【暗号資産のビジネス活用を学ぶ⑤】Solana：高速・低コストが強みの「イーサリアムキラー」について解説

Solana（SOL）は、2020年に誕生した高性能な分散型ブロックチェーンプラットフォームです。その高速な取引処理能力と低コストの手数料構造により、DeFi（分散型金融）やNFT（非代替性トークン）など、様々な分野で採用が進んでいます。

特に、イーサリアムの混雑や高額なガス代の問題が顕在化する中で、Solanaは「イーサリアムキラー」の一つとして注目を集めてきました。その独自の合意形成メカニズムであるプルーフ・オブ・ヒストリー（PoH）と並列処理技術により、秒間数万件の取引処理を実現しています。

本記事では、Solanaの基本的な仕組みから具体的なビジネスでの活用法、すでにSolanaが導入されている実例に至るまで、幅広く解説します。

（引用：https://solana.com/ja）

Solana（SOL）は、高スループット（処理能力）を実現する分散型ブロックチェーンプラットフォームです。ネイティブトークンのSOLは国内外を問わず多数の取引所に上場し、投資対象としても注目を集めています。Solanaはその独自技術により、高速かつ低コストの取引を可能にし、特にイーサリアムにおいて課題とされるスケーラビリティ問題の解決に取り組んでいます。

Solanaは2017年、エンジニアのAnatoly Yakovenkoが中心となって立ち上げたSolana Labsというプロジェクトによって開発が始まりました。当初から高性能なブロックチェーンの実現を目指しており、独自の技術を採用することで、従来のブロックチェーンが抱えていた課題の解決を図っています。その後、現在もSolanaの開発を手掛けるSolana財団によって2020年に正式ローンチしました。

2021年には暗号資産市場の活況と共に注目を集め、SOLの価格も大きく上昇しました。この期間中は、多くのDeFiプロジェクトやNFTプラットフォームがSolana上に構築され、Solanaを中心としたエコシステムが急速に拡大しました。

Solanaの性能を支える技術的特徴の一つが、プルーフ・オブ・ヒストリー（PoH）と呼ばれるコンセンサス・アルゴリズムです。これは、従来のタイムスタンプの仕組みを改良し、取引の順序を効率的に決定する技術だと言えます。PoHを採用することで、Solanaはオンチェーンでの高速処理と低コスト取引を実現しています。

さらに、SPL（Solana Program Library）というトークン規格も採用しています。これはイーサリアムにおけるERC-20規格のようなもので、様々なトークンの発行や相互運用を可能にしています。

これらの独自技術により、Solanaは秒間65,000件のトランザクションを処理できる能力を実現しました。この高速取引と低コストという特性が、DeFiやNFTなどの分野でSolanaの採用を促進していると言えます。

「イーサリアムキラー」とは、イーサリアムの課題を解決し、その地位に取って代わる可能性のあるブロックチェーンプラットフォームを指す言葉です。Solanaは、その優れた性能から、このイーサリアムキラーの代表格として注目されています。

すでに述べた通り、Solanaの最大の特徴は驚異的な処理速度です。1秒あたり数万件の取引を処理できる能力は、イーサリアムの処理速度を大きく上回ります。さらに、低コストの取引手数料もSolanaの強みです。2024年現在、1回の取引にかかる手数料は0.01SOL未満と非常に安く、イーサリアムの高額なガス代問題を解決しています。

これらの特徴により、SolanaはDeFiやNFTなどの分野で急速に採用が進んでいます。高速で低コストの取引が可能なSolanaは、特に小額・頻繁な取引が必要なDeFiプロジェクトや、大量のミントが行われるNFTプロジェクトにとって魅力的なプラットフォームとなっています。

Solanaは、その高速・低コストという特性を活かし、様々なビジネス分野で活用されています。ここでは、Solanaが主に活用されている分野とその具体例を紹介します。

Solanaは、高速処理能力と低い手数料構造により、DeFi（分散型金融）プロジェクトの基盤として広く採用されています。

例えば、Raydiumは自動マーケットメーカー（AMM）と指値注文板を組み合わせた独自のDEXを提供しており、高速で効率的な取引を可能にしています。Raydiumの特徴は、流動性プールを利用した取引と、注文板を使用した取引の両方を提供している点です。これにより、ユーザーは状況に応じて最適な取引方法を選択できます。

（引用：https://raydium.io/swap/）

また、ユーザーフレンドリーなインターフェースと高速取引処理を特徴とするAMMプロトコルとしてOrcaがあります。Orcaは「公平な価格」という概念を導入し、取引時のスリッページを最小限に抑える仕組みを実装しています。

これらのDeFiプロジェクトは、Solanaの特性を活かすことで、従来のイーサリアム上のDeFiプロジェクトよりも高速かつ低コストでのサービス提供を実現しています。特に、頻繁な取引や小額取引が必要なDeFiプロトコルにおいて、Solanaの高速・低コストの特性が大きな利点となっています。

Solanaは、NFT（非代替性トークン）の発行と取引にも広く利用されています。

Magic EdenやTensor TradeなどのNFTマーケットプレイスがSolana上で展開されており、アーティストやクリエイターに新たな収益源を提供しています。これらのプラットフォームは、Solanaを活用することで取引手数料を低く抑えており、それにより小規模なNFTプロジェクトでも採算が取れるようになっています。

また、Solanaの高速性を活かしたNFTゲーム（ブロックチェーンゲーム）も登場しており、ゲーム内アイテムやキャラクターをNFTとして取引する新しいゲームエコノミーが形成されつつあります。

Solanaの低コストで高速な取引処理能力は、マイクロペイメント（少額決済）や高頻度取引の分野でも注目されています。

例えば、動画ストリーミングサービスにおける視聴時間に応じた秒単位での課金システムや、オンラインゲームでのアイテム取引など、従来のシステムでは手数料が高すぎて実現が難しかったユースケースが可能になっています。

また、高頻度取引の分野では、Solanaの高速性を活かした自動取引システムの開発が進んでおり、暗号資産市場における新たな取引戦略の実現に貢献しています。

Solanaの実用化は着実に進んでおり、様々な分野で導入事例が増えています。これらの事例を知ることで、Solanaの実際の活用方法とその可能性がより明確になるでしょう。

多くの大手企業も、Solanaの可能性に注目し始めています。

例えば、決済大手のVISAは、Solana上でのステーブルコイン決済の実験を行っています。これにより、国際送金や小売決済の効率化が期待されています。

また、Discord創設者のJason Citron氏は、Solanaを活用したWeb3統合の可能性について言及しており、大規模なソーシャルプラットフォームにおけるブロックチェーン技術の活用に注目が集まっています。

Solanaエコシステムでは、従来のステーキング手法とは異なる新しいステーキングの方法が次々と誕生しています。

Jitoは、MEV（Maximal Extractable Value：最大抽出可能価値）報酬も得られるリキッドステーキングプロトコルとして注目を集めています。ユーザーはSOLをステーキングすることでJitoSOLを受け取り、ステーキング報酬に加えてMEV報酬も獲得できます。

（引用：https://www.jito.network/ja/）

Solayerは、ソラナのリステーキングネットワークとして登場しました。ユーザーは既にステーキングしているSOLやLST（Liquid Staking Token）を再びステーキングすることで、より高い利回りを得られる可能性があります。

sanctumは、複数のLSTに対応したInfinityプールを提供しています。ユーザーは異なるLST間で直接交換が可能となり、より柔軟なステーキング戦略を立てられます。また、独自のLSTであるINFトークンも発行しています。

これらの新しいステーキング手法は、ユーザーにより多くの選択肢と潜在的な収機会を提供しています。しかし、複雑な仕組みゆえのリスクも存在するため、十分な理解と注意が必要です。

Solanaは、NFTやブロックチェーンゲームの分野でも急速に採用が進んでいます。

DeGodsやOkay Bearsなどの人気NFTプロジェクトがSolana上で展開されており、大きな成功を収めています。これらのプロジェクトは、Solanaの低い手数料を活かし、より小規模なミントやトレーディングを可能にしています。

また、Star Atlasのような大規模なブロックチェーンゲームもSolana上で開発されており、ゲーム内経済の構築にSolanaの高速性と低コストの特性が活かされています。

Solanaは高速な取引処理能力と低コストの手数料構造により、DeFi、NFT、ゲームなど多様な分野で急速に採用が進んでいます。「イーサリアムキラー」として注目を集め、ブロックチェーンのスケーラビリティ問題に対する解決策を提示しています。

新たなステーキング手法の開発や大手企業による活用など、そのエコシステムは着実に拡大しています。しかし、ネットワークの安定性や、より高性能な競合プロジェクトの誕生など、乗り越えるべきハードルも存在します。

Solanaの今後の発展は、高性能ブロックチェーンを活用した新たなアプリケーションやビジネスモデルの創出につながる可能性があります。ビジネスリーダーや開発者は、Solanaの動向に注目しつつ、そのポテンシャルとリスクを見極めながら、イノベーションの機会を探っていく必要があるでしょう。