2024.10.09
「XR技術やAIなど水面下でテクノロジーの進化が進み、標準化も進んだ。いよいよメタバースも新たな段階です」熱っぽく語ったのは一般社団法人Metaverse Japan馬渕邦美 代表理事だ。場所は東京・日本橋室町三井ホール&カンファレンス。2024年9月25日に、毎年恒例となる「Metaverse Japan Summit」が行われた。会場にはMetaverse Japan会員企業を中心に300名を超える業界関係者が集まり、熱気に包まれた。議論されたのは「Nextメタバース」。生成AIの驚異的な進化、デジタル変革、先端技術の融合が創出する新たな世界観とライフスタイルについて有識者たちは何を語ったのか。ダイジェストでお届けする。(文=MetaStep編集部)
「AIがもたらすメタバースの未来」をテーマに議論したのは、カーネギーメロン大学ワイタカー記念全学教授 金出 武雄氏、慶応義塾大学医学部 教授 宮田 裕章氏、一般社団法人Metaverse Japan代表理事 馬渕邦美氏。
宮田氏は「プロンプト(AIモデルに対する指示や入力文)の活用で、メタバースが民主化されたのは大きい。ハイプサイクルでは、幻滅期を抜けたくらいではないか。バーチャル空間での活動がなくなるわけがないし、AIの台頭で今後新たなメタバースのフェーズが訪れるのでは」と述べた。金出氏は「メタバースの“バース”は“世界”の意味。メタバースの世界をどれだけ現実に近づけるか、が一つのアプローチだが、AIが色々な意味で可能性を拡げている。今こそ2つの観点が必要。ひとつはリアルに近づける観点、もうひとつはアーティフィシャルな(自然ではなく人によって作られる)世界で世界を広げていく観点。いずれにせよ、AIの進化によりますます開かれるだろう」とした。
宮田氏は、金出氏の発言を受け「改めて“メタバース”という言葉がいいなと思った。たくさんの世界があって良い。XRに留まらず、多様性があり人によって認知が違う。今後さまざまなアプローチが広まっていくのではないか」と興奮気味に語った。
最後に馬渕氏は、「Metaverse Japanが発足した2022年には考えらないことが2024年は起きている。AI技術がメタバースの発展にインパクトを与えるのは間違いない」とし、今後の可能性に期待を込めた。
「Apple Vision Proが拓く、空間コンピューティングの未来」と題して行われたセッションでは、東京大学生産技術研究所特任教授 三宅 陽一郎氏、VRアーティストせきぐちあいみ氏、KDDI株式会社 オープンイノベーション推進本部 本部長 中馬 和彦氏によるデモを交えたトークが繰り広げられた。