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2025.03.25

メタバースの新体験?触覚技術「ハプティクス」について解説

メタバースやVR・ARの普及に伴い、デジタル空間での体験をより豊かにする技術として「ハプティクス」が注目を集めています。人工的に触覚を再現するこの技術は、ビジネスにおいても新たな可能性を生み出しています。本記事では、ハプティクス技術の基本から活用シーンまで、分かりやすく解説します。

ハプティクスとは

(引用元:ビジネス+IT)

ハプティクスとは、人間の触覚を人工的に作り出す技術です。デバイスを通じて振動や圧力、動きなどを皮膚に与えることで、デジタル空間での体験に触感を付加することができます。スマートフォンのバイブレーション機能やゲームコントローラーの振動など、私たちの身近なところですでに活用されている技術でもあります。

リアルな触覚を生み出す仕組み

ハプティクス技術の中核となるのが、振動や力を生み出すアクチュエータと呼ばれる装置です。このアクチュエータが、ユーザーの動きに合わせて適切なタイミングで振動や圧力を発生させることで、あたかも実物に触れているかのような感覚を作り出します。最新の技術では、触れる強さに応じて異なるフィードバックを返すことも可能になっており、より繊細な触感の再現が実現しています。

3つの基本要素:力覚・圧覚・触覚

ハプティクス技術は、主に3つの要素で構成されています。

1つ目の「力覚」は、物を押したり引いたりした時の手ごたえを再現する技術です。2つ目の「圧覚」は、対象物の硬さや柔らかさといった感触を伝える技術です。そして3つ目の「触覚」は、表面のザラザラ感や滑らかさといった質感を再現する技術です。

これら3つの要素を組み合わせることで、よりリアルな触感体験を実現しています。

ハプティクスの活用シーン

(引用元:ITmedia)

ハプティクス技術は、メタバースやVR・ARの普及とともに、さまざまな業界で活用が進んでいます。単なる視覚的な体験だけでなく、触覚を通じた新しい価値の創出が可能になることで、ビジネスにおける活用の可能性が広がっています。

メタバースでの没入感向上

デジタル空間での体験をより豊かにするハプティクス技術は、メタバースにおいて重要な役割を果たしています。

例えば、メタバース空間内のアイコンやボタンに触れた際に、実際のボタンを押したような感触を伝えることで、直感的な操作が可能になります。また、アバターを介したコミュニケーションにおいても、握手やハイタッチといった触覚的なインタラクションが可能になり、よりリアルなコミュニケーション体験を実現できます。さらに、メタバース内での商品展示においても、商品の質感や手触りを伝えることで、オンラインショッピングの新しい可能性を切り開いています。

産業分野での活用

産業分野においても、ハプティクス技術の活用が進んでいます。建設機械の遠隔操作では、作業現場の状況を触覚として操作者に伝えることで、より正確な作業が可能になります。また、医療分野では手術ロボットの操作時に術部の感触を医師に伝えることで、より繊細な手術の実現をサポートします。このようなケースにおいては、作業の効率化や安全性の向上が期待されています。

教育・研修での可能性

ハプティクス技術は、効果的な教育・研修ツールとしても注目を集めています。製造業における技能訓練では、熟練工の繊細な手の動きや力加減を触覚として伝えることで、技術の伝承をより効果的に行うことができます。また、危険を伴う作業の訓練においても、実際の危険を伴うことなく、リアルな体験を通じた学習が可能になります。

ビジネスへの導入におけるメリットと課題

(引用元:京セラ)

ハプティクス技術の導入は、企業にさまざまなメリットをもたらす一方で、いくつかの重要な検討課題もあります。技術の特性を理解し、適切な導入計画を立てることが成功へのカギとなります。

コスト削減と業務効率化

ハプティクス技術の導入により、従来は実機での訓練や実地での作業が必要だった業務を、デジタル空間で効率的に行えるようになります。例えば、高価な機器の操作訓練や遠隔地での作業指導などを、実機を用意することなく実施できます。また、触覚フィードバックによって作業の精度が向上することで、ミスの削減や作業時間の短縮にもつながります。

検討すべき技術的課題

技術導入に際しては、通信の遅延(レイテンシー)が大きな課題となります。触覚情報の遅延は、操作感の悪化や誤操作につながる可能性があるためです。また、デバイスの耐久性や、長時間にわたる使用時の快適性なども重要な検討ポイントとなります。5G通信の普及により通信速度の課題は徐々に解消されつつありますが、用途に応じた適切な技術選定は引き続き重要だと言えます。

触覚がもたらす新時代の顧客体験

ハプティクス技術は、デジタル空間における新たな体験価値を創出する重要な要素として、今後さらなる発展が期待されています。メタバース時代において、視覚や聴覚に加えて触覚という新たな次元でのコミュニケーションや作業が可能になることで、ビジネスの可能性は大きく広がるでしょう。

先進的な企業による実証実験も進み、技術の実用化は着実に進んでいます。触覚を通じた新しい顧客体験の創出に、今後も注目が集まることでしょう。