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2024.10.02

自治体や教育分野で広がるメタバースの新たな活用 ~「Metaverse Japan Summit 2024」で語られた最新事例

2024 年 9 月 25 日に行われた一般社団法人 Metaverse Japan が開催した『Japan Metaverse Summit 2024』。MetaStep(メタステップ)でレビュー記事をお届けしたハッカソン「Metaverse Japan Hackathon」や「Metaverse Japan大賞」の他にも、メタバースを活用する企業や団体による多数の講演が行われた。本記事では、『OPENステージ』で行われた講演をもとに、メタバース活用のヒントになると感じた、自治体と教育分野での活用事例を中心にご紹介する。是非『メタバースの今』に触れてみてほしい。(文=MetaStep編集部)

会場は多数の立ち見が出るほどにぎわっていた

自治体メタバース 本格活用に向けた挑戦

自治体でのメタバース活用と聞くと、観光振興の取り組みを思い描く方が多いのではないだろうか。本イベントの講演では、自治体の活用事例が複数紹介されたが、それらの文脈とは異なる、新たな挑戦といえる活用例が紹介された。

新潟県三条市では2024年8月から9月まで、『メタバース役所』の実証実験が行われた。メタバース役所では、自治体の窓口で行われる各種サービスをメタバースで利用できることを目的とした。

特に子育て・介護・福祉などの領域は、対面では相談しづらいような内容も多いが、アバターを介したメタバース空間内の相談であればハードルを下げることにもつながると見込んだようだ。現在はいったん公開を終え、結果検証中とのことだが、今後は窓口で行われるサービス提供の他に、三条市はキャンプのメッカでもあることから、バーチャルキャンプのような体験の場を用意し、市民や職員、議員とのコミュニケーションの他、市街の方など関係人口の創出での活用も目指しているとのことだ。

ちなみに『メタバース役所』は大日本印刷株式会社が手掛ける自治体職員の業務負荷軽減や住民サービスの向上サービスを目的としたサービスだ。三重県桑名市でも『メタバース役所』の実証実験が行われたようで、今後の更なる活用が見込まれる。

三条市 副市長 上田泰成氏(写真右)

愛知県豊田市の事例も、メタバースでの新たな挑戦と言えるだろう。豊田市では2024年11月、Clusterを使った『豊田市メタバース』の公開を控える。豊田市ではメタバースの本格実装を目指し、実は2023年からさまざまな角度から実証実験を行ってきた。

実証実験の結果、活用の見込みが大きいと判断し、ほかの自治体に先駆け、メタバースを中長期の活用方針を示した『豊田市メタバース将来ビジョン』を発表。『豊田市メタバース』では、就労・採用活動支援、不登校やひきこもりサポート、豊田市内の事業者の従業員のメンタルヘルスケアなどさまざまな領域でメタバースを活用していくようだ。

興味深いのは、市役所内での利用にとどまらず、地元企業への貸し出しなども行っていく計画である点だ。豊田市民の役に立つという視点なら市外の企業からの提案も大歓迎とのことだ。市民生活をサポートする立場である自治体が「メタバースはオープンなもの」と考えているのは珍しいと感じた。また、行政でのメタバース活用は、特定の事業や目的など、活用する場面を予め決めたうえで活用されることが多いが、『豊田市メタバース』は多岐にわたる分野でメタバースを活用するという姿勢も挑戦的な取り組みだと感じた。また、一部領域ではすでに実証実験を終えているので、新たなステージに差し掛かったともいえるかもしれない。

豊田市 企画政策部 未来都市推進課 先進事業推進担当 主査 中村大樹氏(写真左)

官民で進む教育でのメタバース活用

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