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2025.03.07

【連載】NFT活用で注目! HEXA(ヘキサ)の教科書(第8回)東京都も人口減少 関係人口が創出できるデジタル住民票とは

日本円だけでNFTの発行や売買ができる、日本初のNFTマーケットプレイス「HEXA(ヘキサ)」について学ぶ連載も早くも第8回目を迎えました。今回のテーマは再度「デジタル住民票」について。では吉野さん、よろしくお願いします!

株式会社デイジープレイス 代表取締役COO吉野 渉

デイジープレイスでは企画作成、メタバース、NFT、AR等を担当。RobiZy(ロボットビジネス支援機構)主催NFTコンペ「アイデア部門」GPや販促コンペ「協賛企業賞」、徳島DXフォーラム「ソフトバンク賞」など多くの受賞歴あり。HEXA(ヘキサ)との関わりでは、個人でHEXA公認アンバサダー、HEXA公認メタバース建築家を務める。デイジープレイスは法人としてHEXA公認エージェントに参画。

こんにちは、デイジープレイスの吉野です。今回は、地方自治体が発行する「デジタル住民票」について、その基本的な概念から具体的な活用事例までを詳しく解説します。デジタル住民票は、NFT(非代替性トークン)を活用した新しい形の住民票で、地方創生や地域活性化のツールとして注目を集めています。本稿では、デジタル住民票の基本的な仕組みや、自治体が取り組む際のポイント、具体的な成功事例についてご紹介します。

デジタル住民票とは何か?

デジタル住民票は、ブロックチェーン技術を活用して発行されるデジタル上の住民票です。つまりバーチャルな住民票であって、実際の住民になれるわけではありません。このバーチャルな関係性を発行者・保有者間で楽しんでもらうツールとして利用します。とはいえ、デジタル住民票はNFTとして発行されるため、改ざんが難しく所有権の証明が容易です。これにより偽造のリスクが低く安全に保有することができます。

デジタル住民票の特徴

●所有権の証明: NFTとして発行されるため、デジタルデータの所有権を明確に証明できます。

改ざん防止: ブロックチェーン技術を利用しているため、データの改ざんが極めて困難です。

デジタル特典: デジタル住民票を持つことで、オンラインコミュニティへの参加や、自治体が提供する特典(例:温泉入浴無料、観光施設の入場料無料など)を享受できます。

地方の人口減少という課題

人口減少推計は総務省が作成しており、ほとんどの自治体が直面する課題です。人口減少の歯止めは不可避です。地域の予算は縮小し、市場の縮小も人口比で進んでいきます。そんな中で、交流人口や関係人口を増加して移住を増やす施策はなかなか難しい課題です。

(引用元:総務省「関係人口ポータルサイト」)

東京都の人口すら2025をピークに減少していく

東京一極型と言われていましたが、その東京都ですら2025年である本年を境に人口減少していきます。東京ですら増やすことのできなかった課題に自治体は直面しています。その課題解決の手段としてデジタル住民票が注目されています。

東京都の人口推計

デジタル住民票の具体的な活用事例

山形県西川町の成功事例

山形県西川町は、2023年4月に日本初の自治体公式デジタル住民票NFTを発行しました。1,000円で1,000個限定販売し、13,440件の申し込みがあり即完売しました。特典として町長と保有者だけのオンラインコミュニティへの参加や、町内の水沢温泉と大井沢温泉への無料入浴が提供されています。

山形県西川町におけるデジタル住民票第1回におけるスケールメリット

第2回デジタル住民票NFT

2024年10月には、第2回デジタル住民票NFTを発表しました。新たな特典として、イノベーションハブTRASのコワーキングスペースの無料利用が追加されました。

成果

2024年9月末時点で、約1,915人がNFTを使って町を訪れ温泉を利用

NFT保有者限定のデジタル住民コミュニティの運営

リアルでの交流会の開催

現在の状況

●継続したニュースレターの発行

初期価格1,000円のNFTが昨年末からの二次販売で2,000~5,000円での販売実績がある

第2回販売では発行数1,000個に対して購入数482個と需要低下が見られる

デジタル住民票のメリット

地域の認知度向上

デジタル住民票を発行することで、地域の認知度が向上します。特に人口が少ない地域では、デジタル住民が加わることで、地域の知名度が上がり、観光客や移住者の増加につながる可能性があります。

関係人口の増加

デジタル住民票は、実際の住民数の増加を目指すのではなく、地域に関わる人々(関係人口)を増やすための有効な手段です。デジタル住民票保有者が地域の魅力を発信することで、交流人口が増え、将来的には定住者へと転換する可能性もあります。実際の住民は減少していきますが、デジタル住民票なら増加をすることが可能です。

デジタル住民票による関係人口の創出

デジタル住民票の課題

NFTの認知度の低さ

NFTはまだ新しい技術であり、その仕組みや価値を理解していない人も多くいます。デジタル住民票サービスを普及させるためにはNFTに関する教育や啓蒙活動が重要です。しかしNFT市場では一定の需要があり、需要は充分だと言えます。

デジタル住民との継続的な関係構築

デジタル住民票を購入した人が、その後も地域と関わり続けられるような仕組みづくりが求められます。例えば、オンラインコミュニティでの交流イベントや、地域貢献活動への参加を促すなどの取り組みが考えられます。現在のデジタル住民票では、このコミュニティの部分で大きな課題があり、自治体と保有者間の関係構築が希薄になっています。

今後の展望

デジタル住民票サービスは、地方創生の新しい形として期待されています。今後、NFT技術の進化や、地域独自のアイデアによって、さらに魅力的なサービスへと発展していく可能性を秘めています。自治体がデジタル住民票を活用する際には、デジタル住民との関係を深め、地域の魅力を最大限に発信することが重要です。

まとめ

デジタル住民票は、地方自治体にとって新しい形の地域活性化ツールです。NFT技術を活用することで、地域の認知度向上や関係人口の増加につながる可能性があります。しかし、そのためにはNFTの認知度向上や、デジタル住民との継続的な関係構築が不可欠です。今後の成功は、自治体がいかに効果的なデジタル住民サービスを構築できるかにかかっています。

この記事を通じて、デジタル住民票の基本的な概念から具体的な活用事例までを理解いただけたでしょうか。自治体の皆様がデジタル住民票を活用し、地域活性化に役立てることを願っています。