鹿児島県の北西に位置する薩摩川内市の離島『甑島(こしきしま)』。風光明媚な自然と黒潮で育った豊かな海の幸で知られるこの土地に、NFTを活用することで、クラフトビール工房を立ち上げる前からファンが集い、仲間がプロセスを一緒に楽しみながらプロジェクトを推進する取り組みが行われています。
本連載では、クラフトビール工房を立ち上げる現在進行形のプロジェクトのリアルな状況を主催するまつださんにお届けしてもらっています。第6回では、プロジェクトを進めるなかでまつださんが感じたポスト資本主義の考えについて語って頂きました。
(※)最初からお読みになりたい方は、是非第1回からどうぞ!
では、まつださんよろしくお願いいたします!
資本主義の歴史の中でほぼすべての物に価格をつけ切り、資本主義が最後に金銭的価値をつけようとしたのが、デジタルデータだと言えると思います。
そこに集まったのは、当然資本主義ど真ん中の人たちであり、最前線の人たちだったと言えます。
しかし、ど真ん中で最前線の人たちだったからこそ、その視点の先にあったのは資本主義の先だったとも言えます。
このNFTを軸に何かをしようとしている人たちの中で生まれつつあるものは、まさにポスト資本主義と言えるものだったのでしょう。
僕がデジタルコミュニティで出会った多くの人たちがそういった人たちで、そういった人たちだったからこそ、このプロジェクトを面白がってくれて、新しい価値を感じ取ってくれたからこそ、どんな時も助けてくれたのだろうと思います。
もう一つあるのが、主にテキストと音声でのやり取りです。自分を知ってもらうためには、現実の付き合いの人よりも丁寧になるし、相手を知ろうとするには、しっかり受け取ろうという姿勢になります。
だからこそ、デジタルスタートの知り合いは、実際に会ったときには、現実で何年も過ごしたかのような解像度で自分を知ってもらえているし、自分も知っている状態になっていると言えます。
これは誤解かもしれませんが、実際現実の人間関係も誤解の積み重ねですし、そう思えることに価値があると思っています。 現実でなければ本当の人間関係を作れないというのは、もうすでに古い価値観になろうとしているように思います。
デジタルコミュニティの価値は、そういった所にもあるのではないでしょうか。
さて、ポスト資本主義の話です。 まずは、コテンラジオ的資本主義を説明する6つの条件を書きます。
(※) 民主主義のここでの定義 → 個人所有・人権・政治・生産物(モノ)に価値がつく
上記を理解したうえで、離島ビールプロジェクトを改めて見てみましょう。
カバードピープル全体の思想と共通している点もありますが、これは資本主義への挑戦とも言えますし、実験とも言えます。
僕は資本主義を否定していませんし、もたらされた豊かさの中で暮らしています。そして今後もそうあってほしいと思っています。
だけど、昔から制度や決まり、大きいものに迎合することが嫌でした。いわゆるパンクスの精神がこんな形で表れたのだと思っています。
だから、僕がやっている事も、これからやりたい事も、おそらく多くは反抗なのだと思っています。
このプロジェクトの根底に流れるのがパンクス精神ならば、ミクスチャーの影響を受けた僕は、その精神に基づいて次のシーン。つまりポスト資本主義を生み出せたらいいと思っています。
これが、今の離島ビールプロジェクトです。
さて、本年2025年春頃、予定通りに行けば離島ビールプロジェクトで創った「KOSHIKI BREWERY」が始動します。
ご期待ください。
株式会社Laughing Cubeの代表。薩摩川内市甑島在住。ダーツバー経営、地域おこし協力隊、ビジネスホテル運営などのキャリアを持つ。2022年にカバードピープルのコミュニティに参加。カバードピープルと鹿児島県薩摩川内市とのふるさと納税のコラボレーションを企画・実行した立役者。
松田裕之