果検証を進めることも検討しましょう。

XRが切り開くデジタルとリアルの新時代

XR技術は、デジタルとリアルの境界を曖昧にし、新しい体験と価値を創出する可能性を秘めています。技術の進化とともに、私たちの生活や仕事のあり方も大きく変わっていくでしょう。

特にメタバースやデジタルツインといった概念との融合により、XRはより広範な領域での活用が進むと予想されます。ビジネスにおいても、単なる業務効率化のツールを超えて、新しい製品・サービス、ビジネスモデルを生み出す基盤となっていくことでしょう。

現実を拡張し、新たな価値を創造する。XR技術がもたらす可能性は、まだ始まったばかりです。