メタバースやXRをビジネスで扱うためには、それらを構成する専門用語にも精通しておくことで理解が深まります。当記事で概要を掴み、より見識を深める際の第1歩としてぜひご覧ください。
今回解説するのは「レンダリング」。データで記述された数値や演算データを、画像や映像、音声などの形に変換するプロセスのこと。(当記事では3DCGの描画を指しますが、Webサイトの構築などでも使われる用語です)
映画やゲームで美麗なグラフィックを目にする事は多いと思います。実は、1枚1枚のカット毎に、光の反射やモデルの質感等を一つずつ計算し、描画してできたものです。それを1秒間に24~30枚行い、2時間の映画になると20万枚前後計算していきます。もちろん高度な映像になると超ハイスペックなサーバーが無いと、一日中レンダリングに時間を要します。
事前に映像を生成することで、機器の性能に左右されない美しい表現を可能にするこの技術は、映画やゲーム、ビジネスプレゼンテーションなど、さまざまな場面で活用されています。本記事では、プリレンダリングの基本から活用方法まで、分かりやすく解説します。
3次元のデータを2次元の画面に表示する「レンダリング」は大きく分けて2つ。事前に映像を生成しておくプリレンダリング(Pre-rendering)と、リアルタイムで同じプロセスを超高速で実行する「リアルタイムレンダリング」です。今回はプリレンダリングについて供述します。
皆さんも家庭用ゲーム等で3Dのゲームを1度はプレイした事があるのではないでしょうか。広大なマップを進んでいくと、どんどん背景の壁が新たに表示されていくのは、事前にレンダリングされているものを映しているのです。これこそがプリレンダリング。
マップが移り変わるたびに光や質感の計算をしていては、処理が重すぎて快適なプレイなどできません。プリレンダリングは、我々ユーザーが高品質な映像表現をスマホ等の低スペックでも手軽に楽しめている技術なのです。基本的な仕組みから、他の技術との違いまで見ていきましょう。
プリレンダリングは、3Dモデリングソフトなどで作成した立体データを、事前に2次元の映像として処理する技術です。光や影、質感などの複雑な計算を時間をかけて行うことで、フォトリアルな表現を実現できます。
また、一度レンダリングした映像は汎用的な動画ファイルとして保存されるため、さまざまな機器で再生することが可能です。処理には時間がかかるものの、完成した映像は安定した品質で視聴できる点が特徴です。
(引用:On Mars 3D) 左がレンダリング前の3Dモデル。光や質感を計算しレンダリングしたものが右だ
リアルタイムレンダリングが視聴者の操作に応じてその場で映像を生成するのに対し、プリレンダリングは事前に用意した映像を再生します。リアルタイムレンダリングは即時性に優れる一方で、表示する機器の性能に依存するため、高品質な表現には限界があります。
これに対してプリレンダリングは、時間をかけて緻密な計算を行うことで、より豊かな映像表現を実現できます。例えば、映画のCGシーンやゲームのオープニング映像など、クオリティを重視する場面で多く活用されています。
従来のリアルタイムレンダリングと比較して、プリレンダリングには大きく2つのメリットがあります。高品質な映像表現と、安定した再生品質を実現できる点について、詳しく見ていきましょう。
プリレンダリングでは、光の反射や影の付き方、素材の質感など、細部にまでこだわった表現が可能です。時間をかけて複雑な計算処理を行えるため、フォトリアルな映像を作成することができます。
(引用元:カプコン)
特に、物体の透明感や光の屈折、水面の揺らぎといった、リアルタイムでは表現が難しい現象も美しく表現することができます。これにより、視聴者により深い没入感を提供することが可能です。
事前に処理された映像は、再生時に複雑な計算を必要としないため、表示する機器の性能に左右されることがありません。同じ品質の映像を、スマートフォンでもタブレットでも、大画面のディスプレイでも安定して再生できます。この特徴は、幅広い視聴者に向けたコンテンツ制作において大きな利点となっています。
プリレンダリングは、エンターテインメントから企業のプレゼンテーションまで、さまざまな分野で活用されています。それぞれの分野での具体的な活用方法を見ていきましょう。
映画やゲームのムービーシーンでは、高品質な映像表現が求められるため、プリレンダリングが多用されています。特に物語の重要なシーンや、印象的な演出が必要な場面で効果を発揮します。
(引用元:任天堂)
CGアニメーション映画では、すべてのシーンをプリレンダリングで制作することで、一貫した高品質な映像表現を実現しています。
建築や製品デザインのプレゼンテーションでは、まだ実在しないものを魅力的に見せる必要があります。プリレンダリングを活用することで、完成後のイメージを写実的に表現することができます。光の移り変わりや内部の様子、使用シーンなど、静止画では伝えきれない情報を動画として効果的に伝えることができます。
商品PRや企業のブランディング映像でも、プリレンダリングの需要が高まっています。製品の特徴や機能を視覚的に分かりやすく伝えたり、企業の理念やビジョンを印象的な映像で表現したりすることができます。また、実際の撮影が難しい場面でも、CGを活用することで理想的な映像表現が可能です。
プリレンダリングは、高品質な映像表現を実現する重要な技術として、今後もさらなる進化が期待されています。技術の発展により処理時間が短縮され、より手軽に活用できるようになることで、ビジネスにおける映像活用の可能性はさらに広がっていくでしょう。
目的や用途に応じて、プリレンダリングとリアルタイムレンダリングを適切に使い分けることで、効果的な映像コンテンツを制作することができます。