DAO(分散型自律組織)は、組織運営の新しい形として、大きな可能性を秘めています。メンバー全員が対等に参加できる透明性の高い意思決定は、これからの時代に求められる組織のあり方となる可能性がありますが、国内では発展途上という印象が先行しています。
しかし、DAOはWeb3の世界において重要な役割を担っています。DeFi(分散型金融)やNFT(代替不可能なトークン)プロジェクトの多くが、DAOによって運営されており、今後はWeb3の発展とともに、DAOの存在感はさらに高まっていくことが予想されます。
そこでMetaStepでは、DAOの魅力と可能性について改めて発信すべく、国内のDAOプロジェクト実装を推進する、非営利株式会社DAO 兼 地方WEB3連携協会の代表理事を務める上田 敏孝 氏にコラムを依頼。DAOの基礎から最新動向まで、連載の形で発信いただきます。
記念すべき初回は「DAOについて」。それでは上田さん、よろしくお願い致します!
上田 敏孝
Web3とDAO(分散型自律組織)の実装を推進するリーダー。Web3技術を活用した分散型のプロジェクト支援や、DAOガバナンスの設計・運営を手がける非営利株式会社DAOの共同創設者およびガバナーとして、DAOを活用した組織運営や分散型経済の発展に取り組む。直近2年間で2,000万円以上の非営利支援を実施し、DAOメンバーと共にBPO案件を推進するなど、DAOを活用したオペレーション支援にも取り組んでいる。また、地方WEB3連携協会の代表理事として、全国の自治体・企業・教育機関と連携し、地方創生のプラットフォーム「RegionLink」を展開。Web3技術の社会実装を進めるためのネットワークづくりや事業支援を行っている。
2025年現在、世界中で急速に広がっているキーワード『DAO(ダオ)』
でも正直に言って、「DAOって結局なに?」「知ってるふりをしてるけど、本当はちゃんと理解できてない…」という方がほとんどではないでしょうか。
今回は、そんなあなたが周囲にバレる前に、5分で「DAO」のすべてを理解できるようにわかりやすく解説します。
DAOとは「Decentralized Autonomous Organization」の略称で、「中央管理者が存在しない、オンライン上で自律的に動く新しい組織」を意味します。
ただ、これだとまだ少し難しいですよね。
もっと簡単に言うと、DAOとは、
「会社のように特定のリーダーを持たず、参加するメンバー全員が対等に話し合い、オンライン投票などで自由に組織の方針やお金の使い道を決める、新しいタイプのネット上の組織」のことです。
もう少し具体的にイメージしましょう。
あなたが会社で働く場合、通常は社長や上司が方針を決め、それに従いますよね。でもDAOには、社長も部長も存在しません。誰かが一方的に決定するのではなく、DAOに参加しているすべてのメンバーがオンライン上で自分の意見を出し、投票して組織の方向性を決めていきます。
「そんな組織、本当にうまくいくの?」
そう思うのも当然です。
実はDAOでは、「ブロックチェーン」という、取引内容や資金の流れが透明に記録される最新の技術を使っています。そのおかげで、参加者はいつでもお金の動きや意思決定プロセスを自由に確認でき、不正や不公平がほぼ不可能な環境を作り出しています。
2025年現在、世界ではすでに1万を超えるDAOが存在し、アート作品の共同購入から、ゲームを通じた社会課題解決、日本の地方活性化プロジェクトまで、様々な場面で活躍しています。
DAOはもはや遠い未来の話ではなく、あなたの身近なところで新しい社会を作り始めているのです。
なぜいまDAOが世界的に注目されているのでしょうか。最新の調査データと具体的な根拠を示しながら、その理由をわかりやすく説明します。
世界経済フォーラム(WEF)のレポートによると、2025年までにリモートワークやフリーランス、副業など、従来の会社員の枠を超えた働き方をする人は世界で10億人を超えると予測されています。
また、日本でも経済産業省の発表(2024年)では、フリーランスや副業を行う人の数がこの5年間で約2倍に増加し、推計約2,000万人に達しました。
DAOはオンラインで自由に参加可能で、自分の好きな場所や時間に活動できます。この柔軟な働き方が時代のニーズに合致し、DAOの参加者が急増しているのです。
ブロックチェーンとは、簡単にいうと「記録した情報を改ざんすることがほぼ不可能な技術」のことです。
2023年のPwCの調査によると、世界の大企業の約70%が業務にブロックチェーン技術を導入、または検討しています。理由は、ブロックチェーンの持つ高い透明性と信頼性が、組織運営の不正防止に非常に有効だからです。
DAOでは、このブロックチェーン技術を用いて、意思決定や資金の流れを完全に透明化しています。そのため、組織の活動を誰もが安心して確認・信頼できるようになっています。
近年、「SDGs」や「ESG」など社会貢献に関する関心が非常に高まっています。国連の調査(2023年)では、世界の若年層(18〜35歳)の約80%が「社会課題への取り組みを重視して仕事やコミュニティを選ぶ」と回答しています。
DAOは、環境問題や地方活性化、貧困解消、教育支援など、特定の社会課題に特化して活動できる仕組みです。実際に、世界で成功しているDAOの約60%以上が、何らかの社会課題の解決を目標として活動しています(DAO Times、2024)。
自分が興味ある社会的テーマに直接関わりたいと考える人が増える中で、DAOが支持されるのは自然な流れです。
DAOに参加すると、あなたには具体的にどんなメリットがあるでしょうか?
DAOには、上司や部下といった上下関係が存在しません。意思決定はメンバーの投票や合意で決まるため、一人ひとりの意見が公平に尊重されます。
実際、世界最大規模のDAOリサーチを行った『DAO Pulse』(2024年発表)によると、DAO参加者の約85%が「職場よりもストレスが少ない」「意見を自由に言いやすい」と答えており、多くの人がDAOを快適な環境と感じています。
DAOでは、自分が得意なことを活かして自由に活動でき、その活動に応じて仮想通貨や現金などの報酬を得ることが可能です。例えば、SNS投稿やイラスト制作、記事執筆、マーケティングサポートなど、自分に合ったタスクを選んで取り組めます。
実際、日本初のDAO型事業所『DAO Inc.』では、副業で参加する人の約75%が月間数万円~十数万円の収入を得ており(DAO Inc.公式発表、2024年)、自分の好きなことで稼げる時代がすでに実現しています。
DAOの活動はオンライン上で完結するため、世界中どこにいても気軽に参加できます。多くのDAOでは、世界中の人と自由に意見を交わし、交流を楽しむことができます。
例えば、NFTアートを扱う『PleasrDAO』では、世界50カ国以上のメンバーが日常的にコミュニケーションを取り、国境を超えた新たな友情やビジネスチャンスが日々生まれています。
このように、DAOに参加するとあなたはストレスフリーな環境で、自分の好きな活動をしながら、世界中の仲間とつながることが可能になるのです。
ここまで読んで「ちょっと興味が湧いてきた」というあなたへ、今すぐDAOを始めるための超簡単な3ステップを紹介します。
まず仮想通貨を受け取るための無料のウォレット「MetaMask(メタマスク)」を作成しましょう。登録は5分ほどで完了します。
※ウォレットのパスワードや秘密鍵は絶対に他人に教えないよう、大切に管理してくださいね。
TwitterやDiscordで「DAO 初心者」「DAO 日本語対応」「地域活性化 DAO」などのキーワードで検索すると、安心して参加できる日本語のDAOコミュニティ(例えばNinjaDAO、RX-DAOなど)が見つかります。
DAOそのものは安全ですが、ウォレットを使う以上、パスワードや秘密鍵の管理は自己責任です。絶対に第三者に教えないでください。また、新しいDAOに参加するときは、参加者の数や口コミを見て、信頼できるDAOかを確認しましょう。
Discordコミュニティに入ったら、まずは簡単な自己紹介やアンケート、SNS投稿などのシンプルな活動からスタートしましょう。最初は見るだけでもOKです。
いま、世界では「会社」という形を超えて、オンラインで自由につながる新しい働き方が急速に広がっています。それがDAOです。
「知らない」「わからない」と敬遠するのは簡単ですが、すでに多くの人が新しいライフスタイルをDAOで実現しています。あなたも今日から、自分の興味ある分野でDAOを始めてみませんか?
少しでも「DAOって面白そう」と感じたら、ぜひ今日のうちにウォレット作成から小さな一歩を踏み出してみてください。
きっとあなたの未来が大きく変わるはずです。