MetaStep(メタステップ)読者の皆さんは、日本を代表するメタバースプラットフォーム「cluster」のビジネス活用事例といえば、何を思い浮かべますか?
バーチャル渋谷? バーチャル大阪? あるいはスカイアスレチックでしょうか!? 10や20も事例を挙げられたあなたは“クラスター通”(もしくはクラスター関係者)です!(笑)
日本最大級の「cluster」を活用したプロジェクトは実に年間250を超えると言います。しかし、メディアに取り上げられるのはそのごく一部。大手企業や著名人を起用した企画など、いわゆる「映える」事例がほとんどです。
しかしながら、天邪鬼なMetaStep編集部。一見地味な事例と思いがちな事例にこそ、学びや気づきがあり、ビジネス活用のヒントになるのではないかと考え、パートナー企業のクラスターの広報チームを巻き込み、この度新たな連載をスタートします。その名も「あなたの知らないクラスターの世界」。
栄えある第1回でご紹介する事例は「バーチャルわかものハローワーク」を運営する厚生労働省 大阪労働局・大阪わかものハローワークです。前例がなく、担当者のメタバース知識も少ない。すべての関係者の理解があるわけでもない。「ないない」尽くしの状態から、いかにプロジェクトを形にし、運用ベースにもっていけたのか。今や全国の労働局に裾野が広がるプロジェクトになぜ至れたのか。自治体や官公庁のご担当だけでなく、メタバース導入に悩む企業担当者の皆様にも是非お読み頂きたい内容です。では、あなたの知らないクラスターの世界、お楽しみください。(文=MetaStep編集部)
そもそも、なぜ「バーチャルわかものハローワーク」が誕生したのか。それは、ある社会課題が背景にあった。10代後半から30代前半の完全失業率の高止まりだ。働く意思と能力があるにも関わらず、仕事に就けていない「わかもの」求職者が多い状況が、全国的に大きな課題となっている。若い世代の就業体験が失われることは、長期間にわたりに国力が低下する結果を招くことになると指摘もあり、まさに喫緊の課題だ。
大阪労働局も、日々ハローワークで就職活動の相談を受けながら、そんな課題に向き合っていた。ハローワークは、厚生労働省が全国500か所以上に設置をする公共職業安定所(雇用に関する総合的な支援機関)だ。大阪労働局管轄の「大阪わかものハローワーク」は、若年層の就職支援に特化したもので、おおむね35歳未満の正社員での就職を希望する人を対象にしている。
大阪わかものハローワークは大阪・梅田駅直結のビルの上に構え、関西圏の若者が多く訪れている
プロジェクトが立ち上がったのは2022年。ちょうどFacebookがMetaへ社名変更をし、「メタバース元年」と盛り上がっていた時期だ。当時を振り返りながら、プロジェクトメンバーの一人大阪労働局 職業安定部 職業安定課 職業紹介第2係長 中野耕介氏は懐かしそうに語る。
大阪労働局 職業安定部 職業安定課 職業紹介第2係長 中野耕介氏