(引用:Meta)
2024年7月2日、Meta(旧Facebook)が新しいAI技術「Meta 3D Gen」を発表しました。これはテキストから高品質の3Dモデルを生成できる画期的なシステムです。専門的なツールや技術を必要とせず、誰でも簡単に思い描いたイメージを3Dモデル化できるようになります。
本記事ではMeta 3D Genの仕組みや優れた性能、今後活用の幅が広がりそうな分野について解説します。
メタバースやVR、AR開発に携わる方の作業効率を高められる可能性を秘めたツールなので、ぜひ参考にしていただき、ビジネス活用のヒントにしていただければ幸いです。
(引用:Meta)
Meta 3D Genは大きく2つのステージで動作します。
ステージ1では、ユーザーが入力したテキストから3Dモデルの形状とテクスチャを生成します。これは簡単に説明すると、3Dモデルの枠組みのようなものに画像やパターンを表面に貼り付け、モデルに質感や色を付けるものです。
ステージ2では、ステージ1で作られたモデルのテクスチャをさらに洗練させます。Meta 3D TextureGenという手法により、よりリアルで細部まで表現されたテクスチャが生成されます。すでに用意されている3Dモデルに対して新しいテクスチャを作ることも可能です。
(引用:Meta)
一般的に3Dモデルを作成するためにはBlender(ブレンダー)やMAYA(マヤ)などの3DCG制作ツールを用いて、すでに用意されているオブジェクトを組み合わせるか、一から作りあげる必要があります。
Meta 3D Genを使えば、制作したい3Dモデルのイメージをテキストで伝えるだけで簡単に制作が可能なため、制作コストを大幅に削減できる可能性があります。
さらに、PBR(Physically Based Rendering:フィジカルベースドレンダリング)と呼ばれる、現実世界の光の性質を計算することで、よりリアルで映画のような見た目を作り出せる技術にも対応している点も特徴です。
Meta 3D Genを使って生成された3Dモデルの動画も公開されているので、こちらも参考にしてください。
Meta 3D Genは複数の競合他社と比較しても、非常に高速かつ高品質な3Dモデルを生成できることが分かっています。特に複雑なシーンを指定した場合、他社製品を大きく上回る性能を示しました。
競合プロダクトとのステージ2まで(3Dモデル生成から高品質なテクスチャを作成するまで)の生成時間の比較を表にまとめたので参考にしてください。
プロダクト名 | 生成速度 |
---|---|
Meta 3D Gen | 約1分 |
CSM Cube 2.0 | 約1時間 |
Tripo3D | 約3分 |
Rodin Gen-1 V0.5 |
約3分(最大30分) |
Meshy v3 | 約11分 |
他社製品は数分から1時間程度かかることが多いのに対し、Meta 3D Genなら約1分で生成が完了します。1つのモデルを生成する度に数分の時間を短縮できるため、多数の3Dモデルを制作する必要がある現場では、大幅な時間短縮が可能となります。
Meta 3D Genを活用できる分野として、以下のようなものが挙げられます。
●ゲーム開発
●映画・アニメーション制作
●メタバース・VR・ARコンテンツ制作
●e-コマース
●建築・不動産
ゲーム開発や映画制作、メタバース・VR・ARコンテンツ制作などのエンタメ分野では、3Dモデルの制作コストと時間を大幅に削減できるでしょう。デザイナーがコンセプトアートを描き、それをテキストで表現するだけで、素早く3Dモデルを生成できるようになります。
また、e-コマースでは商品の3Dモデルを低コストで作成でき、オンラインショッピングの利便性を高められます。建築・不動産業界でも、建物のデザイン案から簡単に3Dモデルを作れるようになれば、プレゼンテーションの質が上がり、設計変更にも柔軟に対応できるようになるでしょう。
Meta 3D Genが発表されたことにより、ゲーム開発やメタバース、映画のVFX等、3Dモデルを必要とする様々な分野に大きなインパクトを与えるでしょう。
まだ開発段階であり、サービスのリリース時期は未定ですが、近い将来、Meta製品の至るところでMeta 3D Genが活用されるようになると予想されます。
3DCGに関連する分野に携わる方は、今のうちから情報収集しておくことで、自社のサービス開発にいち早く新技術を取り入れられるでしょう。